王都に魔王軍幹部襲来⑤
楽しんでいってください。
私は、ここで死んでもいいと思った。アイツを道連れにして……
私は、今出せるスピードで走り込んだ。これが生涯最後の一撃になっても構わない。
絶対に撃ち込む。ただそれだけを考えて走り出す。もう避けやしない、ただ一直線に前に。前に行くんだ!!
ミア自身から、先ほどの楽しいという感情は消えていた。だってただ、一心不乱に、向かってくるアンに敬意を込めて私は、攻撃を下していく。
そして、彼女はたどり着いた。もうほとんど何も見えていないだろう。虚な目になりながらも、ライトニングで腹を刺された。
そして、彼女は力尽きて倒れ落ちていく。全身血だらけの彼女を見つめることしかしなかった。
それを運悪く見られてしまった。彼は、この惨状を見て何も言えなくなっていた。
それでも、問おう。
「あなたは誰?」
「……」
「無言貫くつもり?大丈夫だよ。生きてる生きてる」
彼は、背中に携えた剣を構えた。私は、魔法がいましがた使えない。仕方ないのである物を、顕現させた。
それは、レイピアである。メグとの戦闘で興味が出てきて、始めたものだ。
自分で言うのもアレだが、私は筋がいいと思っている。だから、メグ以外とは出来るいいチャンス。
私も構えたのであった。
最初は、相手のペースだった。だが、段々と剣が鈍っていくのを感じ取った。
その理由に気がついた時、申し訳なくなった。
彼は、完全に怯えていたのだ。最初は良かったのだ。静かな怒りで満ちていて、何も考えなくて良かった。
ふと見てしまったのだ。朝まで話をしていた、彼女がボロボロな姿になっているのを……
それからは、不安、恐怖が己の体に、包んでいくのを感じた。動きが鈍っていった。終いには、完全に相手のペースに陥ってしまったのだった。
「あなた相当な汗かいてるけど?」
何も答えないが、自然と顔に手を当てる。びちょびちょだった。今までにかいたこともない汗の量だった。
体は、恐怖で強張っている。そんな中、頭にある言葉が、流れ込んできた。
ソードメモリー使用可能
彼は、一気に間合いに入ってきた。それはまるで、全てから解放された瞬間のようだった。
「ソードメモリー」
マジ!?人間達の間で伝わる奥義。なんで今ここで発動したの。そんなこと考えてる場合じゃない!!
「黒薔薇」
2つの技は、大きくぶつかった。私は、腕が吹き飛び、生きている。打った男は気絶。彼が大事にしていた剣は、跡形もなく消えていた。
ただそこには、1つの巻物が落ちていた。
そして後日談ではあるが、彼はただ1人で、どこかに消え去ったのであった。
私は、運よく魔法の調子が戻ってきた。回復させながら、私は、目的の場所に向かった。
そこから簡単に終わっていった。だって彼らの隊長さんは、敗れ、魔法会も壊滅状態。
彼らは、完全に諦めたわけではなかったが、一瞬で終わっていった。
私は、目的の監獄のある建物にたどり着いた。
「この世に対する施錠」
その瞬間、中から大量の悲痛な叫び声が聞こえてくる。私は、目的を達成させたのであった。
息を潜めていた、新聞記者と思われる男にこう書くように伝えた。それで、カレンは治るだろう。
今日は、楽しかったし最高な物を見れたと思って彼女はバリアを剥がし、旅立つのであった。
その報道は、世界に大きな震撼を与えた。これで王都に居なかった、奴隷商会の連中含めて、この世から消えたのだった。
そうして、記事では、最後にある言葉で終わっていた。
「カレンよ、早く治れ。今度会った時は、ともに踊り明かそうではないか」
最後まで読んで頂きありがとうございます。
いかがだったでしょうか?
次からは、本編ですのでお楽しみに




