第156話 レンの苦悩と吹っ切れ
楽しんでいってください。
そよ風に吹かれながら、俺はあの激闘があった場所まで来ていた。
つい2週間前のことだ。ここで俺は雷の魔法使い、氷の魔法使いと戦った。
戦ったって言うけれど、俺はあいつらが融合した段階で倒れた身。俺は、あの時本当に役に立ったのだろうか……。
確かに、あの時の最善だったことぐらいはわかっているのだ。
だが、もっと魔力があれば、もっと強かったのならば俺はあの場で倒れなかったのではないだろうか。
復活しても、命を燃やしに燃やした魔力の代償はとても大きいものになっている。
そんな状態な俺が嫌いだ。
気持ちいはずのそよ風、そんな俺を嘲笑うかのように体を通り抜けていく。
今の俺では、これからの戦い足手纏いになるのではないか。それすら、頭によぎってしまう。
俺は、どうしたらいいんだ。教えてくれよ、誰か。俺は何をしたらいい。
あーダメだダメだ。そんなこと考えたって答え出るわけねぇことぐらいわかってるのに、気持ち切り替えないと。
「槍でも素振るか」
子供の頃の俺は、軍に入って人々を魔物の脅威から守りたいとずっと語っている少年期だった。
最初から、導かれるかのように槍を選んでいた。なんか言葉には言い表せないけどしっくりした、そんな感覚だった。
槍と火魔法のコンボで俺はのし上がっていったが、そこまで行くのも俺は努力してきたつもりだった。
だが、俺は井の中の蛙だった。
旅をしていくにつれ俺より強いやつなんて多くいる。
俺は、弱い!
素振りをしていても何も払えなかった。
集中しなきゃいけないのに、俺は何を一体してるんだ。
槍を地面に置き、両手で頬をパチンと叩いた。
そうして数時間経った頃、そろそろ宿の方に戻ろうとした直後だった。
「キャーーーー!!」
ここから少し行ったところにある、森の方から女性の声が響いた。
すぐさま、走り出しす。だが、加速も神速も使えない俺は、ただ、女性が死んでないことを祈りながら、走るしか出来なかった。
間に合ってくれ、間に合ってくれ、間に合ってくれそれしか考えられない。
あ、見えた。まだ生きてる。
叫び声を上げたと思われる女性は、尻餅をついてなんとか後に下がっている。
だが、その周りにいるのはデュラハンである。
「嘘だろ……!?おい、逃げろ!死ぬぞ」
「あ、あ、あ、はい」
なんとか、起き上がり走り出したことに少し安堵した。
そんなことは束の間のこと、デュラハンがこちらを睨んでいるように見える。
「ここで仕留める。馬に乗ってない分まだありがたい」
手元が小刻みに震えているのを感じ取る。体は、正直だと思う。
怖さが勝ってる。いつもは仲間が居た。でも今は俺1人で、この状況を乗り越えなくてはならない。
どうしたら勝てるかなんて、考えてる暇があったら突っ込むのが1番だよなぁ。
槍は、突き刺すだけじゃねぇ。まぁ、魔法が使えてた時は突き刺してからのインフェルノとかが多かったからなぁ。
子供の頃に帰ったみたいだ。何も出来なかったあの頃みたいに。
初心に帰って、俺が出来る精一杯をする。
「さぁ、殺ろうぜ!」
吠えながら、駆け込んでくる。何度も何度も剣をこちらに振り下ろす。
そんな大ぶりな攻撃、俺には当たるはずもない。良い加減しつこい攻撃にもうんざりしてきた。
槍で弾き返す。
体勢を崩したらこっちのもんよ。デュラハンと同じように槍を振り下ろす。
そのまま、少しあげ横に振った。
「久しぶりにこんな攻撃したわ。思いの外うまく行った」
デュラハンは、先ほどの攻撃を警戒してか後に大きく飛んだ。
睨み合いが続く状況となったのであった。
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