第245話 ラット爺の風魔法
楽しんでいってください。
歳の割には、相当な筋肉質だ。
魔王軍の幹部にそういう奴が居たのを思い出していた。
「何か考え事でもしとるのか。随分余裕じゃのう。極力一閃」
「マジかよ!?極力一閃」
両者の剣の衝撃。それだけで、体が持っていかれそうになる。
「疾風」
魔法!?しかも最上位の風魔法。
足で踏ん張っているのがやっとだ。これでは動けない。動いた瞬間、壁に激突して終わりだ。
「迅雷」
「―ぁぁぁぁぁ!」
だがラット爺自身、驚きを隠せなかった。
「お前、ワシの攻撃を喰らっておいてなぜ一歩も動かない」
だが、ロードは喋る余裕がなかった。なんとか、動かずに攻撃を受け止めたもののダメージは相当なものであった。
ただ、反撃の一手を挙げるための準備期間とも言えるであろう。
「極力大龍斬撃」
「コイツワシの質問に答えず、技を撃つとはいい度胸じゃねぇか。神速式・迅雷!」
だが、それは最も容易く破られた。ラット爺は吹き飛ばされたのだ。
普通なら倒れておかしくない一撃である。
ただ、最も容易く破られたとはいえ、威力は多少なりとは半減したのが功をそうしたのである。
壁に穴が開こうとも、なんとか立ち上がれるのだから。
「ラット爺、立ち上がれたってだけでいい気になるなよ」
「わかっとるわそんなことぐらい。おらぁぁぁっ!」
だが虚しく剣は、手元から離れる。
「降参だ」
俺は、剣をしまいポーションを渡した。
その時だった。村人や仲間たちが慌てて出てきた。
「またやったのラット爺!」
それには、俺も仲間も驚いていた。
「だって強い冒険者を見てたら体が疼いちゃって」
「ほんと申し訳ない。うちの村長元上級冒険者なのよ」
納得な答えだった。どう考えてもただの村長ではないと思ってた。
極力一閃、それが使えている時点で相当な実力者といえる。
「ラット爺、またいつでも相手になってやるから。風魔法も強力だったぜ」
それに食いついて来たのは、カレンとライカであった。2人とも風魔法を使えるため、やっぱり気になるようだ。
「めっちゃ強かった?」
「どんな魔法だったの?」
「まぁ落ち着け。風魔法疾風を使ってたよ」
「その魔法見せてはいただけないでしょうか?魔法会トップカレンとしてお願いします」
カレンは、自分の素性を明かし頭を下げた。
皆驚きはしたもののラット爺だけは、正体に気がついていたようだった。
「知っておった、ちょっくら待っててくれ」
そう言ってポーション2つを飲み干し、村の外に出て行き魔力を高めていく。
「期待に添えるもんじゃねぇかもしれねぇ…疾風」
全魔力を疾風に注ぎ込んでいるのがわかる。支えがないと吹き飛ばされそうだ。
「もう良いわよ。明日、魔法会本部に行きましょう」
「ってことは、代表決定戦だよな」
「まぁそうだろうなぁ。あなたに見つかったのが運の尽きじゃ」
そう言って、ラット爺は村に戻って行くのであった。
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