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平凡な英雄記  作者: 霊鬼
第6章~人という無限の可能性へ~
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28.対策会議

王城。王族や王国騎士、一流の使用人に官僚と。国の中枢を担うが故に人の出入れが限られており、その分優秀な人材が集まっている場所。城壁内に庭のような場所はたまに一般開放されることもあるが、王城内に一般人が入ることは難しい。それが例え一流の冒険者であっても、特別な事情がない限り入ることは許されない。



「よく集まってくれた。」



しかし、特別な事情さえあれば。こうして人は集まる。大きな円卓に幾人もの強者が座っていた。見ただけでそこらの人間と違うと分かるような。その中でも一部は見知った顔である。



一人はこの場に似合わぬ老人。先程声を発した人物。この中で唯一の弱き者。しかし彼はここに座る権利が当然存在する。優しき王として、国民からの信頼が厚い男。カルテ・フォン・グレゼリオン。グレゼリオン王国が第七十二代国王。この人物がここにいる人物を集めた。


一人は頭に包帯を巻きながらここに座る男。国王の隣に座り、その腰には二つの剣がある。服装は黒に包まれており、騎士らしくはないもののここにいる誰よりも強い。人類最強であり、王国騎士総騎士団長。生ける厄災たるディザスト・フォン・テンペスト。


一人はこの真面目な場に相応しくなく、この場にいる全員を見下すように顔を微かにあげている。傲慢を擬人化したような男でありながら誰も文句が言えない存在。次期国王であり、人類最強に生まれながらにして首を突っ込む天才。エース・フォン・グレゼリオン。


一人はやけに小さい子供。ドワーフより身長が低く、小人よりかは明らかに大きいにしろ、ここにいる姿は異様。しかしその実は百年以上の時を生きるエルフにして人類最強の魔女。オーディン・ウァクラート。


一人は馬の頭をした人間。馬の獣人にしては明らかに人体の構造がおかしく、ケンタウロスとしても下半身が馬なので当てはまらない。ミノタウロスが一番近いだろうが、それにしては頭が馬過ぎる。怠惰の王、ベルゴ・ルーフェ。 


一人は灰色のローブを被る女性。レイの師にして俺に魔法を教えてくれた人。魔法の研究の第一人者であり、オーディンに次ぐ魔法使い。四天王の青。ミラ・ウォルリナ。


一人は黒と白の仮面を被る男。王の兄の子。帰宅部の部長であり、グレゼリオン学園屈指の実力者。闇と光の属性を扱う魔法のスペシャリスト。ジョーカー・フェイス。


一人は温厚な笑みを浮かべる男。学園最強の肩書を持ち、あの人類最強のたった一人の弟子。リラーティナ家の次期当主。太陽とも呼ばれる火属性魔法の天才。ロウ・フォン・リラーティナ。



その他にも数名騎士がいるが、俺は会ったこともないし名前も知らない。しかし間違いなく実力者であり、俺より強いのは分かる。



「この国で、いやこの世界でも僅かしかいないレベル10の者。よく余の呼び声に答えてくれた。」



国王が話し始める。その発言は誰も止めることなく話し続ける。



「一人のみ、未だレベル10に至っておらん者がおるが、その者は勇者である。そして四月の頃にはレベル3であったが、現在は既にレベル8。もう直ぐ、短期間でレベル10へと至れると判断した。何か反論があるか?」



誰も、何も言わない。つまり異論がないというわけだ。



「今回そなたらを呼んだのは他でもない。破壊神のことである。戦神グラドの手によって一度は退けることに成功した。しかし三月。奴は再びこの世界を滅ぼしに戻る。他の国でも対策を進めておる。そしてもちろんここにいる全員には戦ってもらう。そのための情報共有をするために集まってもらった。」



この世界の全人類。戦わないという選択肢は存在しない。戦わなければ死ぬだけなのだから。人類どころか星の存続すら危うい。そういうところまで来ているのだ。だからこそ早めのうち、その時にどのようにそれぞれが動くかを考える。



「そして、三月より早く来ることも、それより後に来ることも想定してもらいたい。これはあくまで予想である。正しいとは限らない。」



最悪、だ。もしかしたら明日に来るやもしれない。そこは最早、父さんを信じることしかできない。



「七十二柱は確かにディザストが全滅させた。しかし、そもそも七十二柱を作り出したのは破壊神である。そして少なからず軍勢を率いることになると想定される。その軍勢を王国騎士団が担当する。」



王国騎士達は祖国に命をかけると誓った騎士達。レベル10が複数人所属しているだけでなく、人類最強がいることとなる。間違いなく王国内での最高勢力である。



「待て。人類最強をそこに使うのか?あまりに非効率的だと思うのじゃが。」

「ディザストしか適任がいない。それにディザスト自身、自分では破壊神を倒せないと断言している。ならば軍勢を倒し、ここにいる全員で倒しに行くのが合理的だと判断した。」

「……そうか。」



オーディンは話を聞いて直ぐに引く。そして直ぐ言い返す。



「ならば全員で軍勢を一気に滅ぼした方が効率的じゃな。そうした方がよかろう。」

「しかしその間は破壊神を自由とすることとなる。どちらにせよ戦わせる人員が必要だ。」

「なら、我がその人員は準備しよう。」



オーディンと国王と会話にエースが割って入る。



「数人の精鋭部隊で破壊神を倒しにかかる。その内の一人にジンを使う。異論はあるか?」



エースの問いかけに誰も反応を返さない。つまりは肯定だということだ。



「後は担当区域を決めよう。まずリラーティナ子息は――











その話し合いは長く続いた。最終的には全員が納得できる作戦を組み終わり、解散となった。破壊神と戦うという考えが大きく強まる話し合いだった。そして、俺は将来性だけでここに座っていた。つまり、それに相応しい力を手にれるのは前提条件。俺が実力を示す場所はグレゼリオンの冬季武闘祭。そこまでに実力を身につけなければならない。

これで、6章は終了です。7章の修行編に移行します。

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