『平凡な英雄記』
この世界、アグレイシアに存在する英雄は十人。世界に大きな影響を十人の英雄達は十英雄と呼ばれ、どの世代からも憧れられる存在である。
初代勇者であり、グレゼリオン王国が初代国王である原初の英雄。『人王』ピースフル・フォン・グレゼリオン。
二代目勇者にして、聖剣を以てして魔王を代々殺す制度を作りあげた英雄。『勇王』ヴァザグレイ・フォン・ファルクラム。
聖剣を作り上げ、ドワーフの頂点に立つ初代鍛治王となった英雄。『鍛治王』アラヴィーナ・アルファ。
獣王国クライを創設し、獣人に安永の地をもたらした英雄。『獣王』グラレリオン・フォン・クライ。
魔法の真理を解き明かし、現代の方式の魔法の祖を作り上げた英雄。『魔術王』シンス・ヴィヴァーナ。
数多もの神獣を従え、神獣と人類種に永久的な平和を約束させた英雄。『自然王』キャラ。
人類最強と呼ばれたほどの力で何人もの人を救い、グレゼリオン王国の危機でさえ跳ね除けた英雄。『騎士王』ディザスト・フォン・テンペスト。
ありとあらゆるダンジョンを攻略し、いくつもの迷宮的暴走をたった一人で押さえ込んだ英雄。『冒険王』ギャンレイグ・ヴァグノ。
グレゼリオン王国の国王として人類を守り、そして新たな時代を作り出した英雄。『覇王』エース・フォン・グレゼリオン。
十代目勇者として様々な戦士達の先頭に立ち、数多の英霊の中心にいたとされる英雄。『英雄王』ジン・アルカッセル。
その中でも、『英雄王』ジン・アルカッセルの物語は現在でも語り継がれている。
==========
彼は、あまり人と関わることのない英雄だった。だからこそ、彼の人生には様々な憶測や推論が飛び交った。
曰く、剣の天才だったとか。
曰く、人嫌いだったとか。
曰く、そもそも人ではなかったとか。
主にアクト・ラスやフィーノ・ヴァグノの二人から語られた話で、数年たった先にやっと彼という人生はよく知られることとなる。
十年に渡り、一度も休まずに剣を振って最強に至った剣士。
数多の経験と鍛練の先に天才に打ち勝った努力の天才。
人のためでなく、自分のために聖剣を握った勇者。
自分の守りたいもの守るために命をかけた英雄。
あまりにも鮮烈なその人生に様々な人々が感銘を受け、そして広がっていく。吟遊詩人が歌い、演劇にして見られ、本としても出版された。彼の歩み続けた人生は、確かに人からの称賛を受けたのだ。
老若男女がその英雄記を好んだ。努力をして聖剣を抜き、神を殺して世界を救った。単純が故に愛された話。その物語は様々な派生をして、脚色をされ、これから先も人を感動させ続ける。
しかし、不思議なことのこの物語の題名は全てが一緒だった。彼の物語はそう呼ぶのが一番ふさわしいと、みんながそう思ったからだ。人々は口を揃えて彼の物語をこう呼んだ。
即ち、『平凡な英雄記』と。
完結でございます。みなさん、いかがでしたでしょうか。面白いと言う方もいれば、つまらないと言う方、微妙だったと言う方などそれぞれいらっしゃるのではないかと思います。ですが、まあここまで読んでくれた時点でそこそこは楽しんで頂けたのではないかと思います。
この作品はポイントどうこうではなく、どれだけ自分の妄想を形にできるかが優先でした。しかし、それでも評価を貰えれば嬉しかったですし、感想なども執筆のモチベーションに繋がりました。評価をくれた方、感想をくれた方。本当にありがとうございました。
この作品を書いた感想などはまた別に活動報告であげさせて頂きますので、興味がある方はご覧ください。また、これより下は私のこれからについてだとかを話させていただきます。余韻に浸りたい方は、一度ここで読むのをやめておくと良いでしょう。
『平凡な英雄記』はこれで完結となりました。ですが、まあ完璧に終わったというのは少し違います。
私はこの作品の設定が物凄く好みで、できれば次回作を作るにしても異世界を舞台にしてしまったら同じような設定になるだろうと考えています。ですので、この私の次回作にあたる作品は『平凡な英雄記』と同じ舞台にする予定です。
と言ってもこの作品のキャラクターが第四部の承太郎並みに活躍するとかそんなわけではなく、ただただ世界線の引き継ぎです。千魔人器の設定とか捨てるには惜しいですし、絶対に夢想技能に近しい要素は入れたいと思っているので。それならまあ、手抜きとはなりますが一緒にした方が都合がいいだろうという考えです
さらに、認知度はゼロだと思いますが一応私の別小説として『アグレイシア・アナザー』というのがあります。今は設定が一つあるだけですが、まあ次回作のためにも一旦設定を整理して、そこに英雄達とか勇者の話とかは入れてみようかな、と思っています。
次回作は構想を練るのに少しかかるので、どれだけ早くても九月ぐらい。まあ遅くても新年までには出すんじゃないかと思います。また私の妄想をぶちまけるだけの話となりますが、見たいという物好きな方がいらっしゃいましたらまたそこでお会いしましょう。
最後となりますが、私の駄作に付き合ってくださいありがとうございました。
2020年7月11日完結