21.三つの魔法
「先ず魔法には強さの階級が三つある。初級魔法、階位魔法、超位魔法の三つじゃ。それらは全て階位のもとで明確に区分されておる。」
あ、アクトが寝てる。最初からあんなんで大丈夫なんだろうか。
「第0階位と呼ばれるのが初級魔法、第1から第10階位が階位魔法。第11階位以上が超位魔法と呼ばれるものじゃ。」
アクトはさておき。第11階位以上、つまり超位魔法は使える人は全て最強の魔法使いの一角である証明。『賢神』の称号を賜っている。それほど取得難易度が跳ね上がるから実質第10階位が普通の人が使える最高階位。
「それじゃあ魔法発動における手順を説明しようかの。」
そう言いながら黒板に法、術、理という三つの文字を書く。
「知っての通り魔法を使うには法則型魔法、術式型魔法、理論型魔法の三つのどれかを使い必要がある。これらを三大魔法と呼ぶ。」
確かその内の理論型魔法は学園長が発明したんだっけ。
「法則型魔法は言わば一番単純な魔法じゃ。この世界に登録されておる何千種類も存在する魔法の中から自分の使いたい魔法を選ぶのが法則型魔法じゃの。決められた魔法しか使えんが、その代わりに発動が容易であるというメリットがあるの。」
法則型魔法はその便利性から簡単な魔法、特に強化属性強化魔法や光属性強化魔法などは戦士でも使う人が多い。寧ろ闘気だけに拘る奴はあまり伸びない。
「術式型魔法は術式を行使し、好きな魔法を付与できる魔法じゃ。魔法陣に使われたり、詠唱魔法で使ったり、魔道具の作成によく使われておる。集団戦では役に立つんじゃが、それ以外の実戦においてはあまり役に立つ事はない。しかし魔道具というのは生活を支えておる。光であったり、水であったり、火であったり。どれも生活に必要なものじゃから、覚えておいて損はないじゃろうな。」
魔法陣も詠唱も自分個人では制御が効かない魔法を術式化し、確実に発動させる。又はオリジナルの魔法を使う際に使う程度。しかし一対一で使う事は基本ない。魔法の集中は敵に隙を晒す事になる場合が多いからだ。
「最後に理論型魔法。これは毛色が少し異なる。今までのは全て元々システムとして神々が用意していたものじゃ。しかし理論型魔法は全てのプロセスを個人で行う。消費魔力、属性、大きさ、密度、スピード、動き。その他にも全ての要素を自分で決定し、発動する必要がある。」
理論型魔法の難しいところはこれだ。つまり全てを一から組まなきゃいけないという事。俺の高速弾や魔力腕も理論型魔法だが、これらはパターンを既に決定させているのだ。つまり使い方を覚えた。しかし、今から新しい魔法を作れと言われたらそれだけで半日以上使う。実用的なものと言われたら何週間かかるか。
「全てに違った良さがあるからの。全てを使い分けできるようにするのが理想的じゃ。特に戦闘を学ぶならば手段を選ぶ時点で三流じゃ。どんな手を使ってでも上に上がるような心持ちじゃないとの。」
その全部使いこなすってのは本職でも容易じゃないはずなんだがな。
「それじゃあ次は実用的な使い方について――
授業は更に続く。
何度も言うようですが、別に覚えなくても読めるようには書くので全部覚える必要はないです。何故ここまでの文章量なのかと言うと、一つの学問がそれほど簡単というのはリアリティに欠けると判断したからです。故に少し魔法は細かく設定しています。




