第104話 闘技場11
楽しんでいってください。
カレンは、試合スペースに黙々と歩いていた。
その顔は真剣そのものだった。
観客達の歓声がどんどん近づくにつれ、より大きく、より強く聞こえてくる。今の私には、そんなもの目障りだと思うぐらい、鬱陶しく感じた。
私が見えたのか、より強い歓声が飛び交っていた。
目の前には、仲間を倒した対戦相手が待っていた。プレッシャーを感じるが、そこまで身構えるものでもないと感じる。
ほぼ同時に構える。
「レディ、ファイ!!」
エリナは颯爽と走り出していた。次の瞬間には、私の元に来るだろう。予測は、当たることとなる。木刀とはいえ、思いっきり首を狙ってくるのが見え見えである。
私は、軽く左手であしらいながら、右手で顔面にジャブを喰らわした。
エリナは、体一つ分吹き飛びそのまま後ろに下がった。私は、思いのほかうまく決まり内心喜んでいた。決して顔には出さず。
「やっぱあなたの格闘センスは、はかりしれないものがありますね」
「そう。来ないなら私攻撃するけど」
エリナは、それにカチンと来たのか瞬時に詰めて攻撃姿勢になった。
彼女の突き捌きを避けることは、何かの拍子に入ったゾーンの中では、赤子をあやすよりはるかに簡単なことのように感じる程度のことだった。
「当たらない……」
「もっと私みたいに早く打たないと当たらないわよ」
エリナは、数メートル吹き飛んだ。お腹から全身に激痛が広かるのを感じ取る。
すぐに次の手が来る前に、ひとまず退散する。退散することなんて必要じゃなかったのだ。退散することを予測され、逃げた先でインファイトを浴びることになった為だ。
エレナは、逃げることをやめ、一気に詰めてきた。先ほどより、正確な突きの攻撃をしてくる。だが、避けれることには、変わりない。
だが、確実に隙がなくなって反撃するチャンスがなかった。
「はぁぁぁぁっ!」
正面突破した方が早い。
何発も喰らうが、仕方ないことよね。右手に力をこめる。
「正拳!!」
顔面にクリティカルに当たり、吹き飛ぶ。地面に重く落ちたのである。
鼻からは血が出ていて、鼻を手で軽く擦った。そして立ち上がった。
「痛いわね。さすがカレンね」
「お褒めの言葉ありがとね。でも勝負は勝負だから負けないわよ」
「こっちだって負けませんから。私ロードと戦いたいですから」
両者構え直す。そして大きく踏み込んでお互いの全力を、ぶつけ合っていた。
カレンもエレナも笑っていた。心から楽しそうに戦ってるのが印象的な試合になっていくのを、眺めている。
エレナの目的は、本来は闇商人や闇ギルドであろう。奴隷商会と繋がっていし。奴隷用につかわれた拷問器具や檻などは、全てそいつらが用意したもので、間違いないだろう。
試合を見るのを中断して、観客側の方にいくことにした。間違いなく潜んでいるのは、間違いないだろう。そして今ここは誰も出れなくなっている。
そいつらの存在がある可能性が高いいま、逃げ出されたら軍の奴らは、恥晒しになってしまいかねない。
そのためより一層、気合を入れ操作に当たっているのが、こちらから見ても、そう思うことができるほどだったからだ。
「おーい、ロード」
聞き馴染みがある声が、前方から聞こえた。
「お、リサじゃん。もう平気か」
「うん、おかげさまで。ライさんのこと聞いたよ。私も少し見回りしてたんだ」
「そうか。でもあんま無理すんじゃねぞ!まだ病み上がりなんだから」
そう忠告するが、彼女は元気に走って俺の来た道を歩いて行った。
突然、中央の試合スペースで大きな音が鳴り響いた。
「勝者カレン!!」
その言葉で、一気に会場が盛り上がっていた。スペースでは、エレナが気絶している下で、そこを中心とし大きなヒビが入っていたのだった。
投げ飛ばしたか。なんて呟きなら試合スペースに向かうことにした。
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