第101話 闘技場⑧
楽しんでいってください。
相手選手の名前は、ライと言う女性だそうだ。年齢は、いくつぐらいだろうか。10代は違うな、20代後半から30代ぐらいであろう女性だった。
ライの使用武器は、リサや俺と同じ訓練用の剣だ。だが、奴の剣はおそらく刃物としても使えるだろう。
理由は、奴が剣を構えた時、俺とカレンで判定した際、木刀??と出た為であった。
それを教えることは出来ない。それは、ルールとして制定されている為である。おそらく、これに気がつけているのは、俺たち三人とエリナだけだ。それだけ、精巧に作られているからだろう。
「レディ、ファイ」
試合が始まった。
リサは、すぐに詰めて先制攻撃を仕掛けるが、それを容易く受け止められる。すぐさま、体勢を立て直すべく逃げようとするが、もう無理だろう。完全に奴のテリトリーに入ってしまった。
奴の攻撃は、重く速くリサにのしかかる。リサは、防御で手一杯である。逃げようものなら、確実な一撃が飛んできてリサは、倒れ込んでいた。
奴は、完全にこの状況を楽しんでいる。顔がずっと笑っている。なんなら、興奮しているのかだんだん息づかいが荒くなっていた。
「強い。全く歯が立たないなんて……」
「えぇそうね。だってあなた弱いんだもん」
それもあるだろうが、完全に奴のペースに乗せられている。体勢を立て直せない限り、リサは勝てないだろう。
リサは、最初の攻撃より格段に速いスピードで打ち込むが全くの効果がない。そのカウンターで地面に叩きつけられていた。
観客たちからは、ブーイングの嵐だ。ここまで一方的な試合運び、荒れるのは当然のことだった。
「多分リサは、リタイアしないでしょうね」
「だろうな。そうしないように誘導されてる」
「でもこのままでは、まずいだろう。今の攻撃で頭からは血が出てるし、何箇所も斬られてる」
彼女は、ふらふらになりながらも、必死にしがみつこうとしている。奴からは、笑みが消え、吐瀉物を眺めるような顔で見ている。俺は、今すぐにでも乱入したかった。それをしたらアイツの思う壺だとわかっている。
次の瞬間、リサは場外ギリギリまで蹴り飛ばされ、強く体を踏まれていた。
リサは、すでに剣を落としていた。それでも審判は止めもしない。そして奴は、リサの顔面に向かって剣を振り下ろした。
「あなたたち、何やってるかわかっているの」
「見たらわかるだろ。止めてんだよ」
カレンは、魔法会の権限を使い強制的に試合を終わらせた。カレンに、リサを預けこう言った。
「準決勝で会えるの楽しみにしててくれ。思う存分、叩き潰してやるよ。約束な!!」
会場中ダンマリ状態である。皆あっけに取られていた。後から試合スペースに入ってきた運営側は、文句言っていたが、魔法会、及び軍人に詰められ大人しくなっていた。
次の試合及びAブロック最終試合は、両者自主棄権した。
俺と戦うのは、アイツの手下だ。先ほどのことで、はらわたが煮え繰り返っていた。
(聖女の願い使うわ。こんな雑魚戦に時間使いたくないんだ)
(その代わり手加減はちゃんとしなよ)
そして試合スペースに向かった。相手は、筋肉を見せびらかすほどの目立ちたがりらしい。
「潰してやるよ!!」
俺は、ガン無視しつつ試合の合図を待った。
「レディ、ファイ」
神速で走り出しながら聖女の願い発動。次の瞬間奴は、場外どころか、闘技場の壁すらブチ破って吹き飛んだ。
会場がいっぺんに盛り上がり出す。まるでお祭り騒ぎだ。奴は、カレンの治療により骨折等の怪我は全て治っていたが、お縄についた。
カレンの鑑定でステータス表示が顕になったからだ。もう一人の手下は、逃げようと試みたがレンによって取り押さえられていた。
彼は、魔法会権限により強制的にカレンとの勝負が決まった。もちろんそれは、軍も了承済みだ。
そしてロードvsライの勝負が始まるのだった。
「さっきぶりだなぁ。約束通り叩き潰してやるよ!!」
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