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シダルセア   作者: rea
12/26

幕間1

桔梗9と10の裏側の話です。

撫子先生に呼び出されるのは度々あるのだが、今回のようにすぐに来い、というのは珍しいことだった。

何か急用かとあらゆる手段と力を使ってここ、虎王国に最短で着いたのだが、しばらく待てと部屋に通された。

そこには数人の見知った顔があった。


「久しぶりじゃないか、相変わらずいい男だな。紫苑」

近づいてきたのは長身の男気溢れる姐さん風貌の、篠青だった。


「久しぶりだね。篠青、ほめてもらってありがとう。篠青も相変わらずかっこいいね」

微笑んで返す。


「そこはいい女っていってくれよ」

「くす。いい女だよ、篠青」

「‥くそ!このフェロモンだだもれ男め!」

「それはあんまり嬉しくない」

紫苑は再び笑った。

片目を銀髪の長い前髪で隠した物腰の柔らかい美しい男性。

それが紫苑だった。

隠した片目はわからないが、もう片方は美しい紫色。

守人として覚醒したのは19年前になる。

それはもう美しい守人が誕生したと、まるで神格化したり、ファンが大量発生し、一時はすごい騒ぎだった。

そして、ある英雄としてその名を轟かせていた。


「紫苑も撫子先生に呼び出されたのか?」

「うん。昨日の今日で来いってなかなか大変だったけど、なんとか間に合ってよかった。」

「‥現実来れるあんたってすごいわ」

「なんか急用だったのかな?

篠青なにか聞いてる?」

「‥いや、、ただ、いつものやつっぽい感じかな…」

「‥あぁ。」

この19年続いている撫子先生の戯れ。

それを悪として制することが出来ないのは、我々が屈しているからだ。

そして彼女が正しいと言えば、世はそれを正しいと認識する。

それは紛れもない彼女の力なのだ。


「毎回じゃないとはいえ‥、だけど何故今回はこんな急に、そしてこれだけの守人を集めた?」

紫苑は不思議そうに考え込む。


「わかんねぇけど、あんたと私を含め守人を五人も集めた理由があるはずだよな」

「だね。‥なにか特別な。」


二人が話し込んでいると、兵が部屋に入ってきた。

「‥お呼びのようだよ。胸くそ悪ぃ」

篠青が呟く。

紫苑は部屋をでた。



通されたのは虎王国の玉座の間。

玉座の反対側にあるテラスのような場所でそれを見ていた。

カーテンに隠れ、玉座の間にいるもの達にはこちらが見えない。


「‥あんたを呼んだ理由ってもしかしてこれだったりして」

篠青が呟くように紫苑にいう。

紫苑は眉をひそめた。


そして、まさかの桔梗の若作り年増!の叫び声に、こちらの五人も完全に固まった。


まさか、撫子先生にそんな口をきく人間がまだ存在してるなんて!


篠青は口を押さえている。

笑うのを堪えているのか、信じられないと絶句しているのか。


そしてその次に聞こえてきた少女の笑い声に紫苑は目を見開いた。


その少女の笑い声には聞き覚えがある。

紫苑は口を押さえて驚愕している。


「‥紫苑?」

隣にいる紫苑の様子がおかしいことに気づいた篠青が声をかける。


「‥まさか」

紫苑は驚きを隠せないでいた。

目下で行われている少女の襲撃。

その姿が自分のよく知る人物と重なる。


そして撫子の言葉で確信を持った。


「‥月草!?」


撫子のその言葉をきいて、その場にいた守人全員が驚愕した。

もちろん、篠青も。


「‥紫苑‥!?」

戸惑いながら紫苑に声をかける。


「生きて‥」

紫苑が呟く。

篠青が哀しそうな表情をする。


「紫苑‥!行ってしまう!」

月草が桔梗を連れて逃げ出していく。


篠青が紫苑に促すように言うが、紫苑は篠青の手をつかんで制止する。


「行けない‥!」

紫苑の絞り出すような声に、篠青は哀しそうに目を伏せた。


美形一位紫苑くんです。

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