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平凡な英雄記  作者: 霊鬼
第7章〜神を打ち砕く英雄達〜
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11.悪魔竜撃墜

魔導。その大きなジャンルの内に魔法がある。しかしこれは魔法を使うだけの学がある奴なら誰でも使えるものである。悪魔の地法、天使の天法、竜の竜法という種族固有のものも存在する。しかし悪魔の地法を元として闇属性が作られ、天使の天法を元として光属性が作られている。つまりは一部を除き再現可能なのだ。たった一つ、竜法以外は。

あの大きな巨体を浮かす飛行には竜の体にしか適応されないシステムを使用しており、最低限の魔力消費で竜が空を飛べるようになっている。ブレスも竜の体の構造だから成しえる特別な形だからこそ使う事ができる。


つまりは本来は悪魔が使えぬ技なのだ。ブレスというものは。それが意味するということは、アクスドラは悪魔であり竜であるという事実である。



「おいおい、マジで悪魔竜っぽくなってきたじゃねえか。」



アクスドラの頭は三つに増え、その口の一つからは紫色の毒霧のようなものが出ている。まるでゾロアスター教のアンラ・マンユが生み出したと言われるアジ・ダハーカそのものだ。そしてその伝承が正しければ、数千種類の魔法を使ったらしいが。



*#(¥/==========¥*#’jd;¥)#’msmm,)##::9



まるでノイズのような声が聞こえた後に辺りに火柱が上がる。それは不規則で手当たり次第燃やしていくような感じがする。やはり悪魔の魔力量は普通じゃないな。ただ火柱は下から上がっていっている。ちゃんと警戒すれば発生した瞬間に回避が可能。



「この程度なら良かったんだがな!」



アクスドラに近付くと空気の斬撃が飛んでくる。それだけじゃない。定期的に上空から雷も降り、大地も流動して俺の足場を奪い自由に動かせない。この規模の大魔法をここまで同時に展開できるのか。

しかも口から出るあの毒霧みたいなやつが辺りに充満してきている。恐らく即死レベルの強力な毒ではないだろうが、俺の動きを鈍らす効果があるはず。長期戦は不利か。



「無銘流奥義」



なら、腹を括るしかあるまい。俺は一直線にアクスドラへ迫る。一応俺には軽い耐性がある。体内に毒さえ入れなければ大体弾ける。俺は空気を大きく吸い、息を止める。飛んでくる一撃は避け、いなし、前に進む。



/~[]§| (€+¥()[!\]£!€\~\[£€$67{\}8723}8\322‼︎‼︎



再び音が響く。不快な音だ。それと同時にアクスドラの周辺に障壁が張られ、炎が湧き出るようにして現れる。回避不可の攻撃。一面を燃やせば地上には立てない。ならば空を駆ければよい。俺は空に氷の足場を展開し、それを蹴ってアクスドラに迫る。一瞬の展開なら氷も溶けやしない。



「『天絶』」



多重に重なる刃。全く同じ瞬間に、全てを断絶する究極の一が放たれる。それは障壁をまるでバターのように切り裂き、俺はアクスドラの眼前に立つ。



「『絶剣』」



見えた。アクスドラの魂にこびりつく鎖のようなものが、これが七十二柱に縛り付ける鎖。破壊神がつけた安全機構。普通なら斬れない。俺以外は。



『レベルが上がりました。』

「終わり。」



しっかりと斬った手応えと共に俺は地面に降り、聖剣を鞘に仕舞う。そしてそれは光となって俺の体の中に消えていく。アクスドラは地面に倒れる。魔法も消えていき、アクスドラも黒い光となって俺の体の中に消えていく。



「あーあ。家が壊れちまったなあ。」



俺はもはや家の形をしていない燃え尽きた屑を見る。だがまあ、父さんはそれでいいと言うだろう。むしろ家なんか燃やして欲しかったんじゃないだろうか。人の住まない家なんて必要ねえってな。



「先に荷物運び出しといてよかったな。」



そう言って俺は腰に吊るす袋を触る。この魔法袋に貴重品だとか持ち込みたいものは全部入れといた。俺は少し勿体ない気もするが、父さんとの思い出や日々は常に俺の魂の中にある。永遠と忘れることなく、色褪せない思い出は。



「ああ、ああ、随分と丸くなったもんだ。」



俺は瞳から落ちる涙を拭い、その地を後にする。もう二度とここに戻ることはない。だけど間違いなくここは、俺が生まれ育った地だ。それだけは忘れない。

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