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ショートショート1月~2回目

新年のごあいさつなどなど

作者: たかさば

 あけましておめでとうございまぁす!!


 やあやあ、新年があけましたね!

 今年も無事一月一日ですよ、いやあ、めでたい!


 どうです、今年の正月は何を食べましたか!


 去年と同じ、餅でしょうか?

 それとも二年前みたいに、大みそかに半額で買った食パンでしょうか!

 もしかして八年後に清水の舞台から飛び降りた気になって頼む、三万円のおせち?

 ひょっとしたら…久しぶりに離乳食だったりして!!


 いやあ、いずれにせよ…きっちりお正月を過ごせているようでよかったです、今年も安心だ!

 ちょっと気になっちゃって…しゃしゃり出てきちゃいましたけど、うん、この調子なら大丈夫ですね!


 毎年毎年、きっちりやってくるお正月、さすがにねえ、これだけ長くお正月を迎えているとね、心配になってしまって。


 そろそろ、おかしいって気が付いてもおかしくないってね。

 そろそろ、世界の仕組みに綻びが出て来やしないかってね。


 ……いやあ、私心配症でして。


 だって、怖いじゃないですか、いきなり思いがけない事が起きるのって!

 ちょっとした違いくらいならいいんですけどね、いきなり世界の存続にかかわるようなことされちゃうとねえ……。


 はじめの50年くらいは新しい事が起きるのをワクワクしながら待ってたんですけどね、何も変わらない状態に…慣れてしまって。


 もう、721年も続いている、この変わらぬ毎年が……愛おしいんです、僕。


 あるはずのない事を想像しては、不安を募らせてしまうようになっちゃったんですよ。

 創造力が鍛えられてしまったようで、事態が動き出すんじゃないかってね、気が気じゃないんですよ。


 人間あなたが気付けるはずないってわかっているんですけど。


 もうね、いつまで続けたらいいものか、わかんなくなっちゃってねえ。

 この先どうしたらいいのか、悩む僕も…大概ですよねえ。


 どうしたものか悩んで、答が出ないばっかりに、ずいぶん長く同じ年を流してしまっている事に関しては、お詫びしておきます。

 ……すみませんねえ、僕がはっきりしないばかりに、延々と代わり映えしない毎日を与えてしまって。


 でも…、気付いてなかったでしょう?

 あなたが同じ時間を何度も繰り返しているってことに。


 いやあ、あなたに時間を与えて良かったです。

 そのおかげで、おかしなループを繰り返しているのに、まるでその事実にたどり着けないんですもん。


 時間の概念が命というものを存在させているって気付かないんですから。

 時間という存在があると信じて疑う事すらできないんですから。


 常に作られている、過去という記憶に支配されている、あなた。


 何回5歳の自分を繰り返しているのかってね。

 何回26歳の自分を繰り返しているのかってね。

 何回48歳の自分を繰り返しているのかってね。

 何回2歳の自分を繰り返しているのかってね。

 何回86歳の自分を繰り返しているのかってね。


 ずーっといるだけなのに、生まれた気になって、死にそうな気になって。


 自分しかいないのに、他に人がいる気になって。

 自分しかいないのに、他の人が気になって。


 あったこと、なかったこと、事実、想像、全てをあるものと信じて過ごしている、たった一人の、あなた。


 今年も楽しませてくださいね?

 今年も期待していますよ?

 今年もよろしくね?


 今年はほんの少しだけ、ヒントを残そうと思ってね。


 この物語を、残してみたんですけどね。


 そうですね、ピンとこないまま、今年も終わると思うんですけどね。


 もしかしたら、ひょっとして、僕と対面、できることもあるかもしれませんね?


 そしたら一緒に、今後のことを、考えましょうね!


 楽しみに、しておきますね!


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― 新着の感想 ―
[一言] いや、おかしいと気がついていませんけど、はい。どうなんでしょうかね。私も、偽りの記憶の中で、人生を送っている気になっているだけ……。 おおぅ。
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