第272話 部下魔物の真実
楽しんでいってください。
26章最終回です。
奴は強い。それは先ほどの攻撃で分かっている。
だが怯んだりはしない。
私は、大きく息を吸い呼吸を落ち着かせる。
「さぁ、楽しみましょうかしら」
って言ってしまう。心を落ち着かせようとしても、やっぱりこの昂り、止まらないと確信した。
先に動いたのは、魔物の方だった。その動きは、先ほどと違い誰かに操られているような動きに変わっている。
ただ力任せに拳を振り下ろし、地面を傷つける。
「操られてる?」
思わずそう思ってしまっても、問題ない状況になって来ている。
これでは、いつもの低級魔物と変わらないと心底がっかりである。
「でも魔力を使ってる痕跡もない」
この時間は、カレンにとってものすごく退屈な時間となった。
「どうしたんだアイツ?」
それを見て、最初に様子がおかしいと思ったのはロードだった。
その声を聞いて、レンも振り返る。
「動きが簡略になってる」
レンがそう呟いたのだ。それは小さな声だったが、カレンがこっちを見ている。
何か気がついたかのように、にこやかな笑みを浮かべている。
それは、背筋が凍るかのような笑みだったのは言うまでもない。
「あれ、魔力込めてないか?」
「ほんとだ。何やってんだ?」
その答えは、とても簡単なことである。奴は、魔力を糧に動く魔物だったのである。
通常は、人間同様に植物を食べたり、動物の肉を食べたりして生活している。
ただ、幹部直属の部下は、魔力を糧に活動する魔物だとこの時確信したのだ。
「やっぱり、アイツらが作った魔物だからね」
先ほどまでの簡略された動きから一変、村や龍兵団を殺した魔物に変貌したのである。
「キャハハハハ。もっと楽しませてよ!」
その楽しい時間は、長くは続かない。奴はあっさりとその後消滅したのだ。
そんな中、龍兵団のライデンが大声を出したのだ。
「生存者が居たぞ!ポーション持って来てくれ」
魔物を瞬時に払いのけ、側に駆け寄った。
ボロボロの顔を見た瞬間、それは村はずれで倒れていたお婆さんに似た顔であったのだ。
「よく頑張ったな。ポーション今かけてやる」
いつ死んでもおかしくなかった彼を助け、この村での出来事は終わったのだ。
「ロードすまねぇ。全くいいところがなかったな」
龍兵団の面々が、不甲斐ないことになってしまったのを悔やんでるような顔をしている。
「何言ってんだ、瓦礫の下敷きになってた息子を見つけたのは、ライデンたちじゃないか。的確に対処してたみたいじゃん」
「ロード…」
「3人が居なかったら、見つけるのに時間が掛かっていた。俺たちは、基本的に魔物討伐を優先してしまうんだよ。本当に助かった」
俺たちは、3人に頭を下げた。3人はおどおどしていたが、俺たちはそれでも続けたのである。
その後俺たちは、そのまま別れを告げまた旅に戻っていくのであった。
最後まで読んで頂きありがとうございます。
いかがだったでしょうか?
ちょっと空回りしていた龍兵団。
本編でも語られていたような、最前線にてかっこいい龍兵団を書く予定なので、楽しみにしていただけたら幸いです。
「面白い!」「続き読みたい!」など思った方は、ぜひブックマーク、下の評価を5つ星よろしくお願いします!
もししていただけたら作者のモチベーションも上がりますので、更新が早くなるかもしれません!
ぜひよろしくお願いします!




