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平凡な英雄記  作者: 霊鬼
第8章~八つの星はその地で最強を決する~
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20.天才vs凡人②

俺の目の前にいくつもの攻撃が現れる。しかし、それが俺に当たる前に避ければいい。弾けばいい。最初は難しかったが、徐々にその難易度が下がる。俺の無限加速アルガ・アクセラレートは、未だに俺を速くさせている。



「『原初たる人王の剣(レイシリア)』」



エースも聖剣を抜く。しかし、いくら時を止めれても技量は俺の方が圧倒的に上。そして俺の方が速い。



「『絶剣』」

「『決して壊れぬ七重の盾シールド・オブ・アイアス』」



エースが出現させた盾と俺の聖剣がぶつかる。それは少しのラグの後、真っ二つに割れる。理を斬る俺の絶剣は、如何なるものも絶対に斬り裂く。たとえどんな盾でも。



「『神狼殺しの拘束具(グレイプニル)』」



鎖が俺の体を覆うようして突如現れる。そしてそのまま俺を縛り付ける。



「武器とは違い、拘束具なら触れずとも有効な手として使える。そう簡単に勝ちを取れるとは思わぬことだ。」



体を動かすが、全く壊すことはできない。剣も縛られていて振るうことはできない。しかし俺の手段はまだある。



「『決闘の流儀(デュエルルール)』」



それは三つのルールで構成される。第一ルールは『公平の流儀』。強者の方の力を奪い、能力を平均化させる。そして第二ルール。



「『単独の流儀』」



鎖が消える。武器は一つ以外の使用を禁じられる。聖剣を持つエースは無想剣の使用が禁じられた。



「チッ!めんどうな!」



そう言いながら、俺の振るう剣を防ぐ。時間の停止を併用しながら俺の攻撃を防ぐが、それを加えても剣術という分野である以上、俺の方が強い。



「『天絶』」



分裂する刃が多方向から同時にエースを襲う。どんな防御であっても絶対に防ぐことのできない究極の刃。



「『傲慢之罪ルシファー』」



しかしまだ届かない。俺の動きは突然停止させられる。止まっていたのは一瞬であったが、その一瞬が立ち合いにおいて大きく戦況を変える。エースの刃は俺の体を斬り裂いた。



「頭を垂れよ。不敬であるぞ。」



俺の体に突如重力がのしかかる。いくら手札を封じても、まるで意に返さないようなその力。理不尽。その一言が一番似合う存在。しかしそんな存在に勝つからこそ、俺の証明はなされる。



「第三ルール『王者の流儀』」



俺は立つ。この王者の流儀の力は単純。苦痛が軽減されるということ。ただそれだけ。体にかかる負荷は変わりない。しかしそれでも、幾分かマシとなろう。



「よくぞ。ここまで辿り着いた。」



俺が剣を構えた瞬間、エースはそう言った。そして俺は本能的に走るが、いかんせん体にかかる重力が重過ぎる。俺がエースの元に辿り着く前に時間を止めて逃げられる。



「無想剣は形を持たぬ武具を生成する。ならば何故、無想『剣』と呼ばれるのか。それはこの無想剣の本来の役割に起因する。」



光の粒子が集まり、一つの形を成す。それは鞘。剣を仕舞い込む鞘だ。そして見るからにその鞘は、聖剣を仕舞い込むのに丁度いい大きさ。



「創造神が創り出し、建国の人王ピースフル・フォン・グレゼリオンに授けた聖剣。それが因果を決定するだけとでも?」



エースは聖剣を鞘に滑らせ、仕舞い込む。



「初代国王は聖剣を二分した。あまりにも危険過ぎたからだ。故にその権能を二つに分けた。そして今日、再び聖剣は本来の力を取り戻す。」



鞘は変形する。それは剣の刃へと形を変えていく。先程より一回り大きさを増し、白く発光している。



「感謝せよ!本来、貴様ら人類が拝謁するには過ぎたものだ!そして己の力を誇るがいい!悪魔王にすら抜かなかったこの聖剣を、貴様を倒すために抜いてやったのだ!」



どこまでも偉そうな、しかしエースらしいその言い振る舞い。そしてその右手に握る神々しい剣。原初の剣として相応しいその姿を見て、無意識に祈りの動作を取る人も視界に映る。



「そしてもう、貴様が我に攻撃を当てることはない。」



時を止めたような感覚ではない。間違いなく俺の視界にそれが映っていた。しかし、明らかに速すぎる。俺はギリギリでその剣を止める。



「この聖剣は、神の力を与える。戦神程ではないが、その身体能力は人の域を遥かに越えたもの。」



そして一瞬で俺の体に傷が入り、血が流れる。反応ができない。エースは俺から少し離れた所に現れる。



「まだ戦うか、ジン。頼みの綱の加速の力さえも意味を成さず、聖剣の力をもってしてさえこの我を倒すに叶わぬ。それでも尚!戦い続けるか!」



エースの言葉に応えるようにして、俺はエースを睨み聖剣を構える。未だ勝利は、俺の手の中に。



「ならばその身に絶望を教えてやろう!」



その純白の輝きが、覆い尽くす。思わず目を閉じた瞬間、魔力でも闘気でもない異質のエネルギーが周辺に溢れ出す。しかしその力を俺は知っている。青竜が出す神力。神かそれに類する存在が保持する力。



「放つは原初の剣。始まりの剣にして、未来を生み出す剣。」

「神よ鬼よ、乱れてその血を流せ!」



俺もただやられるだけではない。力を大きく溜める。俺が放てる全力全開。



「無銘流奥義七ノ型『神鬼乱血』」

「『未来は希望と共に(プロローグ)()王は世界を創生す(レイシリア)』」



神力が満ちる。純白の光の一撃。それに対するは魔力と闘気の全てを込めた奥義。赤黒い最強の一撃。






その地が、光で満ちる。

聖剣『原初たる人王の剣(レイシリア)

原初の始まりである創造神が可能性の象徴である人間に与えた剣。初代国王が直接賜ったともされるし、人伝に伝わっていき最終的に初代国王の元へ辿り着いたともされる。しかし重要なのは初代国王がいずれにせよ使ったと言われる聖剣であるということだ。

能力としては大きく三つ。一つは光の粒子による武具の生成、二つ目は因果を定める力、最後は神の力を部分的に行使できる力。グレゼリオン王家の血を継ぐ者でないと持つことはできない。


初代国王はその強大すぎる力を危険と感じ、二つに分離したとされる。その方法は未だに分かっていない。神代の出来事である為、資料が残っていない為である。その結果、現在のように二つを合わせて使う事によってやっと真の力を発揮できるようになった。

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