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平凡な英雄記  作者: 霊鬼
第1章〜国立グレゼリオン学園〜
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16.第三階層

俺たちは今、3階層への階段を降りている。2階層が大したことなかったから、3階層も楽だと思っているのだが。どうも一学期までに11階層に行くというのが引っかかる。



「ここが第3階層か。あんまり変わってないように見えるけどね。」



アクトがそう言う。まあ見た目はね。迷宮は基本構造はあまり変えないようになってるし。



「あ、なんかいるぜ。」

「そうですね。あれはアーマードセンチピートでしょう。」



シルフェが言った通り、あれは装甲百足アーマードセンチピート。つまりムカデだ。といってもそこら辺にいるもんじゃなくて、人間より大きく更に体を守るためにまるで装甲のような外骨格を持っている。あれぐらい硬かったら俺の高速弾マグナムも刺さらないだろう。



「危険度は3か?」

「なら、一番槍は貰うぜ!」



アクトがそう言いいながら突っ走っていく。おいおいトラップがあるかもしれないのによ。そういうところが足りねえよな。



「ちょっと待てアクト!」



まあ追いかけるわけだが。まあ未来視もできるアクトが生半可なことでダメージを受けるとは思わないが。



「逃げるんじゃねえよ!」



更に追いつこうとアクトが加速した瞬間、アクトの真横から矢が出てくる。もちろんただの矢じゃない。赤き炎の矢だ。しかもあれは多分起爆タイプ。当たったらかなりダメージを受ける。しかし全ての矢はアクトに当たる前に爆発する。



「喰らいやがれ!」



爆発の中から現れたアクトが的確にムカデの頭を貫く。



「アクトさん。もう少し後先考えた行動をしてください。」

「だけど結果的には大丈夫だったろ?」

「それは私が結界を張ったからです。あまり無駄な魔力消費をするのは得策ではありません。」

「分かった。じゃあ今度から気をつけるわ。」

「深層になると即死トラップは珍しくないんですからね。」



そう言い争っている中。俺は魔石を拾う。こういうのはちゃんと回収しとかねえとな。



「ムカデの癖に地を這ってないから体の内側の攻撃がしやすいな。その分外側は普通より異様に硬いんだろうけど。」



流石に不動亀ほどの硬さはないと思うけど、十分めんどくさい。それになんとなく嫌な予感がする。



「おいおい来るぞ!」



迷宮の奥の方から何かが這って近付いてくる音がする。間違いなく数十匹はいる。



「『聖域サンクチュアリ』」



光の壁が張られ、ムカデがそれにぶつかり止まる。



「長くは持ちませんよ!」

「合図と一緒に結界を解除してくれ!」



ここで必要なのは速さ。一瞬でいかに無力化できるか。討伐ではなく無力化だ。



「レディ……」



三人がそれぞれ武器を構える。狙うのは骨格の間。頭部付近を斬れば直ぐには死なないが、移動はほぼ不可能。



「ゴッ!」



goがかなり独特な言い方になったが、伝わったので問題はない。俺たちは即座に己が武器を振るう。



「しゃあっ!」



一匹、二匹、三匹と手際よく骨格の間を斬っていく。斬った後もジタバタと体が動いているが、さっき程頭を使う動きはできない。



「石化の魔眼!」



俺が斬ったムカデが次々に石になっていく。それをアクトが砕く。



「そんなんあるんだったら最初から使えよ!」

「弱らねえと使えねえんだよ!」



そんなことを言い合いつつ更にムカデを殺していく。



「はあっ!」



シルフェは身体能力だけなら俺以上まで上げれる。だからこそあんなに素早く仕留められるわけだ。お淑やかさとかは全く感じられないな。公爵令嬢の癖に。



「これで終わり。」



俺は最後のムカデを仕留め、木刀を水魔法で洗い流す。ちょっと汚かったからな。流石に木刀を振って血をピッと飛ばすやつはできない。あれ以外と難しいんだよ。血が乾く前に振らなきゃなんないから一瞬で勝負をつけなきゃならん。それに木刀だとな。



「やっぱりちょっと染みてやがる。」



俺は木刀に手を当て、体液のみを取り出す。水魔法の応用。液体操作だな。練習すれば原子レベルで液体を抽出できたりする。師匠がそういう術式を刻んでくれたから然程難しくはない。



「木刀なんか使ってるから染みるんですよ。」

「うるせえやい。」



これ使うってもう決めてんだよ。木刀は最強級の武器だ。



「というか馬先生本当にいるんだよな?」



確かに全く気配は感じないが。



「てめえら如きが俺様の気配を察知できるわけねえだろうがよ。」



そういう声が辺りに響く。気配どころか魔力すら感じないんですが。



「邪魔はしねえから好きにやんな。危なそうだったら助けてやるよ。」

「頼むぜ馬先生!」

「だから馬じゃねえよ!」



怖いなあ。というかその能力欲しいんだが。



「まあいいや。行こうぜ。というか今日どこまで行くつもりなんだ?」

「行けるところまでって感じですね。どれほどの難易度かはまだ分かりませんし。

「そうか。ならさっさと次の階層行こうぜ。第3階層じゃまだ敵はいねえ。」



まあそうだな。これぐらいなら余裕で勝てる。一人で乗り込んでも普通に生還できるだろう。



「と、言ってもそう簡単には行かせてくれなさそうだぜアクト。」

「羽音、か?」



ハエや蚊が飛ぶようなブーンと言った音が鳴り響く。間違いなく新手だ。



「キラービーンです!治せるとはいえ毒を持っていますのでご注意を!」

「ああ!」

「任せな!」



再び武器を構える。今日までに第4階層に行けるといいが。

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