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平凡な英雄記  作者: 霊鬼
第6章~人という無限の可能性へ~
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16.原初の剣

神器とは何か。

それは文字通り神によって作られた武具達のことである。霊槍『アランボルグ』、無想剣『ヌル』、聖剣『スターダスト』。この武具達は神によって作られたか、神により干渉を受けて作られた。その中でも特に強力である原初の神器が二つある。

神代、終わりなき戦いを終わらせるために創造神が人間に与えた聖剣『原初たる人王の剣(レイシリア)』。破壊神によって作られた種族、悪魔を有利にするために破壊神が悪魔に与えた反転剣『原初たる悪魔王の剣(アグリオン)』。


太古の昔、人王が世界を救うために握った剣と、悪魔王が世界を滅ぼすために振るった剣。今まで出会うことのなかった二振りの原初の神器がここに。



「反転しろ。概念さえも。」



先に仕掛けたのはバアル。自分の手を先に晒した。なら相手が対応策を論じる前に潰す。しかしエースは動かない。その右手の聖剣をバアルに向ける。



「どこを向いてるんだい?」



刹那、バアルが正に攻撃する瞬間。エースの視界からバアルが消えた。否、違う。エースがバアルの反対側を向いていたのだ。視界の反転、感覚の反転、方向の反転。相手のありとあらゆるものを反転させてしまえば、まともな勝負にすらならなくなる。



「死ね。」



黒い光がバアルの短剣に集まり、禍々しい一撃を生み出す。バアルが持つ破壊の力をそのものを集約させて、反転の力でそれを圧縮させる。悪魔王に相応しき滅びの一撃。



「『地獄は輪転し(ウロボロス)()永遠の狂気へと至る(アグリオン)』」



闇に呑まれる。漆黒の一撃が巨大な柱のようとなり、エースを呑み込む。それも一つではない。ありとあらゆる方向から闇の柱がエースを呑み込む。触れただけで滅びを迎え、見ただけで狂気に染まる。煉獄すら生温い滅びそのもの。


そして満を辞し、バアルが短剣を振り下ろした。











「たわけが。」

「ッ!?」



闇の中から片手剣が一閃、黒き短剣を弾く。



「秘匿し、油断させるからこそ、切り札は切り札足り得る。最初、ガラディーンの攻撃を反転させたとき。その時に我を殺せなかった時点で貴様の負けよ。」



バアルは動かない。否、動けない。そのまま闇が晴れ、エースがゆっくりとバアルへと近付く。



「貴様は死ぬ。我がそう定めた。」



アグリオンは歪め、本来の形を奪う剣。世界の法則を破る剣。悪魔王に相応しき剣。なら人王が持つに相応しい剣とは。世界を滅ぼす剣と対極にあるなら相応しきは世界を救う剣。未来を切り開く剣。


即ち、それ。未来を作る力。それこそがレイシリアの正体。バアルが死ぬという未来を作り出したのだ。エースはゆっくりと急ぐことなく、剣を振り上げる。



(動け!動け!動け!動け動け動け動け動け動け動け!!!)



未来は決定された。エースによってバアルは死ぬと。つまりそれまでならエースは必ず死ぬことはなく、それをバアルが避けることはできない。定められた因子。



「『未来は希望と共に(プロローグ)()王は世界を創生す(レイシリア)』」



あまりにもゆっくり、それでいて何よりも恐ろしく、剣は振り下ろされた。



(動けっ!)



バアルのその願いは虚しくも届かず、バアルは首から右脇腹にかけて斬られた。そして傷口が光り、眩しく、神聖な光が辺りを満たす。世界が純白に染まり、何も見えなくなった。そして光が収まるころ。



「認めよう。悪魔王。そなたは強かった。この我の次にな。」



塵すらも残らずバアルは消えていた。それを見て、エースの背中の翼と体にまとう鎧が光となり消えていく。エースはゆっくりと目を閉じ、海へそのまま落ちた。

エースはなろう主人公の偉そうなバージョンをイメージしました。『生まれた瞬間で最高レベルな上に神器も持っていて敵がいないんだが』みたいな。


それとは別にAUOさんも参考にしています。

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