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第273話 冒険者の街


 楽しんでいってください。

 27章開幕です。


 龍兵団と別れて1ヶ月が経とうとしていた。


「最近、魔物の討伐ずっとやってたから一気にレベルが上がったわね」


「そうだな。俺はもうすぐレベル90だ」


 俺とカレンは、そんな話をしていた。サキュバスの一件で、俺たちのレベルが大きく成長した。

 

「ロード! 国が見えてきたよ」


 そう叫んだのは、ライカであった。先行して辺り周辺の索敵を行っていたのだ。


「分かった。すぐ行く!」


 全員心踊っているのがわかる。そこは、冒険者の建てた国である。

 先代の冒険者たちが根城に使っていた国である。昔は、王や人々が暮らしていたが、もうそれはだいぶ昔の話である。

 それは今や、冒険者自ら手を施し使われている国なのである。


「ロード一行だ!」


 門を通り抜けるや否や、そんな声が冒険者たちの耳にすぐに入る。

 ものすごい歓声を上げている冒険者たち。

 それに驚きつつも歩いていく。


「久しぶりねロード」


 その声は、何度か耳にしたことがある声だ。

 

「久しぶりだね。リサ」


 闘技場でレンとも戦ったことがある人物だ。


「あなたたち早いわね。流石の強さね」


「リサは昼間っから酒飲んでるみたいだけど」


「私は良いのよ。戦場帰りだし」


 そういう彼女の体には、傷跡が服の下から見えていた。

 前までは、なかった傷がそれを表していた。

 リサは、それから国の説明を済ませ、飲み仲間とまた酒場に戻っていく。


「彼女、相当強くなってるな」


「よっぽど厳しいってことか、悔しさで強くなったかどっちだろうな」


 そういうレンの声は、どこか震えた感じである。


 また歩き出した直後、大きな鐘が何度も鳴った。周りにいた冒険者たちは、武器を取り出し走っていく。

 俺たちも、それに釣られるかのように走っていく。

 

「めっちゃ士気たけなぁ」


 マークの一言で改めて見ると、確かにそう見えた。

 そんな中、その声に反応してか話しかけて来た奴がいた。


「そりゃ当たり前だ。死んでた士気が、あんたらの登場で一気に最高潮だ」


「えーと誰?」


「名乗ってなかったな。僕は、ハンマだ。戦場帰りみたいなもんさ」


 軽めな鎧を身につけ、背には剣を携えていた。周りよりも、コイツは強いと言いたくなるほどのオーラを纏っている。

 それは誰が見ても明らかだ。


「ハンマさん、お疲れ様です! また魔物の出現らしい、またカメレオンせいだろうって」


「やはりそうか。先行した部隊に教えてやれ! ロード一行がいるから安心して戦えってな」


 話していた男は、転移で前の方に行ったのであろう。突然ワープするから驚いてしまった。


「すまねぇ、勝手に名前使ってしまってよ」


「別に問題ないですよ。それより小国周辺、下級合わせたら数千はくだらないですよね」


 相当な反応で、剣が疼いていた。


「ほとんどがここらに住む低級だ。元々ここに住んでいたのを、奪ってからこんなもんだ」


 これはよく起こりうることなのだと理解し、俺たち自身も戦いに集中すべく走ることに専念するのであった。





 最後まで読んで頂きありがとうございます。

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