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平凡な英雄記  作者: 霊鬼
第7章〜神を打ち砕く英雄達〜
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10.悪魔神竜

割とどうでもいいことなんですが、今この段階で次回作の構想練っています。

俺の右腕は治り、数日の間は感覚に違和感があったが直ぐにそれも無くなった。レイはというと頼まれたことをやりに行った。何を頼まれたのかは話してくれなかったが。



『……主よ。』

「なんだアクスドラ。」



俺の頭の中に声が響く。そろそろ王都に帰ろうと、荷物を整理している途中でその声が聞こえた。結局、九代目の力は借りることはできなかったがな。



『我輩は破壊神とは戦えない。』

「知ってるよ。どうせそういう風に作られたから、って事だろ?」



四つの原種が戦えない、というのはアクスドラから聞いた。そして七十二柱は破壊神によって作られた存在。ならば、だ。七十二柱にも多少なりとも対策を打っているはずだろう。



『正確に言うなら破壊神と悪魔が戦えぬわけではない。七十二柱達への命令権を持たせた存在を破壊神が作り出せるのだ。それを持っていたからこそ、バアルは『悪魔王』と呼ばれていたのだ。』

「へえ。」

『しかし自ら七十二柱の内から外れることによって、その命令権を覆すことができる。』



……回りくどい。人というか、生物がこういう風な言い回しをする時は絶対に別のデメリットがある時だ。じゃなきゃこんな勿体ぶらない。



「で、その条件は?」

『我輩を倒し、魂の所有権を奪い取る事だ。』

「お前がわざとやられれば済む話じゃねえか。」

『この契約解除の為の戦いは強制的に戦わされる。我輩自身意識を失い、本気で主を殺しにかかるであろう。』



そう、ねえ。しかしアクスドラは強い。戦力になってくれるならそれに越したことはないか。



「よし、やるぞ。」

『……良いのか?』

「俺がお前と契約したんだ。しっかり役立ってもらわなくちゃ困るってもんだ。それに、自分がどれだけ強くなったか確認しておきたい。」



そう言うと俺の体から何かが抜け落ちる感覚と共に、家の庭に竜が現れる。家一つを越える大きさの巨体と、それを覆う鮮やかな黒い鱗。そしてそれを浮かすのに十分な巨大な翼と、それを支える大きな強靭な四つ足。尻尾は微かに揺れ、その場に風を起こしている。俺も庭に出た。



「……やるぞ。」



左手に微かに重量がかかる。それは黒い刀。俺は鞘から刀を抜き、構える。



『力の制御は効かんぞ。死ぬやもしれん。』

「お前に勝てない奴が、破壊神に勝てるわけがない。それに……」



そもそも、だ。もう前提が違う。俺が心配される道理などありはしない。



「俺の方が強い。黙ってかかってこい。」



既に七十二柱は越えた。アクスドラは咆哮をあげる。大気を伝わり、音の衝撃が木々を薙ぎ倒す。翼を大きく広げ、こちらを睨む。その口に集まるエネルギー、それは間違いなく竜の力。本来悪魔であるアクスドラが使えぬはずの砲撃。



悪魔竜の息吹(デモンズ・ブレス)!!!』



高密度の魔力そのもの。まるで極太のレーザーのような黒き息吹が、口から放たれた。俺はそれに対し聖剣を両手で握り、力を込める。



「『豪竜』」



竜牙とは、竜をも殺す牙というのが名の由来である。そして豪覇というのは全てを捻じ伏せる豪の力を指す。それを複合した技は、遥か遠き敵すらも一瞬で仕留める。

俺が聖剣を振り下ろすとそこから斬撃が放たれる。それは真正面から息吹を斬り裂き、アクスドラへとぶつかる。



「『忍耐之徳ウリエル』か。」



しかし、それがアクスドラへダメージを与えることはない。忍耐の力は防御特化。ありとあらゆる攻撃への耐性を持ち、全ての干渉を受け付けない。()()()()



「無銘流奥義複合ノ型『竜絶』」



俺が聖剣を振るうと同時に、一瞬でアクスドラの翼の根本付近を刃が通過する。最強の剣技に、斬れぬものなし。その翼が新たに生えるより速く、俺は駆け始める。無限加速アルガ・アクセラレートは既に使っている。



「『天絶』」



普通、自然界では大きい方が強い。大きい方が硬く、強く、重量があるから。アリが毒を持たねば人を殺せぬように、正規の手段で自分より遥かに巨大な敵に勝つのは本来不可能。しかし俺の絶剣はその体格差を決定的に覆す。更にここが異世界であるが故に、一定の次元を超えてしまえば大きいなど的になるだけ。



「遅い。」



そして、加速する俺にアクスドラはついて来れない。



「もう一押しってところか。」



アクスドラの鱗という鎧は俺の攻撃を防ぐことは叶わず、血が流れるだけ。身体中に傷がつき、それを現在進行形で治しているが、完治には多少時間がかかるだろう。しかし敵意が消えてないことから恐らくはまだ倒した判定ではないらしい。



「……あ?」



更に追撃を駆けようと地面を蹴ろうとした瞬間、おかしな事がおきた。さっきまで再生に手こずっていたのに急に傷が治り、アクスドラの体に赤い線が走る。その赤い線はほのかに発色し、不気味さを感じさせる。何かが来る。そう思わずにはいられない。



『我こそが最強の悪魔。七十二柱の悪魔の一つ。七十三位の番外個体。』



低く、唸るような声が響く。翼が大きく開き、それは太陽を覆い隠した。辺りを薄暗くなり、魔力が暴れ狂うかのように飛び交う。



『竜の力を持つ悪魔。悪魔の力を持つ竜。我が創造主が定めた三大悪魔の一つとなるはずだったもの。その失敗作。』



悪魔が叫びを上げる。それはアクスドラの意思が乗っておらず、まるで喋らせられているように話している。



悪魔神竜アジ・ダハーカ。ミシャンドラである。』



悪魔が目覚める。

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