5.武闘祭開催
ちょっと遅れましたね。まあ元々不定期更新なんで問題ありませんが。
武闘祭は王都の闘技場にて行われ、一般公開もされる。まあ迷宮戦だけは闘技場ではやらないけど。個人戦は最終日の最後にやるからそれまでは暇があるわけだ。
「お、ジンじゃないかァ。久しぶりだねェ。」
「久しぶりと言ってもたった一ヶ月だけどな。」
話しかけてきたのは部長。いつも通り変な仮面を被っている。
「もう試合は始まってるぞォ。見なくていいのかァ?」
「今日は様子を見にきただけだからな。少し技の練習をしたいところなんだよ。」
「ま、頑張りなァ。年に二回しかないからねェ。」
俺はふと振り返る。そこに覚えのある魔力を感じたからだ。
「中々、強くなったではないか。」
「何の用だよ。」
俺はノータイムで聞き返す。その高圧的な喋り方、人を見下すような目。エース・フォン・グレゼリオンだ。
「貴様がどうなったか気になってな。」
「関係ないだろ?」
「関係ないことはあるまい。確かに貴様は強いが、この学年においては二番目だ。故に貴様はこの我に敗北するのだからな。」
確かにこのクソ王子は強いんだろう。それは分かる。しかし俺が負けるのとは別の問題だ。
「……相変わらずその高圧的な喋り方は変わらないねェ。そのくせ能力はあるからバカにできないのが本当にいやらしいよォ。」
「黙れジャック。これは強者のみに許された特権だ。」
「ここではジョーカーと呼んでくれよォ。そう通してるんだからねェ。」
知り合いなのか?というかジャックってなんだ。もしかしてジョーカーって偽名なのだろうか。
「ああジン。こいつは俺の従兄弟なんだよォ。これ以上に生意気な奴もそういないけどねェ。」
「従兄弟ってことは部長ってもしかして・・・」
「ああ、まあ一応俺は王族だぜェ。と言っても現国王の兄の息子だけどねェ。」
部長って王族だったんだな。知らなかった。
「それでは楽しみにしてるぞ。決勝でねじ伏せてやろう。その無駄な努力がいかに意味がなかったか教えてやろうではないか。」
そう言ってエースは去って行った。
「それじゃあ頑張りなよォ?来年の武闘祭にはもうお前が出るんだからねェ。」
「言われずとも。」
そう言ってジョーカー先輩も去った。
「学園戻って稽古するか。」
俺はそう言って学園に戻って行った。
==========
彼は負けるだろう。勝てる可能性は恐らく、万が一にもない。何の鍛錬もせずに世界最強と肩を並べる力を持つ。それがエース・フォン・グレゼリオン。僕が会いに行くべきだろうか。このままだと彼は取り返しのつかない事をしてしまう。
しかし僕が論理的に言ったところで意味はない。
ならきっとあの子。シルフェードとかいう子が止めてくれると信じよう。彼と誰よりも長くいる親友。彼女に僕の親友を任せるとしようか。




