仲間集め
さっそくオレはギルドに向かった。1人目の仲間である僧侶クルミをさがす。いたいた。白いローブに安っぽい杖を持ったピンク髪の可愛い女の子だ。実は彼女の正体は王女様だったのだが、魔王を倒すために身一つで家出してギルドの中をうろちょろしていた。フードを深く被って正体がバレないようにしている。彼女の正体がわかったのはずっとあとのことだ。今回は最初から知っている。
「よう王女様っ」
「わわっ!シーっなのだ!」
クルミは人差し指を唇に置く。
「オレの仲間になれよ。いっしょに魔王をぶっ倒そうぜ!」
「わかったのだ。そのかわり、私の正体はぜったい秘密なのだ」
「おけおけ」
クルミが仲間になった。この時、クルミはギルドに登録したばかりで実践経験もないしレベルも1なので誰からも声がかからなかった。不審だしあきらかに弱そうなので足手まといは冒険にはいらないと思われたのだろう。油断するとすぐ全滅するのが冒険者の世界だ。魔王が蘇った世界では今まで大人しかったモンスターが魔王の影響で人間に敵意を持って襲いくるからな。クルミがお金をほとんど持ってなかったのはお金を持たされる習慣がなかったからだ。買い物は執事とメイドが行う。切った髪を売ってお金を作ったんだ。珍しい色で綺麗だと髪でも高く売れる。装備がしょぼかったのは王家の所有する武器や防具を装備するとバレるから街の武器屋と防具屋でそろえたからだ。オレはなんでも知ってる。
「さっそくダンジョンに行こうぜ」
「ほかに仲間は誘わないのだ?」
「仲間になってくれるわけねーじゃん。弱小パーティなのに」
「不安なのだ」
「だいじょうぶ。歴史に名前を刻む大賢者様がついてるんだからな」
「?」
クルミは首を傾げてみせる。
「もしかして私のことなのだ?」
「そーだぜ」
「ふっふっふ。口がうまいのだ。まあ、いずれそうなるのだ」
クルミはうれしそうに笑う。実際、クルミは賢者に転職して魔王を討伐する頃には並ぶものがないほどの魔法の使い手になっている。大賢者の称号も与えられ、その容姿の美しさから歴史に名前を刻むのは間違いなしと言われていた。
初級ダンジョンはサクッとクリアした。装備品を買いそろえてその日のうちに中級ダンジョンにいく。クリアしたのは夕方だった。2人だとさすがに時間がかかるな。
「きみはすごい剣士なのだ。ほとんど一撃でモンスターを倒しているのだ。それに隠し通路を見つけるのもうますぎなのだ」
苦戦ゼロでダンジョンクリアしたことにクルミはおどろいてる。おまけに隠し通路で中盤まで使える魔法の杖を入手したしな。
「まあまあこのぐらいは。2周目だし」
「2周目?」
「なんでもねえ」
オレが周回プレイしているのはクルミにはだまっておこう。バレてもいいけど、ネタバレして先の楽しみを奪うのもよくない。飯屋でうまいもんを食う。クルミは王宮の料理しか知らないから庶民の食い物に感動していた。前回は初級ダンジョンもクリアできずパン屋のさめたパンを半分こにして2人でベンチに座ってたべたけど、それでもクルミはおいしそうに食べていた。コーヒーも2人で半分だったっけ。懐かしいぜ。基本、クルミはなんでも文句を言わずに食べるいいやつなんだ。うまい飯を食い終わったら宿屋に向かった。宿屋のふかふかのベッドに寝転がる。前回は街をでたすぐのところで野宿だった。モンスターに襲われると危ないからな。クルミは野宿も楽しんでいた。ほんとタフなお姫様だぜ。
2人目の仲間は武道家の少年シュンだ。次の町でコウモリ伯爵の討伐依頼を受けて洞窟で仲間になる。シュンは一匹狼で誰とも仲間を組まない主義だったんだけど、オレの人なつっこさとクルミが足のケガを回復してやったことに恩を感じて仲間になる。ザコ的を無双してたらいつのまにか足に傷を負ってたらしい。かすり傷だと言っていたが傷んだんだろうな。シュン1人じゃボスを倒せなかったのは確かだ。3人目の仲間は戦士のミゲル。こいつはすげーいいやつだったしめちゃくちゃ強かったけど旅の序盤に暗黒竜との戦いで死んじまう。その穴埋めに魔法使いのライチを仲間にした。臆病もんで勇敢なミゲルとは大違いだった。シュンにはすげー嫌われていた。ピンチになると仲間を置いて逃げようとしたこともある。シュンが首根っこ捕まえて逃亡を阻止した。腰抜けだけど魔王を倒した名誉を手に入れてバカにされていた故郷の村での汚名を挽回しようと必死だった。故郷でバカにされていたのは幼少期にスライム相手にしょんべん漏らしたかららしい。なんとかパーティの役に立とうと雑用も率先してこなして魔法のこそ練もしてたし可愛いやつなんだよなぁ。
クルミが賢者になったことで魔法使い2人もいらなくないか?ってシュンがクビにしようとしたけどライチの攻撃魔法や防御魔法はそれなりに役立ったからクビは回避された。クルミの魔力の消費を抑えるためにザコ戦はライチの魔法を使ってボス戦に備えていた。魔王を倒したことはライチの故郷にもすぐに伝わっただろうからライチは鼻を明かしたな。クルミとシュンとミゲルが1流の冒険者でライチが2流ってところかな。シュンは拳王の称号も手に入れた最強の武闘家だし。ライチの称号は覚えてない。オレは伝説の勇者。魔王を倒した勇者だけに与えられる称号だ。
ライチは最後までシュンにみとめられなかったな。シュンが認めるのは1流の冒険者だけってことだ。己にも自分にも厳しいやつだぜ。岩みたいだ。
さて今回の冒険ではミゲルが死なないように立ち回らないとな。それだとライチはいらないけど雑用係として雇って故郷に錦を飾れるようにしてやろう。そうだ魔王軍の侵攻で滅ぼされた村があるから、ミゲルを仲間にする前に先にそっちを助けないと時間的に間に合うないな。先々の計画を練っているとオレはいつのまにか寝ていた。




