真エンディング
柱の裏にはいつも通りクロノスがいた、
「おつかれニャン。記念すべき500回目のタイムは2000時間ニャン。じゃあ、はじまりの村に飛ばすニャン」
オレはキョトンとする。そうだった。次のループが始まるんだった。
「待ってくれ。ちょっとだけ時間をくれ。オレの計算では魔王を倒してからまだ24時間経過してないはず」
オレはサラとの約束を果たした。今夜サラはオレのものだ。
「ダメニャン。もう時間ないニャン。次のループの時に早めに目的を達成すればいいニャン」
「それはそうなんだがここまできて・・・」
クロノスが近づいてくる。おでこにクロノスの手が伸びたその瞬間、サラの声がした。
「タケル。なにしてるの?」
オレはドキンとした。やばいところを見られた。
クロノスも固まっている。
「これはそのぉ儀式だよ」
「儀式?」
「勝利を祝う儀式みたいなもんだよ。なっ?神様」
「そうニャン!儀式ニャン!」
慌てふためくオレたちを見てサラは人差し指を顎にあて首を傾げる。
「神様?その子モンスターだよ?魔族の儀式は危ないんじゃない?」
「なななななんですと!?」
オレはぶったまげて目が飛び出しそうになる。モンスター?こいつまさかオレをだましてたんか!顔面蒼白のクロノスをにらみつける。
「てめえ、どういうことだ!」
「知らないニャン!わがはいは時の神クロノスニャン!」
狼狽するクロノスにサラは指摘する。
「わたしは魔物使いだからわかるの。きみからはモンスターの匂いしかしないよ。魔王の眷属なんじゃない?匂いが強いし」
「ちちちちちちがうニャン!」
オレはスラリと背中の剣を引き抜いた。
「てめえ、今すぐに全部しゃべるか、しゃべってから死ぬか選びな!」
「ひーどっちも死ぬやつニャン」
「1秒でも長く現世の空気を吸いたいだろ?あん?」
「死ぬのはいやニャーン!」
泣き叫ぶクロノスをみてかわいそうにおもったのかサラはオレをなだめる。
「まあまあ。モンスターの命を大事にしようねって約束したじゃん」
「したけど、こいつだけはゆるさねえ!」
「いやーひとごろしニャン!」
「おまえはネコだろ!」
「きみぜんぶ素直にしゃべりなよ。そしたらタケルの怒りもおさまるかもよ?」
「わかったニャン!ぜんぶ素直に白状するニャン!」
クロノスは地面に降りて正座した。
「オイラはシラタマって名前のネコ科のモンスターニャン。勇者たちが魔王の間にたどり着く直前に作られた魔王様の魔力がたっぷり注がれて作られた特別なモンスターニャン。時間操作系の魔法が使えるニャン。魔王様は自分が倒された時は勇者に呪いをかけて冒険の旅から永遠に抜け出せないようにしろとおっしゃられたニャン。それでオイラは時の神クロノスを名乗り勇者をまんまと罠にはめてやったにゃん。勇者はRTA中毒なって目の下にクマもできてフラフラになったニャン。こいつはもう永遠にループから抜け出せないと確信していたニャン。けど運命のイタズラニャのか勇者はこの場に絶滅したはずの魔物使いを連れてきたニャン」
真相が判明した。
なるほどそういうことだったのか。魔王のやつ、子汚え最後っ屁かましやがって地獄で100兆年過ごしやがれ!
「24時間以内じゃないとはじまりの村に戻せないっていうのも嘘か?」
「嘘ニャン。仲間に相談されると怪しまれるからその場で決断させるためのでまかせニャン。別にいつでも戻せるニャン」
「嘘ばっかつきやがってよぉあきれるぜこんにゃろめ〜」
「全部話したニャン。どうか命を助けて欲しいニャン」
「タケル許してあげなよ。タケルのことだから、ループしていろんな女の子と遊んだんじゃない?いい思いもしてるんだからさ」
「なぜわかる?」
「英雄色を好むっていうからさ」
「ぐぬぬ」
図星を刺されたオレは震える手で剣を鞘にしまう。
「サラに免じて許してやろう。どこへなりとも飛んでいけ」
「行くところなんてないニャン」
シラタマはメソメソと泣く。
「かわいそうだね。わたしの島で飼ってあげるよ」
「やったニャン!」
「こいつループの魔法使うかもしんねーぜ。おでこに手をくっつけて発動させるから気をつけろ」
「これは対勇者専用の魔法ニャン。他の者には使えないニャン。つぶしが効かないニャン」
「もうタネは見破られたんだから人畜無害だよ。タケルなら寝込みを襲われても気配を感じて起き上がるから魔法を発動させられないでしょ」
「まあな」
もう2度とループなんてごめんだぜ。何度も繰り返されたループによって心が擦り減り性格が歪んで口調も悪くなった気がする。
その後、オレとサラは結婚してモンスターたちと島で一緒に暮らした。愛し合って子供もいっぱい作った。これが奇跡的にたどり着いたトゥルーエンドだ。めでたしめでたし。ちゃんちゃん
RTAっていうのは一種の狂気だと思う。
だからこそ感動する。
人は狂気に惹かれる生き物なんだ。




