第201話 師匠との本当のお別れ
楽しんでいってください。
「はぁ…ちょっとは死人を労われ」
そんなことを言いながらも、数撃当ててくるのが師匠である。
「極力一閃!」
「居合い一閃」
両者の剣が火花を散らす。お互いに、追撃体勢に入る。
そしてまた剣がぶつかり合うのだった。
「ちょっと休憩しよう!」
師匠が剣を下ろしそんなことを言うのだ。確かに打ち合い続きで病み上がりとしては俺も休むべきだと判断した。
師匠は、倒れ込むように横になっている。そしてものすごく笑っていた。
「久々に剣を動かしたのに、まだまだ体が覚えてんだな」
「亡くなってそろそろ半年程でしたっけ?」
「そんな感じだなぁ。そろそろ年齢上がるんじゃねぇのか?」
ロードは、突然思い出したかのように手を叩いた。
「とっくに19になってます。戦い続きで忘れてました」
誕生日を忘れてるなんて、カイトには信じられない様子だった。
カイトは、仲間の誕生日を忘れたことがない。どんなに苦しい状況でも、決して忘れなかった。
一年で最も大事な日なのだ。危険との隣り合わせで戦っているのだ、その日ぐらいは忘れて楽しんで欲しいと思っていたからなのだ。
「仲間の誕生日、知らないんだろ」
一瞬体が反応した。どうやら図星だったようだ。
カイトは、深くため息をしたのち喋り出した。
「今日帰ったら仲間の誕生日を聞け。仲間なんだから、それぐらい知っとけ!これは命令だからな」
ロードは頷いてはいるものの、どこか心配になってしまった。
まぁ、それ以上言ったってうるさいだけだし言わないでおくことにしたのであった。
ふと手を見ると、粒子が天に昇り掛けている。
あぁ、もう時間だな。最後にバシッと決めるか…
「そろそろやるぜ。先に行っておくが次の一撃が最期だ。それで成仏してこの世とはおさらば」
「そうですか…師匠とこんなふうに話せて良かった。最後、全力の一撃で逝かせてあげます」
そう言い終わるや否や、お互いに立ち上がり少し下がって剣を構えた。
「ふぅー…奥義!ソードメモリー!」
これを打ち破らないといけないのか。最高の一撃で逝かせるって決めたんだろう。だったらアレしかねぇよな
「神速式・極力一閃大龍斬撃!」
勝負が決まった……。
「ソードメモリーが破れるなんてなぁ」
ソードメモリーは最強技ではある。それはソードストーンあってのことである。
ソードストーンは、幽霊の状態では持てないのである。そのため、放った所で皆無なダメージにしかならないのである。
だが、それが勇者として最期の役目であるのなら、やらなくてはならないのだ。
師匠は倒れたのだ。そして次第に形を保てなくなっていく。
「悲しい顔なんてするな、久しぶりに会えて嬉しかった。魔王、がんばれよ……」
「ハイ!!」
そして、師匠はにこやかな笑みを浮かべたまま消えていったのであった。
魔法陣が現れるのであった。
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