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平凡な英雄記  作者: 霊鬼
第3章〜魔王と呼ばれた勇者〜
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17.王城にて

この世界で一番栄えている都市とは何か?それは間違いなくグレゼリオン王国王都バースであると言えるだろう。ありとあらゆる人材と物資が流通し、騎士になるためにも強者が集まるこの地。


その王都バースの真ん中に王城が存在している。さて、ここで俺がいる場所を紹介しよう。



「なんで牢屋なんだよッ!!!」



誰もいない地下牢でそう叫ぶ。なんか軽く事情聴取された挙句、お前危険だから地下牢入ってろって言われて現在に至る。いや、まあ確かにそうかもしれん。だけど一応、聖剣の保持者だぜ?それが捕まったって滑稽にも程があるだろ。


まあ良かったのは木刀をくれた事だな。素振りができる。ちゃんと飯も来るし、衣類もある。トイレもあるから困ることはないのだが、思いっきり修行ができない。つまり有り体に言えば暇なのだ。今頃あいつら何してんだろう……



「……聞こえるか。ジン・アルカッセル。」

「ん?」



声が聞こえ、顔を上げるとそこには一人の男がいた。黒い帽子、黒い服というように全身黒づくめであり、少し野暮ったい髭が生えている。



「すまないな長時間拘束してしまって。お前に対する判断を決めあぐねていたのだ。」

「ということは、出してくれんのか?」

「ああ。逃げ出されては少し困るから牢獄に入れただけだ。元々犯罪者として呼んだわけでもないしな。」



まあ手錠とかもされてないからな。牢の扉が開き、外に出る。



「それじゃあ着いてこい。お前への判断を言い渡す。」

「はいよ。」



男の後ろを付いて行く。



「そうだ。一つ質問をしたいのだが。」

「別にいいけど。」

「シンヤは元気だったのか?」

「まあ元気になったけど……知り合いで?」



しかし、他国の一介の騎士が知り合いになれるようなものではない。いや、だがそもそも騎士であるはずなのにこいつあまりにも軽装過ぎないか?



「ああ。あいつの親は古い戦友でね。」

「……失礼だが、名前を聞いてもいいか?」

「ディザスト。ディザスト・フォン・テンペストだ。」



俺は歩みを止める。こいつが、世界最強。あのシンヤやエースを差し置いて頂点に立つ『人類最強』なのか?その割にはあまりにも弱そうな……



「実力を隠すのは得意でね。この低身長も合わさってよく初対面では舐められたものだ。試しているかい?」

「いや、いい。勝てる気がしねえ。」

「それが正しい。だったら付いて来てくれ。」



そうして再び歩き始める。



「シンヤは心正しき人間であったが、それと同時に不安定な子だったからな。グローリーが亡くなった今、どうなっているのか心配だったんだ。」

「……元気だよ。自分から意気揚々と勇者を辞めるぐらいには。」

「ならいい。これから時代を紡ぐのは君達なのだ。立ち止まってもらっては困る。」



ディザストはとある部屋の前で止まる。入った事はない。しかし、その扉の装飾などからかなり豪華な部屋なのは分かった。ディザストは迷わず三回ノックをした。



「失礼します。」



そして返事を待たずに扉を開ける。



「おおそなたが……まあ座ると良い。」



中にいたのは若々しくも少し老けて見える男。俺は命じられるまま座る。



「さて、まず名乗っておこう。余の名はグレゼリオン王国第72代国王カルテ・フォン・グレゼリオン。今回はそなたに対する国としての判断を伝えるために呼ばせてもらった。」



国王様か……どうしよう。そもそもこの世界は敬語はあるにはある。しかし使うのは基本貴族だ。貴族は日常的に敬語を使う人が多い。まあ商人もいるにはいるが、それは商人によって分かれる。


なぜここまで敬語が使われていないのかというと、敬語の意味合いが日本と違うからだ。敬語というのは自分が認めた自分より上の存在に使う言葉。つまり最上級の敬意を払う事。いつも使っているならば誰にでも敬意を払い、慎ましく生きているという意味合いになる。


しかし俺はこの世界で敬語を使った相手はいない。つまり今まで会った人間の中で、俺が失礼な態度を取ってはいけないと心の底で思った相手がいないからだ。だから俺がここで敬語を使うと俺が今まで会ってきた存在の中で最も優れていたと言っているようなものだ。しかし王様相手に無礼を働くのも困る。どうしようか……



「ん?ああ、いい。楽にせよ。別に気張る必要はない。」

「いいので?」

「構わん。そこまで余の心は狭くない。」

「なら遠慮なく。それで、俺のことをどうすると?」



この答え次第では国外逃亡を選択しなければならない。



「本格的な魔王討伐が行われるまで保留ということにした。つまり勇者の存在を秘するということで結論が出たのだ。聖剣の使用は制限するが、自由に過ごして構わん。」

「おお、なら良かった。」



拘束されるのは困る。まあいずれ魔王は倒しに行くやもしれんが。



「少なくとも当分は普通の学生生活を送りたまえ。」

「ありがとうございますよ。」



「ただ、」と国王が言葉を続ける。



「余の息子、エースには会ったことがあるのだろう?聞かせてはくれぬか。生意気な奴だが、余の代え難い大切な子でな。」

「まあ、それぐらいならもちろん。」



そうやってその後数十分エースのことについて話した。

今はまだできないが機材とかが揃ったら、ゲーム実況とか歌ってみたとかやってみたいんだよなあ。


リアルの仕事と趣味の両立ってのはちょいと難しいもんだね。

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