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成り代わって蛇  作者: 馬伊世
第一章 成り代わり編
25/116

話聞いてよ、戦闘狂

総合評価100ポイント達成致しました!! ブクマ・評価・感想など、ありがとうございます!! 皆様の応援を励みに、頑張って書いて参りたいと思います。

 確か、原作での祟り神(不死身系敵さん代表)の倒し方は、「すごい人がすごい術で封印する」か、「すごい人がすごい必殺技で存在ごと蒸発させる」以外にないって、キャラの誰かが言ってたな。因みに、両手段とも、”神器”というすごいアイテムの装着が必須である。


 そんでもってスサノオが持ってるあの光る剣って、完全に神器で間違いないよね。あのひとが持ってるってだけで、神器の中でも超ヤベーランクのやつに決まってるよね。そしてスサノオともあろう方が、必殺技を持ってないわけがないというね。

 だから積極的に首狙ってきてるんだろうね! 動きの鈍ったところをズガンと一発、必殺技で消し飛ばすつもりなんでしょうねぇ!! 蛇型になったところで、おそらく地形ごと消滅させられそうで怖いねェ!! なんてったって日本列島作ったやつの息子ですから?? そんなくらい楽勝でしょうよ!!


 いや、初手でその(おそらく持っているであろう)必殺技をぶっ放されなかったってことは、やるなとかなんとか上から言い渡されでもしてるんだろうけどさ……いざとなったらやるんでしょ? こういうタイブのキャラクターって、そういう命令を無視して行動するのがセオリーじゃん?


 ルールは破るものじゃねぇ、守るもんなんだよぉ! 守れよぉ!!


 転生特典のおかげで、俺の場合はおそらく、”すごい人”の部分が、”自称神以上の位のすごい神”に置き換わってるんだと思う。

 でも今回、すごい神(スサノオ)とすごい神器が揃っちゃってるんだよね。祟り神()を殺せる条件、既に達成しちゃってるんだよねぇ!? ハイ、詰んだー!!





 もーやだぁ……逃げ道八方塞がりぢゃぁん!! あの自称神のヤローよりもスサノオの位が低いわけがないじゃん! 転生特典がスサノオ相手でも効果持ってる望みなんて、全く持てないよぉ!!

 位の低い奴の術式が高い奴に効かないのって、もはや常識じゃん! もうどうすりゃいいんだよぉ!!


 ……あ、そうだ。自前の剣技だけで敵わないのは当たり前なんだよ、相手が悪すぎるもん。なら、祟り神ぱぅあが任意発動できれば、多少なりとも打開策が見えてくるのでは……? (敵うとは言っていない。思ってもない。とんでもない)


 そうとなればさっそくトライだ! どうやってやるかは全く分からんがな!

 今までのは、怒りオート型の「意図せずやっちゃった系生理現象」だったからなァ……自分で意図的に繰り出そうとなると……よく分らん!

 でもこれまでの生理現象も、気持ちで威力に変化があるようだったたし、意外に精神論でどうにかなるのかもしれない。とんだ希望的観測だ。でもこれ以外に方法ありゃしません! 出来なかったら殺られます! でも少年漫画って、結局精神論に落ち着く傾向があるし、あながち間違ってないかもしれない! ハハッ☆

 とりあえず八つ当たりに、自称神への恨みを募らせて燃料チャージだ!!






 京紫に留まりし剣の色は、根本より鮮やかな赤に色を移り変えゆく。

 その刀身がすっかりと赤く染まり切ったその瞬間、黒くどろりとしたもやが、人の形をした化け物の体から解き放たれた。

 しかし、瘴気が触れた傍から地面その他は腐り落ちてゆくものの、件の神は少し顔を顰めただけで、何か影響を受けているような様子もない。


 ―――それどころか。


『ついに本性を出したな! 面白くなってきた!』


 実に嬉しそうに、にんまりと歯をむき出しにして笑ったのである。




 オモシロクナッテキタじゃねぇんだよ。こっちは必死なんだよ。何よ、呪い攻撃も全然効いてないじゃないの、強キャラぶるのもいい加減にしてよ、おっさんもうどっか行ってよぉ!!

 ホラでたよ。低級からの攻撃に、高貴なヤローが抵抗判定持ってる仮説が実証されてしまったじゃんねぇ! もこれでもう絶対に転生特典の効果がないだろうことが証明されてしまったじゃないの!


 心の中でギャン泣きに泣き喚いていれば、スサノオが瞳孔のかっぴらかれた目玉を、零れ落ちそうなほどにドでかく見開いて、鬼のような形相で叫んだ。


『我もそろそろ本気を出そうぞ! ハァアアアァア!!』


 ねぇまって♡

 まだアンタ(今出せる)本気出してなかったの!? チートも大概にしてください。

 ってか、それ以上破壊活動しても大丈夫なの? 上に怒られない?? というか、それってやろうと思えば一瞬で首取れたってことですよねぇ? 俺をいたぶって遊んでたってことですよねぇ?? アーッまって謎に力まないで神力チャージしないでぇ! ねぇそれ楽しい? 弱い者いじめして楽しいの? あ、とっても楽しそうね、そう……

 ってどんなドsサイコ野郎だよ、もうヤメテ本気出さずにお帰りくださいお願い致します。


 あああ、現実逃避はいいから対抗手段だ対抗手段……ラスボス君は他にどんなスキルを使ってた? なんでもいいから詳細を思い出せ、思い出すんだ……

 ア、まって攻撃が速い速い速いってばムリ、それはムリだ首飛ぶってヴぁああぁあ!!

