第247話 ラット爺の過去①
楽しんでいってください。
ラット爺の過去話です。
ロードが魔王と相対する2年ほど前に遡る。
「おじいちゃん遊びに来たよー!」
村に久しぶりの子供の声が響き渡る。その声は元気いっぱいそのもので、村人たちを元気にさせた。
「よう来たのう、マーラス」
マーラスの祖父は、ラットである。冒険者を引退して時は経つが、今でも現役並みの強さを持ち合わせている。
「ご無沙汰しております。お義父さん」
「転移とはいえご苦労だった。ドフトさん」
「お父さん考えてくれた話したこと?」
ドフトの奥さんは、ラットの1人娘スミカという人物である。
スミカは、両親にこの村では無く比較的安全な南門ヴィストラに移住してほしいと言っているのだ。
そこなら、自分自身も住んでいるので安心と思っている。
「何度も言っておるが、ワシらはここを離れない」
スミカは、ほとほと困り果てた顔してラットを見つめている。
「お父さん、悪い話ではないと思うの。一緒に暮らそうよ」
「何を言ってんだ。ドフトさんに気を使わせてしまう。スミカ、自分の持っている家庭を大切しなさい」
そう諭すが聞く耳を持とうとはしなかった。
それは、母親であるランメルも一緒であった。ランメルも冒険者をしていたが、魔物に襲われているところをラットに助けらたことで、意気投合し結婚した。
「そんな所で、大声出さないの2人とも!子供がいる前で」
「「ごめんなさい」」
そうして、家の中に入ると豪勢な食事がテーブルを覆い尽くすほど並んでいた。
「僕の大好物がいっぱいある。ありがとうおばあちゃん!」
「どういたしまして。いっぱい食べて立派な冒険者になるのよ」
「うん」
この両親の存在が大きく、息子のマーラスは冒険者に憧れ、自分もなりたいと思っている。
「もうお母さん!吹き込まないでよ!」
「何を言っているんだ。男の夢かっこいいじゃんスミカ」
「あなたまで言わないでよ」
スミカは、この両親だった為自分自身も自衛できる程度には強くなっている。
だが、冒険者にはなんも興味がなくイヤイヤ勤しんでおり18歳になった直後、ヴィストラに1人引っ越した過去を持つのだ。
それもあるが、両親が今でも村防衛の為に戦っていると聞くと、血の気が引くレベルである。
だからこそ、早く同居してほしいと思っているのだ。
ドフトは、幼い頃に両親を亡くしており養護施設で育った。冒険者を目指したものの、才能がなくヴィストラの飲食店でウェイトレスをしている時に出会って意気投合し結婚した経歴を持つ。
基本的には、両親の意見を尊重すべきと考えており両親派閥である。
「ねぇおじいちゃん!ご飯食べ終わったらキャッチボールしてよ」
「いいぞ。存分やろうな」
その後、晩御飯までラット爺、ドフト、マーラスの3人は存分に遊んだのだった。
一方娘は、母親との話し合いに望んだが、逢えなく撃沈し1人部屋にいた。
その日の夜は、随分と静かな夜だった。
こういう日は、嫌なことが起こりそうで嫌である。
そう直感したスミカは、ヴィストラに行こうと言ったがドフトのみ賛成してくれたものの結局村に泊まることにしたのだ。
だが、その直感は当たることとなる。
それが、ラット爺が家族と過ごした最後の晩餐であったという。
最後まで読んで頂きありがとうございます。
いかがだったでしょうか?
「面白い!」「続き読みたい!」など思った方は、ぜひブックマーク、下の評価を5つ星よろしくお願いします!
もししていただけたら作者のモチベーションも上がりますので、更新が早くなるかもしれません!
ぜひよろしくお願いします!




