本編4
光は天高くあがり、それが最後の守人が誕生したことを知らしめた。
月草はそれを近くで眺めていた。
すぐに彼らが来るだろう。
出来るだけ早くこの場から彼女を遠ざけなくては。
月草は微笑んだ。
世界は動く。
動かすチャンスは今しかない。
彼女は今しか存在しないのだから、
「さぁ、いこうか。今ので彼らにこの場所がバレてしまっただろうから。できるだけはやく、出来るだけ遠くに。」
神殿から出てきた桔梗は驚きを伝えたい様子だったが、それは移動しながら話そうと、手を引いて走り出した。
出来るだけ形跡を残さないように、静かに音を立てず、二人は用心しながら移動した。
この森を抜ければしばらくするとすこし大きめの街につく。
その先の小さな村で2日後に忍、葵と合流する予定だ。
それまでは逃げ切らなくては。
「月草さん、人の‥気配が。」
桔梗の声かけに月草も頷く。
「早いな、せめて街までたどり着きたかったんだけど。」
「気配を消して距離を取りましょうか‥?」
「そうだね」
月草と桔梗は気配を消して隠れる。
誰かが近づいてくる。
気配は2つ。
月草はその姿を確認すると眉間にシワを寄せた。
月草のそんな表情は初めてみた。
桔梗もその姿を確認しようとする。
年若い青年がひとりと30代前半のおじさんが一人。
年若い青年を見て何故かとても葵さんに似ていると感じた。
姿形ではなく、、なんというか、存在が。
「桔梗。この先にある街に出来るだけ早くたどり着いて。その東にある小さな村に2日後に葵と忍と合流することになってる。二人では彼らからは逃げおおせない。私が彼らの注意を引いている間に桔梗は二人に合流してくれ」
早口でいう月草の提案にそんなことできるか!と言おうとしたところで月草に遮られる。
「大丈夫、私は、死なない。殺されることもない。桔梗。二人を呼んで私を助けに来てくれ。
君の存在をまだ彼らに掴ませる訳にはいかないんだ。」
「‥かならず、助けに行きます。」
「あぁ、私の場所は葵が解るから。」
力強く月草の目をみると、月草がふと驚いた表情をした。
「‥桔梗。‥‥君の目は、深い紫なんだね。」
「‥え?」
「‥いや、、変なことを言ってすまない。
頼んだよ。桔梗。」
「はい!」
桔梗の言葉に月草は満足そうに微笑んだ。
桔梗の頭を撫でて立ち上がった。