 もうだめだ、とりあえず―――変☆身!!




 明らかにタメのポーズに入って、明らかにヤバイ量の神力が練り上げられたもんだから、咄嗟に最終手段の変身回避をとる。


 ヒトガタの体のあった地点を尾の先端位置に設定して、その場から後方へ向かって再構成された蛇の頭でもって飛び出し、とにかく遠くへ向かって長い全長をピンと伸ばして距離をとる。

 山越え谷越え、変身しきって胴体着陸した地点を支点に、未だ危険地帯にある尾もこちらへ引き寄せようとしたところでその攻撃が解き放たれた。


 遠くの方に、巨大な爆発の煙が立ち上るのが見えた。遅れて乾いた破裂音が響き、衝撃波が一帯を撫で過ぎ行く。




 ッブネー!! あんなのヒトガタで受けてたら絶対蒸発してたでしょ!? 何ならギリギリ射程圏内に入ってた尾の一部がなくなっちゃったよ! もう生えたけどさ。


 蛇型になった感覚で遠く、と感じるこの距離は相当なものである。結構たくさんスサノオとの間にスペースを置けたんだ。若干の時間稼ぎも出来るくらいには。


 このまま蛇型の最高速度で逃げちゃうのもアリだけど、只今放っているプンスコ呪が、ちょいとえげつないことを引き起こしてしまっているために選択できない。意識を乗せて繰り出しているせいで威力が上がっているのに加え、体が大きくなったことで範囲もケタ違いになってしまってるんだよね。ヒトガタの時と瘴気の濃度自体は同じなのだけど、表面積が増えた分、放出面積が増えてしまったんだ。既に申し訳なくなるくらいに、周りの被害がかなり出始めてる。


 地獄みたいな景色を作り上げてるってのに、ここで逃げの選択を取って、さらに環境破壊をするだなんてラスボス的な振る舞いは出来ないよ!

 しかも、これだけ周りに被害を出すだけ出しておいて、肝心のスサノオには全然効いていないという報われなさよ。


 多分、原作の方でラスボス君は、この広範囲呪い攻撃を常時やらかしながら大規模環境破壊活動をしてたんだと思う。そりゃ天界からも睨まれますわな。

 それにきっと、このままスサノオから逃げても、地の果てまで追いかけられるだけだろう。こんな危険生物を放置しておいてくれるはずがない。




 あー、どうすっかねぇ……逃げもダメ、戦いもダメで……しかも蛇型になっちゃったからもう剣は使えない。満足に応戦することすらできなくなってしまった。


 あれ、まてよ? ラスボス君ってラストバトルの時、口にでーっかい剣加えて、ブン回してた気がする。大きさ様々な光る刀剣を大量召喚して、武器の雨を浴びせる攻撃もあったような。


 じゃあとりあえず剣召喚じゃ! 何か知らんけど、来いやぁ!

 いっぱい出ろーなんか出ろー! えいえい、念じれば出る! 信じれば夢は叶うんダァー!!


 すると、ちっちゃい真っ赤な光がつぶつぶと、どこからともなく生まれては俺の周囲を飛び交い始めた。

 うおぉ、ホントに出たぞ、よっしゃ!

 ……でも何か虫みたいでキモいな……しかも瘴気噴き出してて禍々し……Oh、これ自分の意思で飛ばせるらしいぞ。


 とりあえず俺を守るように飛ばせてみることにする。

 巨大な蛇の周囲を、瘴気の雲を張りながら飛び交う大量のレッドな剣たち……摩擦で生じたぱぅあが集まってレッドなサンダーまで可視化し始めてる。

 ……うわぁ、これって傍から見たら超絶禍々しいな! ヒュウ、ラスボス感マシマシで全然うれしくないぞ!




 と、先ほど爆発のあった方角から、力の塊がこちらに向かって飛んでくるのを感じ取る。

 暫くすると、大音量の”声”が辺り一帯に放たれた。


『それが貴様の正体か! 噂通りの禍々しさよ……我が剣の元に成敗してくれる!』


 スサノオの姿は今は全く視認できないし、近くに来てもらっても米粒大にしか見えないだろうが、その溢れ出す存在感のおかげでどこにいるのか正確に分かる。

 なんかこう、第六感的な器官がビンビン反応するっていうか……とにかく、何故か居場所が分かるんだ。妙な感覚だ。これもラスボススキルなのだろうか。



『それ以上近づけば私も全力で抵抗させて頂くが、よろしいか』


 鎌首をもたげて触手を横に向かってはためかせながら、体をなるべく大きく見せて威嚇する。イルミネーション部分を眩しいくらいに光らせて、実は可動式の背棘もピンと立てて、シャーッと蛇らしく警戒音も添えて、来るなという念を込めつつ、精一杯丹精込めて威嚇する。


 だけどそんなので止まるスサノオじゃなかった。あれ、まって……むしろ速度が上がったような……?

 嫌だァ、帰ってくれェ!! 嬉々として突っ込んでくる神話のバーサーカーとか何それワロエナイんですけどぉ!?

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