2.おい、ファンタジーしろよ
圧倒的ネタ回ですが、何か?
レベルというのには壁というのが存在している。俺がレベル2に上がるのに苦労したのに、レベル6まで上がるのがあっという間だったのはそういうわけだ。そこら辺がどうにも条件が厳しいらしい。まあ未だにレベルアップの仕組みは判明してないからなんとも言えないが。
一般的にはレベル2とレベル7とレベル10に上がるのが難しいとされる。だからレベル7以上は重宝されるし、レベル10は言わずもがなというものだ。
俺は普通の人より遥かにレベルアップは早い方だ。入学時はレベル3なのに二学期にはレベル6ははっきり言って異常といえるクラスだろう。それはシルフェとアクトも同じだがな。
「立直。」
さて、レベルアップが早いとなるとダンジョン攻略に余裕が出る。だから今日から一ヶ月は勇者候補の補佐の手伝いをしてもらうことになった。しかし勇者候補とやらが来るのは明日らしいので、始業式を終えた俺たちはこうやって卓上を囲んでいる。
「槓。」
シルフェがそういい、四つの石を纏めて端にやり、石を一つ裏返す。
「よっしゃ!立直!」
「栄。」
アクトが意気揚々と前に出した石を見て、俺は自分の石を全て倒す。まあ察しのいい人になら分かるだろう。麻雀だ。
「大三元。48000点。」
「ええ……」
俺はため息を吐く。
「くそっ!お前麻雀もできるのかよ!」
結構一通りやった後でこれだ。この前に将棋とかオセロとかやった。将棋は10枚落ち。オセロは4隅ハンデで。まあ勝ったのだが。
「麻雀は運要素高いから勝てると思ったんだけどなあ……」
「だったら麻雀のプロなんていないだろ。」
「まあ、そうか……」
前世は色々やったからこういうのもできるにはできる。プロレベルぐらいないとあいつの相手にすらならない。
「だったらもう一局だ!数打ちゃ当たる!」
「いいぜ。」
「……なんで私もやらなくちゃいけないんでしょう。」
知らん。
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「国士無双。48000点。」
「はあ!?」
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「純正九蓮宝燈。48000点。」
「いや、いやいやいやいやいや!」
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「四暗刻、大三元、字一色。144000点。」
「は?」
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「天保。48000点。」
アクトは死んだように動かない。
「……やめるか。今日ちょっと俺の運が良すぎる。」
俺は麻雀を片付ける。
「ジンさん。もっと手加減してあげれば良かったのでは?」
「いや、それは失礼だろ。それに俺も負けたくないし。」
というか元来俺は負けず嫌いなのだ。仕方あるまい。
「まあ、仕方ありませんね。というかいつこんなの練習したんですか?」
「まあちょっと前世に。」
「なるほど。」
まあ仕方ない。俺は悪くないし。というか運が関係しないゲームで負けて、運が関わるゲームでも負けるって救いようねえな。
「ちくしょう!何気なくボードゲーム始めただけなのになんで勝てねえんだよ!おかしいだろ!」
「知らねえよ。」
「うるせえなこの野郎!あーあーもうやってらんねえよマジで!」
もうこんな年にもなってこんな風に喚き散らすなよ。
「よし。じゃあ神経衰弱やろうぜ。」
「てめえ絶対トランプ透視すんだろうが!」
「ははっ!生まれながらに持つ能力を活かすだけだぜ!?恨むんなら持ってない自分を恨むんだな!」
「そんな風に姑息だから勝てねえんだろうが!」
「はあ……」
シルフェが俺の隣でため息を吐く。凄く憂鬱そうな顔で、どこかやるせないような。
ここから先ずっとシリアスだから、羽休め程度に。




