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平凡な英雄記  作者: 霊鬼
第2.5章〜我らが夏休みは最高である〜
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4.夏と海は切りきれぬ 前編

ここは海。広大な海が広がっている。



「久し振りに海なんて見たな。」



現在地点はグレゼリオン王国が最東の地。そのファルクラム領である。



「まあジンさんは自分から海に行こうとはしませんでしたからね。」



一般客も大勢いる中、俺とシルフェとアクトで海に来ている。理由?遊ぶために来たんだよ。理由なんてあるか。



「水着なんて着たの何年振りだろうか……」



今世では初めて。前世含めて当分来ていない。前世ずっと独り身だった俺は付き添いという事で来ても、水着を着るなんてこと全然しなかったからな。



「よしジン!あそこまで競争しようぜ!」

「よしきた。」



アクトが指を指した先は少し離れた孤島。結構遠いけど、まあ普通に着くぐらいの距離。



「なら、私も参加しますよ。」

「じゃあ一番最後についた奴は晩飯奢りな。」

「お、今日はアクトが奢ってくれんのか。」

「サラッと俺が一番遅れるとか言ってんじゃねえよ!」



なんせ負ける気がしない。というか金なんて持ってきてないから勝たないとヤバい。



「じゃあ始めるぞ!先に行かしてもらうぜ!」



そう言って一足先にアクトは泳ぎ始めた。ああ綺麗なフォームだ。前世水泳にも手を出したことがあるから分かる。しかしやはりあいつはバカなのだろう。



「泳ぐより走る方が人間は速いんだよ!」



俺は海の上を走る。着地点を一瞬だけ凍らせ、足場とするのだ。



「それ海の必要ねえだろうが!」

「条件を設定しなかったお前が悪いんだよ!」



俺は直ぐにアクトを抜かし、突き進む。やはり俺が一位だったか。あれ。そういやシルフェは?



「『幻影青竜ファントム』」



俺は全身が震えたのを実感した。ああ確かに人間は泳ぐより走る方が速い。しかし、人間じゃないなら。



「知ってましたかジンさん。竜って陸上だと物凄く遅いらしいですよ。」

「それ反則だろうがよっ!」



つまり青竜に乗ってシルフェが進んでいたのだ。最初出遅れたのは一般客から離れて被害を出さないためか。



「目覚めろ!『神帝の白眼』」



アクトが空間を移動して前へ出現する。短距離転移か!



「加速するっ!」



俺も勤勉インダストリアの効果を使い、更にスピードを上げる。



「はっ!空間を移動している俺に追いつくものか!」

「無銘流奥義六ノ型――



レベルが上がったのもあり、簡単なことなら体に負荷なく行えるようになった。



「『絶剣』」

「うわぶっ!」



アクトが転移する瞬間に合わせて転移先の足元の水を上に吹き飛ばした。水が当たってアクトは堪らず目を閉じる。目を閉じたら動力は制限される!



「奪い尽くせ!『愚王の黒眼』」

「『究極進化アルティメットエクステンド』」



アクトが俺たちの身体能力を下げ、シルフェは身体能力を上昇させる。



「らああああああああァ!!!!」






==========






「もう二度とやらねえ。」



アクトは息を乱しながらそういう。結局アクトが最下位で俺が一位、シルフェが二位だった。やはり加速し続ける勤勉インダストリアが勝敗を分けた。シルフェのより強化率は上だしな。



「ここら辺の一番高い店に行かせてくれよアクト。」

「勘弁してくれ!頼むから!」



まあそれはいいや。そんな食に執着ないし。



「というかここ家建ってたの?なんか典型的なログハウスがあるが。」



俺の視線の先にはポツンとログハウスが建っていた。



「あ、ジンくん。」



するとその家からエルが出てきた。そしてシルフェとエルの目が合う。



「エルさん。久し振りですね。」

「お、覚えてたの!?」

「友人の名前は流石に忘れませんよ。というか学園にいたんですか?なら話しかけてくれば良かったのに。」

「いやあ、シルにはもう忘れられたかと思って。」

「む。それは傷つきますね。」



なんかエルがシルフェに感動の再会のように抱きつく。仲がいいんだろうな。



「ほう。貴様もここにいたのか。」

「……ハハハ。」



残念ながら俺の冒険はここで終わってしまったようだ。



「なんでここにいるんだよ……王子様だろうがお前。」

「王であったとしても休息は必要だ。寧ろ国の信頼を一手に担う王にこそ休みが必要なのだ。それに我は一日で何十日分の仕事ができる。貴様ら凡人と一緒にするなたわけめ。」



あーあー聞こえない。化け物の話なんて聞こえない。というか聞きたくない。劣等感で死にそうになる。



「安心するがいい。この我を除いた全ての生物は等しく凡人よ。その中でこの我に傷をつけた栄誉を誇るがいい。と言っても極限まで手を抜いての事だがな!フハハハハハハハハハハハハハ!!!」



楽しそうにエースは高笑いする。その途中でアクトが小さな声で俺に尋ねる。



「おいジン。王子はは分かるがあの獣人の少女は誰だ。見たことないぞ。」

「シルフェの古い友人。久し振りに会ったんだと。」

「へえ、可愛いな。彼女になってくれねえかな……」

「おいそこの眼球。我が婚約者に手を出そうとするとは、余程死にたいらしいな。」

「がんきゅう?」



アクトは飛来する武器を避けながらそういう。



「その股間にぶら下げているものを削ぎ落としてやろうか。」

「あ、すいません。」



さっきまで言い返す気満々だったのにサッと大人しくなる。というかエルの婚約者ってエースなのね。王族が異種族婚とかするんだ。

この前、所用で原稿用紙を買いに行きました。そしたら四店舗も回ってやっと見つけられました。


お金が足りませんでした

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