聖騎士
ミアと2人で魔王を倒してクロノスに冒険の記録を確認するとなんと300時間だった。大幅にタイムを短縮した。これ以上の記録はだせないかもしれない。いや、あそこで2秒ロスしたからもっと早くいけるか。クロノスに聞いたら同タイムの場合は秒数まで正確に教えてくれるっていうから、これはチャンレンジしがいがある。前回の自分と秒単位で競えるのだ。オレは6回目の冒険をはじめた。今回は遠すぎて今まで1度も立ち寄らなかった聖騎士のいる白神王国に向かうことにした。なにしろはじまりの村のま反対にある地球の裏側だ。
周囲を崖に囲まれた天然の要塞で魔王軍も手を焼いているという噂だった。
白神王国は魔王が復活してから魔王が倒されるまでずっと籠城していたと聞く。食糧がよく持ったものだ。籠城中、永遠に籠城できると国王は哄笑していたらしい。王国内に田畑があり人口管理もしっかりしているのだろう。
白神王国には聖なる騎士と呼ばれる女がいると風の噂で聴いていた。美しくべらぼうに強いと評判だ。魔王軍に囲まれて籠城している聖騎士に会いに行くのは正気の沙汰ではないが、オレは何度でも冒険を繰り返せるから会いに行く。お決まりのレベリングをちゃんとしてから白神王国に向かった。海路と陸路、砂漠を歩いて氷山を越えてようやく白神王国にたどり着いた。道中、みたことのないモンスターも倒せて楽しかった。
クルミを仲間にすれば聖騎士の加入ができないかもしれないからやめた。ミアの加入も同じ理由であきらめた。回復魔法の使い手がいないのは不安だが、勇者なのでいちおう回復魔法は使える。薬草と回復魔法で急場をしのぎつつ旅路を進めた。
安心して眠れず薬草もMP も切れかけたりして困難な戦いだったが、絶世の美女をものにしたいという欲望だけがオレを獰猛な獣のように前へ前へと突き動かした。
道なき道を切り開いたその果てにようやく白神王国にたどり着いた。真っ白い防壁に囲まれてそびえ立つ白を基調としたエレガントなお城は芸術的で観る者の心を奪う。
魔王軍が攻めてくる前は世界的な観光地であったという話しも納得だ。
聖騎士団長のユウナはうわさにたがわぬ美貌の持ち主だった。亜麻色の長い髪にオレンジの瞳、鎧の上からでもわかる抜群のプロポーションの美女だった。クルミやミアと違い巨乳だ。武器はランス。回復魔法と攻撃魔法、補助魔法も使える。すごすぎる。チートな性能だ。押し寄せる魔王軍の波を跳ね返せていたのは彼女の剛力のおかげだろう。ミアと同じ超一流の冒険者だ。レアキャラであり隠しキャラであり控えめに言って付き合いたい。
「私を仲間にしたいの?いいよ、一緒に冒険しよう」
ユウナは簡単に仲間になってくれた。籠城戦に飽きていたようだ。オレとユウナは白神王国を取り囲む魔王軍を聖騎士団を率いて殲滅してから魔王城へと向かった。殲滅すれば復活までにだいぶ時間がかかる。その間にサクッと魔王を倒すと白神王国の国王に約束した。道中、いくつかの村や街を経由してユウナとの仲を深める。とある村の飯屋で言い争いになった。
「いま知ったよ。タケルくんさぁ、私のほうが年上じゃん。なんで呼び捨てなの?」
「オレのほうが強いし」
「ほーう。試してみなよ」
表に出たオレとユウナは全力で戦った。ユウナは魔王より強くて死闘だった。ユウナを手に入れたいという強い野望と膨大な数のモンスターとの戦闘経験の差が勝敗をわけた。
「強いね。きみの勝ちだよ。呼び捨てでいいよ」
「きみも強かったよ。ユウナ。魔王より強い大魔王だ」
「大魔王ユウナか。悪くないかもね」
ユウナはニヤリと笑う。冗談だと思われたが、本当なんだよな。ユウナは自分の強さにまったく自覚がなかった。籠城せずに魔王を1人で倒しに行けばよかったのに。でも、そうすると白神王国は全滅だったかもしれない。取り囲む魔王軍を殲滅するにはユウナと聖騎士団の力だけでは足りずオレの力が必要不可欠だからな。
戦闘後、オレはユウナと一夜を過ごした。ユウナは自分より強い男にすべてをささぐと決めていたようだ。苦労して地球の反対側まで来た甲斐があった。ユウナの攻略も終了だ。オレは魔王との戦いをユウナに譲った。ユウナは赤子の手をひねるように魔王を倒して拍子抜けしていた。
「やったね!タケル!」
ユウナに抱きつかれながらオレはすでに7回目の冒険のことを考え始めていた。




