縛りプレイ
もう何回目のループだろうか。数えきれない。7回目の時はたしか縛りプレイを自分に課した。2軍のパーティーで冒険の旅をして仲間は盗賊、踊り子、忍者だ。モモにミリアにスズメ。レベリングポイントの使用も禁じて武器も銅の剣と皮の鎧で戦った。忍者はレアキャラで山奥の隠れ里に住んでいたところを大金を積んでどうにか仲間にした。国が3つぐらい買える金貨を長老に献上した。モンスターを倒すためではなく要人の暗殺用にこっそり忍者を育てていたようだ。2000年前に異世界転生してきた忍者が作った里らしい。どうりで文化と世界観が違うはずだ。2軍パーティはどう見ても戦闘向きのパーティではないし、オレも装備が弱いので魔王軍との戦いはめちゃくちゃいい勝負になった。均衡した戦いは楽しい。一方的な殺戮は戦いとは言えずまったく面白味がない。なんとか魔王を倒した時のよろこびはひとしおだった。記録ではなく記憶に残る冒険だった。タイムは酷かったが、いろんな楽しみがあった。専用武器を取るために隠しダンジョンを攻略したり、全員女の子だったので、全員同時に攻略したり、いままでに経験してない冒険が堪能できた。盗賊、踊り子、忍者とも貞操観念が緩く自分が好きになった男とは積極的に交わるという価値観だった。複数プレイもいとわなかった。クノイチは性技も学ばされているのでいままでの性体験とは違った喜びも味わえた。
祝賀会では軍楽隊の奏でる音楽に合わせて踊り子のモモが踊りを披露して場を盛り上げる。オレは吟遊詩人と肩を組んでに勝利の歌を歌った。
「なんで歌えるでござる?」
「即興だって聞いたぜ?」
「こわっ!」
3人は目を丸くしている。オレはすでに暗唱できるほど聴いていた。
最近は四六時中RTAのことばかり考えて眠れない。解除してない実績はもうないんじゃないか?モンスターの弱点もすべて把握しているし、恋仲になった女の子たちの弱点もすべてわかっている。
ループは100回を越えてからはもう数えていない。忍びの里の秘密アイテム惚れ薬を手に入れて実現不可能なクルミ、ミア、ユウナを同時にパーティ加入させたり今回のループではいままでものにしてきた恋人たち全員集めたハーレムを作ってリゾート地で遊んでいた。魔王退治など一瞬でできる。オレはこの世界を無限にループして永遠に堪能し尽くすのだ。かっこいいところを見せようと調子に乗って泳いでいると、かなり遠くまで来てしまった。美女たちのいる浜辺ははるか彼方だ。オレのレベルは99なのでどこまでだって泳げる。凄まじい速さで泳げる。泳いだあとにドバーっと水しぶきの波が立つぐらいだ。試しにとなりの大陸まで泳いで行って見るか?暑さで頭がどうかしていた。オレは南方の大陸に向かって泳ぎはじめる。しばらく全力で泳ぐと腕がなにか見えない物体に当たった。透明だがゴツゴツした手触りがする。
目に見えない壁があるようだ。
「結界魔法か」
結界魔法はモンスターが街や村に入れないようにする効果と街や村をモンスターから見えなくする効果の2つがある。入れないようにだけして見えるようにしてる結界もある。山や森が急に途切れて平地に変わったらそこに何かあると勘付かれるからだ。
おそらくここに大きな島があり入れなくなっていて見えなくもされている。人間まで入れなくして見えなくしているのはなぜだ?
美女たちの待つ浜辺に戻りながら考え続ける。人間にもモンスターにも知られたくない秘密があるのは間違いない。また聖獣でもいんのか?
魔法に詳しい魔女っ子ルルに質問する。こいつはいわゆるロリババアで子供の見た目だが年齢は不詳だ。
「結界を解く方法は?」
「聖なる森は聖なる腕輪を持っていたら入れたでしょ?ちなみにあれはパーティの誰かが装備するとみんなに効果あるんだよ。隠されてる島もなにか特殊なアイテムを装備したら見えるし入れるよ。特殊アイテムが鍵なのさ」
「どんなアイテムか見当はつくか?」
「まったくつかないね。結界魔法の発動条件に結界の外に中に入るための鍵を置くってあるから、世界のどこかに置いてあるはずさ」
「伝承とかふつうはあるだろ?」
「鍵のヒントも用意するのが発動条件だからね。まあ、世界中の遺跡を探してまわれば見つかるかも。今回の人生じゃムリゲー」
魔女っ子ルルはお手上げのポーズをする。オレはほくそ笑んだ。
「ムリゲーだと?ふっふっふっ、そうじゃあないんだよなぁ」
「人間は無限には生きられないからね。探してるうちにおじいちゃんになっちゃうよ」
「どうかな」
オレはさっそく結界におおわれた隠しダンジョンの攻略に着手した。




