3.日本刀
この世界の鍛冶というのは非常に手際がいい。魔法があるから熱を使う際も温度調節が完璧にできる。更に急激な温度変更も可能。だから鉄製の剣とかでも簡単に作れてしまう。溶かして、型に流し込んで、風魔法で研げば終わりだ。簡単過ぎる。
「日本刀ってノは随分めんどくせえんだな。」
「否定はしない。」
動画投稿サイトとかでも載ってはいるが、見るからにめんどくさそうだ。一度俺も自作しようとしたが、ボロボロなよく分からないものができただけ。技術がないとそう簡単に作れるものではないだろう。
「んで、名前なんだっけ。」
「さっき言ったばかりダろっ!脳味噌いかれてんのか!」
「ああ、ぼーっとしてたから聞いてなかった。」
「そりゃさっきからずっと『お手玉』やってンだもんな!それさっさとやメろ。」
俺は言われたので仕方なく魔力の球を消す。高密度の魔力の球を、お手玉をように手で回す事によって集中力を高める練習だ。自分が制御できるギリギリまで魔力を圧縮するのがポイント。
「クラウスター・グリルだ。次は忘れンなよ。」
「おう。できるだけ忘れないようにするよ。」
その言葉と同時に俺へと一振りの刀を突き出す。
「こんなんか?試作段階だからもうちょっと試したいがよ。」
「……本当に初めてかよ。」
「言っとくがよ。この世界にはこんなんよりもっと作るのが難しい武器があるンだぜ?」
「それでも、初めてでこんなにきれいにできるもんなのか……ちょっと試し斬りしていいか?」
「いいぞ。ああ、丁度いいし、そこのゴーレムでやりな。」
鉄だから持ち手も握りにくいし、鍔もないから手が滑っちまいそうな気がして怖い。だがまあ、大丈夫だろう。伊達に剣だけで『伝説技能』を取ったわけじゃない。
「そのゴーレムはうちのとある馬鹿が作ってな。失敗作だし、処理に困ってたンだ。」
「じゃあ、細切れにしても?」
「問題ねえ。」
「了解っ!」
最初は上段から。上から右足で踏み込みつつ、刀を振り下ろす。
「らっ!」
そのまま二回、三回と何度も様々な角度から斬る。いつも木刀でやっていたせいか、物凄く断面が綺麗に見える
「切れ味がいいな。」
そう言いながらクラウスターの所へ戻る。
「……お前も大概バケモンだろ。」
「じゃなきゃ、勇者なんかなれねえんだよ。」
俺は地面に刀を指して、近くの椅子に座る。
「んで、いつ完成する?」
「……日本刀で作るだけなら簡単だゼ。一週間もかかンねえだろうよ。」
「じゃあ、一週間後ぐらいに来ればいいのか?」
「いや、折角だ。テメエの実力に対して、俺の作った武器が無能なら鍛冶師として恥だシよ。テメエのその剣技に合わせた、最高の剣を仕上げてやンよ。」
最高の剣か。俺は自然と笑みが溢れる。
「それは楽しみだ。」
「ああ楽しみに待ってろ。初代鍛冶王の最高傑作と呼ばれるこの聖剣。完全にグレードアップして返してやンからよ。」
そう自信満々にクラウスターは笑った。
なんかあ。この章二つぐらい物語混ぜ込んでボリューム増やしてるからあ。ちょっと書きづらいんだよね。




