18.レベルアップ
「知らない天井だ。」
俺は起きた後、少し頭を整理させてそう呟く。
「何言ってるんですかジンさん。」
聞き慣れた声が聞こえると思ったら隣にシルフェがいた。俺が寝てるベッドの隣の椅子に座っている。俺は直ぐに上体を起こす。
「ここはどこだ?」
「教会ですよ。」
「ああ。」
俺は納得したように声を上げる。教会は病院としての面もあり、怪我人などがよく運びこまれるのだ。
「ああ、ボブゴブリンを倒した後に気絶したのか俺。」
「そうですよ。というかよく倒せましたね。」
「結構イカサマじみてたがね。」
だいたい落星のおかげだしな。
「あ、そういえばジンさんもレベルアップしましたよね?」
「いや、したけどよ。ジンさん『も』?」
「はい。私もレベルアップしたんですよ。いや、あれ私がちゃんと戦ってた扱いなんですね。」
まあ確かに途中退場した上にそのまま復帰しなかったからな。含まれてなくても有り得なくはない。
「それで、レベルアップボーナスで[聖者]が手に入ったんです。」
「レベルアップボーナス?」
なんだそれは。そんなん知らねえぞ俺。
「え?レベルアップボーナスなかったんですか?」
「いや、俺はレベルアップと同時に気絶したからな。どうなったかは知らん。」
シルフェは「ちょっと待ってください。」と言って一旦部屋を出る。俺は息を吐きながら力を抜く。体もちゃんと動くし、後遺症はなさそうだ。ほんと、疲れたな。しかしレベルアップができたのは良いことだ。これからもしっかり上げていかないと。
「ジンさん!お待たせしました!」
シルフェは石版を持って戻ってきた。あれは、叡智の石版か?いやだけど色が違う。白色だ。
「これは叡智の石版の上位互換。叡智の白石板と言います。」
「名前に捻りがねえな。」
「レベルアップボーナスはレベルが上がるごとに発動して、技術が足りているならばスキルを進化させたり、自動取得してもらえます。しかし普通の叡智の石版ならばスキルは見れてもその上位互換である上位技能は見れません。そこで、この叡智の白石版です。」
ふーん。
「この石版はスキル、上位技能、そしてあまり所持者はいませんが神位技能も見ることができます。」
ほう。なんかよく分からんが、まあなんとなく凄いことはわかった。
「まあ、習うより慣れろと言いますし実際に使ってみてください。」
「ああ、わかった。」
俺は石版に手を当て、軽く魔力を流す。すると見慣れたウィンドウが現れた。
××××××××××
【ジン・アルカッセルLv2】
[神位技能]勤勉
[上位技能]剣王
[スキル]水属性魔法
[闘気]A
[魔力]B
××××××××××
おお、おお?おお!剣王がスキルに加わっている。5年以上剣術を練習してきてやっとか。
「シルフェ!剣王があるぞ!」
「……」
「シルフェ?」
急に固まったようにシルフェが動かなくなった。どうしたんだ?
「剣王は少なくとも予想してましたよ。ですが勤勉って美徳系の能力じゃないですか!」
「美徳系?」
「知らないんですか!?七つの美徳と呼ばれる最強級のスキルですよ!」
そんな凄いスキルなのか。
「勤勉を取得しているということは、弛まぬ努力を積んだ証。それは素直に賞賛しますが……」
知らんよそんなん。それにしても、勤勉ね。まあまた今度調べてみようか。
「はあ。なんでそんな興味なさげなんですか。私がおかしいんですか?それともあなたが無知なのか。」
「うるせえよ。」
「まあ、それじゃあ解散しましょう。怪我は治ったようですし、治療費は出しておいたので。それでは。」
「治療費ぐらいは自分で払う。」
「一応命の恩人なんですから、大人しくしといてください。」
俺がなんとなく納得できないまま、シルフェは病室から出て行った。
「ふう。」
色々とごちゃごちゃしてるから取り敢えず頭を整理させよう。シルフェは回復魔法のスペシャリストの証である聖者を取得。それに対し俺は剣術の達人である証明の剣王。そしてついでに最強級らしい能力の勤勉。確実な戦力アップだ。迷宮ももっと奥に行けるようになるだろう。
しかしまだレベル2だ。これから更にレベル10まで上げなきゃならない。なんとしてでもな。やはり剣術も鍛える必要があるだろう。体捌きもまだまだ足りん。
「まあ、頑張りますか。」
俺はそう言い、教会を出た。
はい。一応この話で一章終了となります。これからはタグにもあったように学園編となります。




