第279話 大雨での出来事
楽しんでいってください。
どの方角を見ても辺りは平原である。
ただ、今日に限っては平原でも歩きたくない。
「土砂降りだな」
「風もすごいわね」
ロードとカレンは、結界で守られた安全地帯から外を眺めていた。
寝る前は、こんな嵐のような天気ではなかった。
ただ、今だからわかる。あれはただ、嵐の前の静けさだったことを。
「今日は見ての通り無理に動くべきではない。今日もここで野宿だ」
皆、無理矢理動くべきではないと思っていたのであろう。カレン以外、全員二度寝にそそくさと戻っていく。
カレンは、シートを敷いて中央に座り込んでいる。
「魔力の流れがより一定になってる」
意識を集中させ、魔力の研鑽に励んでいるようだ。
俺は、邪魔しちゃ悪いと思いテキパキと朝食の片付けをすることにした。
そうして緩やかな時が経つ。
昼前には、みんな揃って今後の話とか世間話をして時間を潰す。
ただそんな緩やかな時間は、長くは続かないのだ。
カレンが、ふと立ち上がる。
「どうした? 魔物か」
「いや違う、人間だ」
今現在、結界の外は朝より大雨で強い風が吹き荒れている。
そんな中、人間が歩いているとしたら相当な無茶苦茶なやつである。
「え、場所どこなの?」
「ここから数百メートル先にある茂みの方」
「わかった。俺とレンとマークで探してくる」
そう言い終わる頃には、体は後さき考えず走り出していた。
わかっていたが、雨で痛みを多少感じる。
それは、レベルが上がっているからそれで済んでいるだけだ。
「ロード! 離れるな。これ相当おかしいぞ」
「もしかして聞こえてないんじゃねか」
それは当たっている。ロードは、がむしゃらに進んでいるのだ。
雨と風で何も聞こえていない。
「やっと着いた。誰か居るなら返事しろ!」
ロードは、声をなるべく大きな声で呼びかけるが返事が返ってくることはない。
もちろん魔力感知で、辺りを探しているがあるのは仲間たちだけだ。
「カレンが間違えるわけないんだ。絶対どこかに居るはずだ」
辺りの草をかき分けながら探すが、見当たらない。
「ロードいた?」
背後からレンが話しかけてくる。
「いやまだだ、マークもいるみたいだな」
3人は、固まって探すがやはり見当たらない。
そんな時だ。微かだが、人間の魔力を感じ取る。
それは、より奥の方だ。
「ーぐああぁっ!!」
次の瞬間、大きな衝撃音を立てた魔物に、吹き飛ばされたのだ。
「マジかよ!?」
「ジャイアントトロール、しかも幹部直属のやつ」
「ここは俺に任せて、人間の反応辿れ!」
マークの叫びで、一瞬頭が真っ白になりかけていたのを取り戻すレン。
レンは、即座に俺の元に駆け寄り立たせた。
「すまねぇ。早く探させねと」
横腹から思いっきり攻撃を喰らって、すぐには走れそうにない。
こんな雨では、ポーションを使ったところで無意味である。
痛みを堪えながら歩く。
「ロード見つけた!」
レンの声が、なんとなく聞こえる。
レンの元に駆け寄ると、木を背もたれにして倒れている女性騎士が居たのだ。
「大丈夫。もう安心してくれ」
ただ彼女は、意識を混濁としている。
「あ、早く、伝え…なければ」
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