20.魔法
それで、最終的に帰宅部には無事入部完了。なんか最後の方にチラッと言ってたけど、先輩の偉大さを伝える意味合いがあったらしい。まあそんな感じで、部活動、迷宮共に順風満帆だ。今日は座学2日目。
「今日は魔導理論について話すぞ。まあもう分かっとる思うが、一応復習から入るのじゃ。」
教鞭を取るのはオーディン・ウァクラート。世界最強の魔法使い。魔導を教えるのにこれ以上の適任はいないだろう。
「先ず、魔導とは?魔法と何が違うのか。それから説明しようかの。」
魔導と魔法は別の意味合いを持つ。まあ調べなきゃ知らない人も多いが、逆に調べたら直ぐ分かる程度の知識。
「魔導とは、魔力を行使して使う術理。この世界には四つの魔導が存在しておる。悪法、天法、竜法、魔法。悪法は悪魔が使う魔導で、天法は天使が使う魔導。竜法は竜が使い、魔法は多くの人類が取得する魔導じゃ。」
悪法と天法は魔法で再現しようと、昔の人が挑んだことがあるらしい。その時に生まれたのが光属性と闇属性だ。
「その中で魔法には無、火、水、木、風、土、雷、光、闇の九つの属性が存在する。」
九つからなる魔法にはそれぞれ別の役割を持つ。
無属性は他にはない特殊性を。
火属性は圧倒的な攻撃力を。
水属性は万能と言える凡庸力を。
木属性は全てを癒す回復力を。
風属性は圧倒的なまでの効果範囲を。
土属性は相手の攻撃を通さぬ防御力を。
雷属性は圧倒的な速度を。
光属性は他者を助ける支援力を。
闇属性は敵を惑わす妨害力を。
それぞれ色々能力がある中で、水属性は無属性を除く全ての役割をカバーできる。だから俺が主に使うのは無属性と水属性だけだ。
「その中で無属性は特に異色じゃ。魔法というのは魔力に属性を与えて発動するものじゃ。しかし無属性魔法はそのまま放出する。見方によっては魔力そのものが持つ力とも言えるかもしれん。」
無属性は扱いやすい以外に特記するほどの良い点がない。にも関わらず大勢の人に使われているのには理由がある。
「無属性には有能な派生属性が存在しておる。能力を解析する『情報属性』。闘気のように扱うことができる『強化属性』。空間を司る『空間属性』。どれも各方面で重宝されているものじゃ。」
まあこの他にもまだあるのだが、そこは割愛されている。
「さっき九つの属性があると言ったのじゃが、派生属性を含めるともっと増える。派生属性はその属性が持つ別方面の力じゃ。ステータスには決して乗らないが故に派生と呼ばれるのじゃ。」
派生属性で俺が使えるのは水属性派生の霧属性と氷属性。あとは無属性派生の強化属性の三つだけ。
「最後に希少属性じゃな。オルゼイ帝国が七大騎士の一人が保有する崩壊属性も希少属性。二代目勇者の仲間である聖女が保有していた、現在では二人の担い手がいる支援属性。これも希少属性じゃ。」
希少属性は唯一ではない。あくまで希少なだけだ。だから場合によっては同じ時代に希少属性が10個被るとも有り得る。
「希少属性は一つ残らず強力なものが多い。希少属性を持つ奴は大体どっかで大活躍してるものじゃ。」
そうじゃなきゃ希少属性とは言われねえよな。劣化属性になっちまう。
「この学園にも何人か希少属性持ちがおる。」
確か、剣術部のマルコ先輩も希少属性持ちと聞いた。ちなみにシルフェは剣術部、アクトは特殊部に入っている。
「それじゃあ次は魔法分類についてじゃ。」




