4月1日
「おはよう」
「おはよ!」
うーん、今日も良い朝だ。
4月1日の朝、僕はリビングで妹と父のあいさつを聞き流しながら朝食のコーンフレークを口にする。
まだ眠い身体に牛乳の冷たさが染み渡る。いやー、朝はさっぱりとしたものに限るね。
僕は新城雅紀。ちょうど今日、4月1日で高校二年生だ。
4日後の始業式まで春休みを堪能しなければ。
そう思った僕は朝食を終えると、すぐに自室に帰りスマホでネットを巡回し始める。
エイプリルフールの今日は様々な企業が一日限定の企画としてサイトのデザインを変えてみたり、空飛ぶ車が発売されるといった嘘のニュースを発表する。僕は毎年この催しを楽しみにしている。
このエイプリルフールだが英語でApril Fools' Dayと言うらしい。直訳すれば四月馬鹿というなんとも安直な訳を知ったとき正直笑ってしまった。
起源は不明で、いつから、どこでエイプリルフールの習慣が始まったかはわかっていない。昔のヨーロッパでは3月25日を新年としおり、4月1日まで春の祭りが開かれていたが、フランスのシャルル9世が1月1日を新年とする暦を採用。それにブチ切れた人々が4月1日を嘘の新年として馬鹿騒ぎを始めたことが起源だ、なんて説もあるらしい。
度々、嘘ををついても良いのは午前中だけといわれているが、その風習があるのはイギリスだけで、それ以外の地域では一日中OKなのだという。それを知った僕は、昼食の途中に妹に嘘をついたところ、案の定「嘘をついてもいいのは午前中まででしょ」と言われた。そこで意気揚々と日本なら一日中嘘をついてもいいんだぜと教えてあげると、「だから何?」という顔されてしまった。
エイプリルフール企画開催中のサイトの巡回を終えた僕は、時計を確認する。まだ10時半だ。何をしようか。
始業式まで今日を入れてもう4日しかないのだ。時間は大切に使わねば。
そう思った僕だったが春の陽気なのか、それとも昨日は遅くまで起きていたからなのか睡魔が襲ってくる。
(まあ、まだ4日もあるしちょっとぐらい贅沢に使っても良いか)
決めた。起きたら、やっぱり寝るんじゃなかったと後悔しそうな気もするが、睡魔に身を委ねることにしよう。