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平凡な英雄記  作者: 霊鬼
第5章〜大罪と美徳と未知〜
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21.新しい聖剣

俺は黙って木刀をを右手に持ち、フィーノへ向ける。



「……なるほど。確かに聞いたことがある。あの冒険王には一人、それも天才な孫がいたってな。」



しかし、()()冒険王の孫がこんなんだとは。さぞ苦労したことであろう。



「さぞ悲しんでるだろうよ。たった一人の孫がただの私怨で国家を敵に回したんだってな。」

「……お前には分からねえよ。俺の気持ちは。」



ああそうだ。努力の天才だったこの俺にとって、努力ができないやつの気持ちは永遠に分からない。苦しいからやめるだとか、やりたくないからやめるなんて考えたこともなかった。



「お前は間違っている。」

「そんなん知ってる。」



空気の流れが変わる。見えこそしないが何かが俺に迫っているのがわかる。ここでこの空気を斬ってしまうのは簡単だ。しかしそれは根本的な解決には至らない。だからこそ斬るのはそこじゃない。



「『絶剣』」



それが魔力的干渉であるなら、こっちに来る前に斬ってしまえばいい。フィーノと魔法との繋がりを。



「うぐっ!」



魔法との繋がりを絶ったのだ。言いようのない不快感に襲われたことだろう。そしてそれは確実に相手に隙を作る。



「ァ」



大きく肩から腰にかけて斬る。殺すつもりはない。というかミゴのが緊急事態だっただけで、できれば犯罪者は捕縛して騎士団に突き出すに限る。シルフェがいるから疑われることもないし。



「ふ、ふふふ。」

「……悪いが拘束させてもらうぞ。」



俺はフィーノの頭を叩き、そのまま意識を落とさせようとした瞬間。



「ジンさん!」



体から急速に力が抜けた。これ、は。



嫉妬之罪(レヴィアタン)。その能力は相手の力を失わせる。」

「随分と、厄介じゃねえか。」



勤勉インダストリアじゃ間に合わない。神位技能ゴッドスキルでは伝説技能レジェンドスキルに並ぶのは不可能。なら、それ以外の力を使うまで。



「顕現せよ……」



木刀を飲み込むが如く、光が収束する。その形は日本刀の形へと変化し、木刀に置き換わるようにして鞘に入った一振りの刀へと変わった。



「『希望へと続く(スター)一振りの星(ダスト)』」



それこそが形を変えた聖剣。稀代の天才である鍛治王クラウスター・グリルが最高傑作。



「なんだ、それは。」

「さあ、なんだろうな?」



鞘を滑らすようにして刀を引き抜く。その刀身は真っ黒に染まっている。おおよそ聖剣とは思えない色。しかし力を感じる。聖剣が、自分が何をできるかを全て伝えてくれる。



「『超過起動(オーバードライブ)』」



新しいこの聖剣に与えられた権能は、至って普通のもの。付与自体ならそこら辺の魔剣にありふれたものばかり。それが数千を超えるほどの量で付与されている事を除けば。



「『切断特化』『鋭利化』『魔力適性』『魔力放出』『魔力収束』『速度増加』『筋力増加』『魔力増加』『範囲拡大』」



聖剣に文字列が走る。普通の武器なら、できても数百の付与が限界。それを、見えない場所へ付与する力を持つ『無の加工』だけが成し得る。故に数千規模での付与を使用可能。



主流付与(メインエンチャント)『刹那』」



付与の種類は二つ。主流付与メインエンチャント副次付与サブエンチャント。特に主流付与メインエンチャントに至っては、この世に数が限られる程の強さ。そしてそれが五つ。



「無銘流奥義ニノ型『天幻』」



戦源によっていくつにも増えた飛ぶ斬撃が、音をも置き去りにして放たれる。



勤勉インダストリアの能力制限が解除されました。伝説技能レジェンドスキル勤勉之徳ラジエルへの進化を実行します。』



そしてこれで、能力の差も、なくなる。



「『乱反射(オートリフレクター)』ッ!」



俺の飛ぶ斬撃は一つ残らず四方八方に弾かれ、フィーノには当たらない。しかし、それでいい。



『副次的に加速アクセラレートの進化を実行。伝説技能レジェンドスキル無限加速アルガ・アクセラレートへ進化しました。』

「お前が、防いでくれると信じていた。」

「ッ!?」



既に俺は背後に立っている。



――『筋力増加』『速度増加』『魔力超圧縮』『威力増加』『治療不可』主流付与メインエンチャント『無法』



「無銘流奥義一ノ型『豪覇』」



今度こそ、仕留める。俺は悠然と、それでいて強固な一撃をいとも、容易く振り下ろした。鮮血が舞う。



「お前の負けだ。」



フィーノは糸が切れたようにその場に倒れた。

ここから盛り上がる気がする

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