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平凡な英雄記  作者: 霊鬼
最終章〜平凡な英雄記〜
229/240

9.英雄はここに

レイとシンヤが月にいる時、地上では各地で戦いが起きていた。大陸全土を覆う結界がある為、陸から悪魔が来ることはない。しかし逆にいうなら、空と海からは来る。



「チッ!数が多過ぎる!」



大陸周辺を主に担当するのはフィーノ・ヴァグノ。フィーノの方向属性は多数との戦いも容易にこたせる上、夢想技能オリジナルを使えば機動力も相当なものとなる。



「き、来たぞ!バルバトス様だ!」



そんな中、悪魔の中を割って一柱の悪魔が現れる。まるで狩人のような見た目をした悪魔。そして、見るからに普通ではないということを肌で感じられる。



「……七十二柱か?」

「当然だ。序列第八位『絶対支配の権能』バルバトス。覚えておけ。」

「そうかい。」



その一言と同時にフィーノは消える。そしてバルバトスの目の前に現れる。拳は既に握られている。



「『幻撃ファンタジック・インパクト』」



躊躇いはしない。一撃で仕留めるつもりでの一撃。しかしそれは、見えない壁のようなものにぶつかり止まる。



「行け、こいつは私が殺す。」

「させると思うか?」



フィーノは魔法を使い、向かう方向を変換しようとするがそれが発動することはない。いや、正確に言えば発動はしたが効果にはならない。



「発動、しない?」

「私の権能は支配。貴様のチンケな魔法の完全上位互換だ。」

「チッ!『幻速ファンタジック・スピード』」

「させると思うか?」



フィーノが逃げるより早く、バルバトスはフィーノの首を掴む。方向属性は相手の支配と相殺されて意味を成さない。



(このままじゃ、グレゼリオン王国に入られるッ!悪魔一体だけで何人死ぬか想像もできねえってのに!)

「ここで聞いていろ。同族の悲鳴と、貴様への恨みの声をな。」



しかし、それは叶う事はなかった。大きく音が響く。まるで叩きつけるような音。バルバトスの目に映ったのは、悪魔全員が同時に地面に落ちていくところだった。



「なん、だ、これは!貴様、何をした!」



無論、フィーノは何もしていない。そしてフィーノが何かしたという考えが、視野を狭くする。



「『幻撃ファンタジック・インパクト』」



幻の一撃が、フィーノを通過してバルバトスの体にのみ突き刺さる。バルバトスは吹き飛び、フィーノは落ちそうになったが魔法で直ぐ立て直す。



「おいおいフィーノォ!あんだけ言っただろうが!ちゃんと魔法の練習をしとけってよう!」

「ま、さか……」



フィーノはその声に聞き覚えがある。その顔に、その体に、その力に、その魔力に。大柄な男であり、その手には何も持っていない。しかしその拳が、足が武器だと分かるほどにその手足は太く分厚かった。



「お前は、誰だ!」



吹き飛ばされたバルバトスは翼を広げ、その大男へと迫る。しかし男は不適に笑いながら、堂々と空に立っていた。



「俺の名を知りたいのか!知りたきゃあ教えてやる!最強の冒険者!夢と共に生きた男!この世にいる八人の英雄の一人、『冒険王』ギャンレイグ・ヴァグノだ!」



豪快に冒険王が笑う。それを見て、フィーノは微かに涙を流しながら笑う。



「お前がどれだけ強くなったか確かめてやろうじゃねえか、フィーノ!」

「ッ!俺に追い抜かされて悔しがるんじゃねえぞ!」

「ぬかせ!」



英雄達はここに返り咲く。






==========






空の、悪魔の中に二人の英雄が立つ。



「久々の大暴れだぜシンス!心が躍るなあ!」

「リオン、ちょっと静かにしなよ。君は野蛮すぎる。もっと優雅さを身につけたまえ。」

「まーた説教か!死んだのに誇りとか責任とかを気にしてどうすんだよ!折角だからハメを外そうぜ!」

「はぁ。何で私がこいつと一緒に戦わなくちゃならないんだ……」



様子見していた悪魔も、遂に動き始める。ある悪魔は魔法を放ち、ある悪魔はその体で突っ込んでくる。



「ああ、もう、魔法の研究なんて永遠に秘匿にしとけばよかった。そうしたら英霊なんかにならずに済んだのに……本当に、めんどくさい。」



世界が凍る。ローブを羽織り、杖を持つエルフの女性。彼女を中心としてありえない量の魔法陣が構築される。



「まさか、研究成果の半分を公開するだけで英雄になるなんて。やっぱり私は天才過ぎたね。」

「相変わらず惚れ惚れするぜ。当時の十世代先の魔法を使った『魔術王』なだけはある。俺も、暴れようか!」



獅子の獣人。荒れ狂う猛獣としての本能を目覚めさせながら、遥か遠い敵へ一瞬で接近してその拳で破壊する。



「我が名はクライ獣王国開祖!『獣王』グラレリオン・フォン・クライ!英雄の一人として貴様ら人類の敵を滅ぼそう!」

「……『魔術王』シンス・ヴィヴァーナ。残念ながら興味がないんだ。そんな古すぎる魔導には。」






==========






少し前には世界の各地に神獣がいた。それらの神獣は一度、育ち過ぎた人類を滅ぼそうとした。しかし、それを止めた一人の英雄がいた。そしてそれから、神獣を見た人はいない。



「ヨルムンガンド、元気かい?」



一人の少女が海に向かって語りかける。そしてそれに反応するように大地が揺れ、海の中から大きな大蛇のような神獣が現れる。しかしそれはほんの体の一部。その体は海の中で、デルタ大陸でとぐろを巻いているのだ。



「久しぶりに全員揃うよ。フェンリル、ヒュドラ、鳳凰、八岐大蛇……全員元気だといいけど。」



数十の神獣全てをたった一人でまとめ上げた少女。それが自然王なのだ。



「いくよ、ヨルムンガンド。君が動けばみんなも僕がいる事に気付くからね。」



そう言って少女はヨルムンガンドの頭の上にのる。



「英雄の一人、『自然王』キャラ。その敵は悪魔と邪神だ!僕達がかかればあっと言う間に全員倒せるね!」



神獣は、再びこの世で動き始める。蘇った統率者の元で。

冒険王、騎士王、人王、勇王、鍛治王以外は、蘇らせる為だけに設定を作った。後悔はしていない。

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