第97話 闘技場④ー2
楽しんでいって下さい。
こっからは第二ラウンドって言ったけど、キツイな……。フーミルがあそこまで強くなってるなんて思わなかった。学校で先生として、いち魔法使いとして日々探求しているんだろうなぁと私は考えた。
杖を構え、魔力を込めていく。それを感じ取るかのように、魔弾龍が高密度の魔力を口に溜め出している。ブレスの体勢になり、いつでも放てる状態だ。
「魔弾龍!!ブレス発射!!」
一斉に噴き出される魔弾のブレス、それをカレンは神速で突っ込んでいく。会場中どよめき合うなか、カレンは躊躇なく踏み込んでいった。
魔弾とカレン自身がぶつかり合って、お互いに一歩も引かない状態であった。
「魔弾龍!!もっと火力上げて!」
その言葉に答えるように、魔弾龍の火力が上がっていくのを、感じ取る。だが状況は何も変わらない。
それどころか、カレンの方が上回っている。魔弾龍にどんどん近づいていく。そして数分間噴き出されたブレスが弱まっていった瞬間、魔弾龍はカレンの魔弾により、攻撃を受ける形となった。
「カレン… バケモンだよ、あんた」
「そうかもね。魔弾龍は孕んでるし、どうするの?」
「……」
彼女は、黙ったまま神速で近づいていく。魔弾が発射された瞬間には弾けていた。それ以降、魔弾のぶつけ合いを終始無言で続けていく二人。
「魔弾龍、もう行けるわよね。私たちの本気見せてやろうじゃないの!!」
魔弾龍は、その言葉に答えるように起き上がり、飛び上がる。カレンもまた、魔力の圧を一段上がってるのを感じ取った。
それに比べて私たちは、魔弾龍は飛び上がってるが、魔力的に限界が近づいている。早めに決着をつけないと私も持たない。
「バレット!!」
「ブレス!!」
お互いの攻撃がぶつかり合っていく。余波で私にもダメージがある。
カレンは、余裕綽々な態度で攻撃を繰り出している。私はあせりながらも、走り出し詰めていく。杖に魔力を込め発射させる。カレンは、スッと避けつつブレスと張り合いながら、左手で魔弾を直撃させた。
「はぁぁっ!」
魔弾龍は、私がダメージを受けたことにより、一気に体勢を崩し、カレンのバレット攻撃で爆散した。
ヤバい、おわった……。もう魔力も立てる元気すら残ってない。もう限界だな、腹部を中心に大量に血が出ている。それでもふらふらになりながらも、立ち上がった。
「カレン、私負けないから……!」
「あなたは、いつも最後にそれを言うわね」
そう言い終えたカレンは、杖に魔力を込め発射させた。
私は、意識が朦朧な状態で杖を構え、細々しい魔弾を私は発射させその場に倒れ込んだのだった。
目が覚めたら、そこは選手専用の医務室だった。横には、カレンが椅子に座って眠っていた。それを見た私は、改めて負けたんだなって実感した。
カレンが、パッと目を開けこちらを見た。
「楽しかったわ。またいつでもやりましょ」
そう言ってカレンは、医務室を後にした。私は、一人ポツンと残された状態だ。体は、元気だが心がしんどかった。またライバルに負けたのだ。悔しかった。布団を頭まで潜り込ませ、久しぶりに泣いた。
泣いた後は、スッキリとした状態で自然と、選手用の観客席に足が自然と動いていた。
選手や関係者たちとすれ違うたびに、今日の試合最高だったと褒められた。心がまた少し軽くなったのを感じ取った。
そうして歩いているとアナウンスが鳴った。
「レン選手対エール選手の試合は、エール選手の棄権のためレン選手勝ちとなりました。ただいまから、カレン選手対レン選手の試合を開催します」
盛り下がった会場が、一気に息を吹き返す。その歓声を聞きながら、二人の選手が試合スペースに現れたのだった。
最後まで読んで頂きありがとうございます。
いかがだったでしょうか?
フーミル関しては、詳しくまたまとめの時に書くのでお楽しみ。最近、ロードのこと書けてなくて本当に申し訳ないと思っています。このトーナメントが終わったら、ロード視点ですのでお楽しみ




