第260話 レスター完
楽しんでいってください。
「まさかあの技を魔術障壁で守るなんてなぁ」
愚痴を溢すように吐き捨てる。それだけ自信があった技だったのだ。
このことを2人に聞かれなかったのは、不幸中の幸いであろう。
だが、一撃で終わる甘い現実は、存在しないことをレンに叩きつけたのだ。
「今度は、サシでの勝負だ。絶対に貫いてやる」
槍を強く握っている為か、魔力が槍に蓄積されていってるのが分かる。
「随分とゆっくり来たのだな」
この異様にもピリついた空気の中、2人は対峙する。サキュバスクイーンも笑みを浮かべながらそう言ってはいるが、油断なんかしていない。
この空気感を作り出せるのは、強者だけが出せる風格である。
「別に問題ないだろう、時間はいくらでもあるんだ」
「いたぶって殺すのもアリか…」
次の瞬間、槍と槍が激突する。
それは凄まじい速さで、威力で、両者の力比べが小国を巻き込んで始まったのだ。
槍と槍のぶつかり合い、それに伴って小国の街もダメージを受けていく。
「お前、まだ力の半分も出してないだろ!私に遠慮してんのか」
「戯言言ってるひまがあったら、歯を食いしばっとけ」
お腹に一発、槍を貫かす。
「ーック!マジか……」
「それはお前もだったな」
互いに槍が突き刺された状態のまま、膠着状態になっている。
互いに抜けば、致命傷になりかねない腹部に刺さっている。
「私たちお見合いでもしてのか?」
「ただ互いに見つめあってるだけで、お見合いってアホかよ」
槍が互いに突きあって、早10分が経過。
いつ意識を失っても、おかしくない状況なのに2人はただ見つめあっている。
「いつまで経っても抜かないんだな。道連れ上等!インフェルノ」
「そのまま貫かれて死ね」
槍が貫かれ、レンはその場に倒れ込む。
だが、それでサキュバスクイーンが勝ったわけでもないのだ。奴は体内部、外側にインフェルノを魔術障壁で守っては居るが、刺された大元は守られてはいない。
声にならない声で、叫んでいる。槍を抜こうにも、槍は燃えさかり持つこともできない。
倒れ込んでのたうち回っているが、火は消えない。
だがそれは唐突に収まるのである。
「な、んで、テメェ、そん、なかお、して、立って、いるんだ」
「そりゃポーションがあるんだから当たり前だろ。お前がこのまま終わらないのも分かっている」
驚きの表情を隠さずにいる。それは当たり前かもしれない。アイツは、秘策としてあるポーションを隠し持っている。
それは、魔物を活性化させ凶暴化させるポーションである。
槍を引き抜き止めを刺そうとした瞬間、アイツ自身で自らお胸元を叩きポーションを割ったのであった。
理性のない怪物が目の前で誕生する。殺気だった目、それを可能とする体の強制強化。
「醜くなったな、サキュバスクイーン」
全身に広がった火傷の後。爛れた皮膚は、美しく恐怖の象徴でもあったサキュバス。
「聖女の願い発動。これで終わりだ、神速式・一頭突き」
辛うじてあった魔術障壁を容易くわり、脳天を一撃で貫くであった。
そうして俺は、後のことを任せアイツらが大事そうにしていたであろう袋を持って、魔法会支部の1人に送ってもらうのであった。
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