2.夢想技能
「最初は、確か夢想技能についてだったか。これは何度も言うように自分の夢へと向かうための想いの発露だ。故に、自分だけの最強の力が手に入る。」
その神が、人としての想いを最も尊んだがゆえに。
「そして夢想技能は基本二つに分けられる。自分らしさ追い求めた夢想技能か、なりたい自分を追い求めた夢想技能か。」
これは似ているようで大きく違う。
「自分らしさを追い求めたもの。例えばアクト・ラスの『人智超越せし神眼』とかだね。自分の弱さを恨み、自分の両眼を更に強くさせるために生まれた。だからこそ両眼を補助するタイプのオリジナル。このタイプに多いことなんだが、目覚めた人間にしか使いこなせないものが多い。事実、神帝の白眼と愚王の国眼の二つがあってアレは夢想技能足り得る。」
逆に言うならジン・アルカッセルがその夢想技能を持っていても宝の持ち腐れというやつだろう。
「逆になりたい自分を追い求めたもの。これは自分の目標とする姿を目指すもの。シルフェードの『永遠と続く絆』やフィーノの『遥か遠き英雄へ至る為』がこれに該当する。前者は人を、友を守る力を得るために。後者は自分のなりたい英雄へとなるために。これらはそれ単体が大きな力を持っている場合が多いね。」
そしてパタンと青年は本を閉じる。
「ちょっと分かりにくかったかな。まあ簡潔に説明してしまえば今のままでいいと思っているのが前者、違う自分になりたいのが後者ってことだ。」
そして本はまた飛んでいき、収められるべき場所で止まった。
「これは特別じゃない人間でも特別になれるようにする力だ。これがあるからこそ、この世界は平等足り得る。本当にもがいて、思ったのならそれを必ず夢想技能は助けてくれる。だがそれは悪人もだ。極悪人でも夢想技能は救ってくれる。それが残酷なまでに平等な世界、アグレイシアなんだからね。」
青年は次の本を取る。
「さて、次にいこう。システムを語ればもっと夢想技能については語れるけど、それは残念ながら僕にも分からなくてね。」
少し申し訳なさそうに次の本を開いた。




