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平凡な英雄記  作者: 霊鬼
第5章〜大罪と美徳と未知〜
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9.開戦

王都の中でも高地。王都全体を見渡せる高台のような場所に一人の男がいた。その頭部は馬の形をしており、おおよそ人間だとは思えない。むしろ魔物ではないかと錯覚させてしまう。



「ついに、か。」



たった今、この瞬間。王都バースは完全に外と隔離された。それを証明するかのように、ありとあらゆる転移システムが止まり、もちろん足で外に出ることも不可能。流通なども一時的に止まることになるが、この王都であれば問題ないだろう。基本的にこの王都で流通は完結しているのだから。


この男、ベルゴ・ルーフェが持つ『怠惰』の力ならあるいは解除可能かもしれない。しかしベルゴはそれをしない。知っているからだ。この力は十四技能のものであると。そしてこんな大きなことをやるということは、知っているはずだ。この王都内に、既に十四技能の殆どが揃っていることを。



「『怠惰の権利(オール・アケディア)』」



『怠惰』の力は、全ての十四技能の中でも最強級の力を誇る。その全ての能力は動かなくても全てができるように、という点だけを追求したもの。故に何もしなくても情報を手に入れることができる。



「王都内にいるのは『傲慢』、『怠惰』、『嫉妬』、『憤怒』、『暴食』、『勤勉』、『慈悲』、『節制』、『純潔』、『救恤』、『謙譲』、『忍耐』。揃い踏みだな。」



この王都には現在『強欲』と『色欲』を除いた全ての十四技能が揃っている。計十二の技能が揃っているのだ。それは前回参戦しているベルゴにとっても、多い数と言えるものだった。



「だか、それにしても『忍耐』だと?何で今更……」



これまで怠惰の能力を以ってしても忍耐の情報を知り得ることが出来なかった。それが何故か今に限って出てきているのである。



「まあいい。」



ベルゴは槍を振るう。かつての感覚を取り戻すため。



「開戦だ。」



その目は虚空を睨んでいた。






==========






突如、完璧に王都の外と中が分断された。王都の外には決して出れず、逆に王都の中にも決して入れない。



「……まさか、たった一日で始まるとはな。」



こんな大きいことがたった一日で始まるとは思わなかった。確かにここに十四技能は揃っているが、完全にここにいることを理解して、こんな大きいことをやる行動力と決断力。誰かは知らんが相当なものだろう。



「シルフェ、出るぞ。」

「ええ。」



アクトは鍛治王を守るらしい。まあ学園長がいる中でそんな大きい問題が起こるとは思えないが。



「どうせ敵は勝手に出てくる。」



この王都内にいる人を困らせるために外と中を分断させたのだ。恐らく何もしなくても勝手に王都を燃やし始める。



「さあ、蹂躙しようか。」



俺たちは学園の外へ歩み出した。






==========






クラウスターは聖剣を打ち続けている。形を変えると同時に更に新たな力を与えようとするために。アクトの仕事はそれを守ることだ。



「いけそうか?」

「ああ。頭が冴えるンだよ。何でかな。今、怖いけどよ、安心してンだ。」



クラウスターは無邪気な笑みを浮かべる。



「今までで一番、ゆっくりと、確実に、それでいて今までの限界を超えた作品を作れる気がすんだ。」



クラウスターは幼少期以来の今、鍛治を楽しんでいる。何故これを作っているのかとか、どうして作らなくちゃいけないだとか、自分がどう思われているかなんて一切考えていない。


ただ、アクトがいるだけ。そう言ってしまえば大した事のないように感じるかもしれない。しかしクラウスターにとっては、あまりにも大き過ぎた。万人が完璧な鍛治王としての姿をクラウスターに見て、ジンやエースなどの強者は本質の臆病な部分を知り自然と距離を取る。


アクトだけだったのだ。純粋に、まるで子供のようにクラウスターと話して、そして笑うのは。アクトは幼い頃からその眼で、人の醜い部分も、綺麗な部分も全て見てきたからこそそうやってできる。しっかりクラウスターの事を理解して、そして手伝ってくれようとしているのだ。



「初代鍛治王を、オレが超えるんだ。」

「ああ、応援してるぜ。」



アクトは槍を回し、ピタッと止める。



「絶対に他の奴には邪魔させねえからよ。」


























こうして、戦いが始まった。

なんか、ややこしくなってきた

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