第244話 仕込み剣の村長
楽しんでいってください。
ジャイアントトロールとの一戦から数日、村にたどり着いていた。
そこは、随分と守りを固めた構造になっていた村であった。
「こりゃすげーな」
思わず声に出してしまう程であった。
「これはこれは旅のお方。長旅ご苦労様でした」
村長らしき人が、挨拶をしてきた。見た目は、白い髭が特徴で、開いているか確認したくなるほどの目をした小柄な杖付き老人だった。
「その杖、仕込み剣だよな」
「ほう、流石は北門を人でございますね。これを見破ったのは貴方で2人目ですぞ。ちなみに1人目は勇者カイトさんでした」
俺は、驚きを隠せず口が大っぴらに開いて塞がらなかった。そして村の中心部では、勇者カイト像が建てられていた。
「カイトさんは、この村を救ってくれた勇者でお礼に建てさせていただいたんですよ」
「師匠がこの村を…それは良かったです」
村長らしき人物は、名前も付けず何処かに去っていた。
村の中をぐるっと一周して終わり、宿屋を借りた。
「まさかアイツが、この村を救ってるなんてね」
「勇者って呼ばれてたし、そこはそうだろ」
「でもアイツは、弱かったよ」
カレンの言葉通りなのは、確かである。
師匠は、決して強かったわけではない。努力型の剣士だった。
でもそんな師匠が居なければ、今の俺が居ないもの事実である。
「そんなことよりさ、あのお爺さん絶対強いよね」
「だよな。槍で手合わせ願いたかったレベルだ」
あの場に居た全員が気がついた。
あのお爺さんは、只者ではないこと。わざわざ仕込み剣を携えている時点で、相当な手練なのは間違いない。
そんな人物が居るのに襲われたってどんな魔物に襲われたのか、少々気になった。
まだ時間は昼時だ。調べるなら十分な時間がある。
「ちょっと俺散歩してくるよ」
みんなそれぞれ返事をしつつ、俺の部屋で自分の部屋のようにくつろいでいた。
真っ先に、ギルドの方に向かおうとした矢先のことだった。
「そこの青年、ワシと手合わせ願えんかのう」
「俺はロードだ。仕込み剣の爺さん、先に名を名乗るのが礼儀なんじゃねぇか」
びっくりした顔で見つめてきた。俺はその時、え、俺変なこと言ったけって内心焦っていた。
「忘れておった。この村の村長をしておるラットじゃ。皆、ラット爺って呼んでおる」
「ラット爺やろうぜ」
正直言ってこの爺さんとは、手合わせしたかった。まさかこんな形で叶うとはラッキーだと思った。
そう言ってラット爺が歩いている方向についていくことに。
「まさか村の中に、訓練施設を建ててるとはな」
「驚いたか、この村を守る為じゃ。必要なことなのじゃよ」
次の瞬間、抜刀が見えた。
剣と剣が凄まじいぶつかりをする。不意打ちとはいえ、相当重い一撃であった。
一度体勢を立て直すべく、大きく後ろに下がる。
「流石だなぁ、でも侮るなかれよ」
「小童がワシに勝てると思うとるその心、潰してやるわ」
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