第96話 闘技場④ー1
楽しんでいって下さい。
私と彼女が戦うのは、学園にいた頃以来だ。彼女は、その頃から魔法会トップだった。彼女は、実力もさながら皆んなのリーダーだった。私は、そんな彼女と本気で勝負をしたかった。ことあるごとに勝負をするが、負ける日々だった。
彼女の魔弾は、私より強い。だが、私にとっては、それは良い経験となっていた。
彼女は、私を見込んで新設された代表枠に私を就任させた。まだ、就任して半年経つか経たないかだ。今は、代表になって私はここまで強くなったんだぞって示してやりたい。そうして私は、試合スペースに出るのだった。
会場中すごい熱気だ。何せあのトップ様と代表の試合が、見れるのだ。
「カレン!私負けないから」
「最高なバトルにしよう」
そして、試合の合図があった。私もカレンも速攻で魔弾のぶつけ合いから始まった。彼女の魔弾は、あの当時に比べ物にならないぐらい強くなっている。私は心から興奮した。魔力が体全身に湧き立つのを感じる。彼女となら本気でやれる。
それに反応してか、カレンの魔力も湧き立っていた。それに伴って魔弾は、より小さく濃密に、速度も上がっていた。
二人ともが、神速でどんどん近づいていく。至近距離の攻防戦は、観客たちを置き去りにしていった。
「あの攻防では、観客たちは何やってるかわからんだろうな」
「選手側も一部は置いてけぼり食らってるわ。ロードちょっくら運営の方行ってくるわ」
当の本人たちは、そんなことになってるなんて気がついてすらない。ただ今が楽しい、それこそが彼女たちなのだ。
まだ始まって数分ではあるが、試合スペースは既に何箇所も破損箇所が見える。二人の試合が終わるまでに、まず足場が消えてないことを、祈るロードであった。
「はぁ…はぁ…はぁ…」
「どうしたの、息もう上がってるじゃない」
そう言いながら、魔弾を飛ばすカレン。それを弾くフーミルだったが、確かにいつもに比べて、消費体力及び魔力の減りが激しいのは隠せない事実である。
カレンの魔弾は、一個一個本当に重たい一撃だ。それに対抗するためには、その分魔力を使う。その点カレンは、一つも汗なんかかかず、涼しげな表情でこちらを眺めていた。
私は、より魔力を手に集中させる。カレンが、杖をまだ使わない以上私だって使いたくない!!
「はぁぁっ!」
先ほどよりも、より濃密で速度の速い魔弾を発射させた。カレンは、それを簡単に止める。これが現実。
糞みたいだ、マジで……。でもなんでだろうね、本当に楽しいだ。こんな最悪なでも楽しいっ想えるこんな状況、まるで学生時代に戻った時みたいだった。
私は、続けて魔弾を放っていく。弾かれてもいい、砕かられてもいいから私は、放っていった。
「どうしたの、ヤケクソになってる?」
「なってないわ!ただ、私だってタダではやられないのよ」
私は、先ほど至近距離からの攻撃から、遠距離攻撃に切り替えている。カレンは、寄ってくる様子はない。私にとっては、好都合でしかない。
手のひらに魔法陣を生成させる。
「バレット」
魔力はえらい量が消えるが、あの魔法を出すためには必要なことなんだ。カレンは、正面突破で詰めて来ていた。流石にマズイ。この攻撃すらカレンには、全て無意味であった。だが、それは、カレンにとってのことだ。
今は、とりあえず神速で私も詰めていく。そしてまたぶつかり合いが続いていった。
あと少し、あと少し、あと少し、あ、溜まった。
カレンは、危険を察したのか後ろに下がった。そしてカレンは、杖を構えた。
「流石ね、すぐに下がるなんて。でもね、コレには耐えられるかしら。いでよ魔弾龍」
彼女が、そう言った瞬間であった。魔力の粒子が魔眼無しでも見えるようになっていった。
それが、一つに集まり瞬時に龍に形成されていく。その魔力の塊に、会場は唖然となっている。俺たち選手側もそれは、変わらない。
その龍のデカさは、あまり大きくがない。
だが、これはこの闘技場に合わせての大きさだ。だからなんだ。この魔力の密度尋常ではない。それは、まるでミヤを初めて、魔眼で確認したような感覚だった。
「マジか……。ここまでの作れるようになってたの。どうしようかな、魔弾縛り止めようか」
そんな言葉を無視して彼女は、龍を自在に動かしていき、魔弾のブレスをカレンに向けて、発射したのだった。
そのブレスをカレンは、バレットで耐えていた。だが、明らかに無理をして守っているように見えた。
そうしてカレンは、いつもの調子でこんなことを言ったのだ。
「こっから、第二ラウンドだよ」
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