第218話 罪悪感
楽しんでいってください。
目の前に立っている男が、ペーシャトルでおそらく間違いないだろう。
だが、確定することはできないことぐらいロードにも分かっているのだ。
新聞の一面に夜中のニュースとして世界各国で出回っている。そのことも考え模倣犯の可能性も大いに考えられるのだ。
「おそらくだけど、僕は君には実力的には勝てないね。でも君たちも僕には勝てないんだ」
「は?」
いちいち癪に触る言い方をしやがる。それを分かってやっていることに苛立ちが募るばかりだ。
「私が負けたとして師匠が負けるわけないでしょ。それでどうして師匠があんたに勝てないわけ?叩っ斬るぞ!」
「あ〜怖い怖い。だってこの人たちを盾にしている僕は君たちの攻撃は届かないのだよ」
指を鳴らすと同時に、気配すら感じ無かった4人のフードを被った者たちが現れる。
顔は見えないが瞬時に理解した。
「許さない!」
「ご勝手に〜あ、1つ言い忘れてたけどカレンに連絡はダメだよ。だって僕絶対勝てないもん」
ナバラは、目の前の友達が操られているのだ。正気を保っているだけでも相当すごい方だ。
一方の俺は、ここでの適任者にテレバシーを送っておいた。
次の瞬間、怒り狂ったレンが殺しそうな勢いを放つほどの業火の槍を携えて現れたのだ。
「なんで火の代表?意味わかんないんだけど…」
「テメェ、ペーシャトルで間違いないな。俺の教え子に何してくれてんだ」
完全に訳分からんといった表情を浮かべており、冷や汗が垂れていた。
「え、教え子?ちょ落ち着いてくださいよ、え、待って待って。可笑しいでしょ、何が教え子だ?だってお前、魔法学園の教師じゃねぇだろうがよ」
そう言い終わる頃には、ヤツは宙を舞い壁にめり込んでいた。
その瞬間、洗脳が解けたのか4人が倒れ込むかのように尻餅をつく。
フードを脱ぎ、キョロキョロとしていた。
4人を見たナバラは、泣きながら駆け寄り全員に抱きついた。
それに釣られて泣く彼女らを、レンはホッとした表情を浮かべ近寄るのであった。
「みんな、大丈夫か。テレバシー聴いた時ほんと焦ったんだぞ」
「申し訳ございません。私が最初に引っ掛かってしまったばかりに3人を危険な目に合わせてしまいました」
立ち上がり、深々と頭を下げるエマであった。詳細なことを話し、カレンを呼んだのだ。
「ロード、解決した瞬間に呼びなさいよ。何事かと思って心配したじゃない。もう王都会議は明後日なのよ。しっかり頼むわよ」
大きく頷き、4人をナバラと仲間たちに任せドワーフ族のルフが待つ宿屋に走って向かう。
もう辺りはすっかり真っ暗になっている。約束よりだいぶ遅れている。
これはまたルフに怒られそうだと、頭を抱えてしまう。
そんな中、ルフが宿屋の外で初めて会った時みたく立っているのだ。
「ルフ!本当にすまない。ちょっと襲われちまってな、対処に苦労したんだ。本当にすまなかった」
「うん大丈夫だよ。カレンさんから事情は聞いてるし」
そういった彼女の声は、どこか寂しそうで俺の心に深く刺さるのであった。
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