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平凡な英雄記  作者: 霊鬼
第6章~人という無限の可能性へ~
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11.宿泊所襲撃

視界の先に、朧げに黒い生物が見える。宿泊所へとそれは襲いかかっていた。しかしそこには黄色、否、黄金の障壁が張られていた。



「……あれはエースの障壁だよ!そのまま中に入れると思う!」

「おうよ!」



後ろからエルの声が聞こえてくる。エルは再び俺の背におぶられているのだ。そして無限加速アルガ・アクセラレートがあるから俺が一番最初についた。エルの言った通り、黄金の障壁に俺は遮られることはなく入ることができた。



「とりあえずエースを探さなくっちゃあな……」



俺はエルを降ろし、辺りを見渡す。あんなに目立つ奴が隠れるなんて出来ないと思うんだが。すると天空から槍に突き刺さった悪魔が降りてくる。



「やっと来たか鈍間めが!」



それに続くようにエースが空から降りてくる。どこか顔にはらしくもなく疲労の気配が漂っている。



「いいかよく聞け。一度しか言わぬ。問答は許さぬ。今この結界外には腐るほど悪魔がいる。まあ有り得ないほど馬鹿な貴様でも見えると思うがな。」



確かに空を覆い尽くさんばかりの悪魔が蠢いている。しかしエースであったら大した敵ではないと思うのだが。



「外には七十二柱の悪魔が数柱。この我でも手古摺るほどにな。」



普通に考えて七十二柱の悪魔を一人で抑えられるはずもないのだが。エースの異常さが窺える。



「しかし、アグレイシア教が勇者を狙いに行くのは想定内だ。そのために貴様に余力を残しておけと指示したのだがな。面倒事が増えた。」



そしてエースの瞳を覗き込むようにして俺を見る。この仕草は見覚えがある。心を読む王眼を使っているのだろう。



「成る程。世界樹はそのようになっていたか。いいかよく聞け。世界樹の周りには魔力が溢れている。世界樹自体が魔力の発生源になっているのだ。断じて魔力が薄いなど有り得はしない!」



は?ああ、いや、ならば、その魔力はどこに――



「その魔力は一つ残らず王都への襲撃へ使われたのだ!四代目勇者の時のようにな!」



悪魔の、大量召喚か。



「学園長は!」

「問答はせぬと言っただろう!貴様が思ったことを全て勝手に読む!貴様が聞くな!……学園長、オーディンは行き違いでアグレイシア教の本部へ突入した。ディザストは今行方不明だからな!レベル10が一人もおらん!」

「なん――

「ディザストは最近に居なくなった!理由は知らん!だがあいつは国のために動く男だ!この我の側近でもあるからな!今、出れないほど大きなことをしているのだろうよ!」



人類最強がいなくなったあ?それに人類最強が対処が難しいほど大きいことって一体……



「だから貴様が行け!鍵を貸す!王都を思い浮かべて鍵を捻れ!勇者らしく悪魔を駆逐してこい!」



そう言ってエースは鍵を俺に投げる。それはあの時、デルタ大陸へ行く時にエースが使っていた鍵。



「エル!貴様はあのファルクラムの令嬢と眼球男を案内しろ!希少なレベル8だ!役に立つであろう!」

「う、うん!」

「なら行けジン!迷っている時間はないぞ!」



俺は迷わず鍵を捻った。すると門が現れ、それが直ぐに開いた。俺は迷わずそれに入って行った。






==========






エースは門をくぐり、消えていったジンを眺めた後、エースが張る金色の障壁の外にいる悪魔達を見る。



「ねえ、エース。大丈夫なの?」



心配そうにエルはエースに尋ねる。しかしエースは口角を吊り上げ、いつものように笑った。



「ふん。貴様が考えることではないわ。」



そう言って乱雑にエルの頭を撫でた。そしてその背には光が集まっていく。



「時間さえあればここは攻略できる。それに、あのディザストがおらんのならばこの我が人類最強よ。我が勝てぬのなら誰も勝てん。」




その傲慢不遜さは確かに苛立つものがある。それでも、人を安心させることができるのだ。



「我が愛しき婚約者よ。我はお前から人の価値を教わった。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。」



エースの背にある光は黄金に変わり、大きな翼。黄金竜の翼になる。



「グレゼリオン王国の端から端まで。その全てが我が宝だ。その全ては我に付き従わねばならぬ。しかし、その代わりに我が国の敵となる存在が現れるのなら。」



東の公爵、ファルクラム家が青竜の力を持つというなら。中央の王族、グレゼリオン王家は黄竜の力をその身に宿していた。



「我こそがグレゼリオン!初代から続く世界で唯一の竜人ドラゴニュートの一族!」



その翼は大きく広がり、空を駆ける。悪魔を、敵を討つために。



「有象無象として散るがいい!我こそは万物を統べる王であるぞ!」



悪魔達が、消し飛ぶ。

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