初めての”会話”
なんなんだ、この感覚は。
実際には一文で完結するような簡単な言葉だったはずなのに。
明暗さんの言葉が同時に二つ聞こえたような気がした。
「どう?すごいでしょ」
初めての出来事に狼狽える私を、ニンマリとした顔で見つめる明暗さん。
私はからかわれていると感じ、少し腹が立った。
「どうゆうこと?さっきは言葉が同時に二つ聞こえた気がするのに、今のは聞こえない」
「意図して使い分けてるのよ、こんな感じにね。私らは実際聞こえている方を”言葉”、聞こえていない方を”心音”と呼んでいるわ。」
ズキンッ・・・ズキンッ・・・
頭がクラクラする。
同時に言葉が来る感覚に慣れてないから、脳に負荷が掛かっているんだ。
「明暗さん、今頭痛いからそれやめて・・・」
「これは心理部特有の頭痛”心理痛”よ。最初はみんなそうなんだから、我慢して慣れる。今日は心音に慣れるまで私と話してもらうからね!」
それから数時間、明暗智による心音に慣れる特訓が始まった。
「いい!?心音は自分自身の感情によって左右されるの、だからできるだけ冷静に心を保つこと。そうすれば、自ずとコントロールできるようになるわ」
何度も何度も言葉を発した。
「もっと聞かせて、あなたの心音を」
自分の感情が相手に届くように。何度も何度も。
「次は受け止めなさい。私の心音を」
酷くなり続ける頭痛に耐えながら、私は明暗・・・、智の話を聞き続ける。
「心で思っていることと、言ってることが同じなら心理痛は起きないわ」
「へぇー、じゃあ、相手の言ったことが嘘か本当か分かるんだ。凄いじゃん」
「そうとも限らないわ。相手が自分の心にまで嘘をついている場合は心音が聞こえなかったりするの」
「じゃあ、どうするの?」
「その場合は、普通に仲良くなることかな。心を開いていってくれれば、そのうち聞こえるようになると思うよ。だから、何でもかんでも心音を使って関係を築こうなんて考えないで。きっと、痛い目を見るのは自分だと思うから」
「分かった。今日はありがとう、智」
「こちらこそ、入部してくれてありがとね、心理」
智との特訓のおかげで、私は心音にかなり慣れた。
私たちは互いの心音を聞き続けたことによって、
秘密の学び舎に来た時よりも仲良くなっていた。
だから、私は少し勇気を出してみた。
「一緒に帰らない?ほら、出会った記念に、っていうか・・・」
「・・・えぇ、いいわよ」
私たちは自分の鞄を手に取り、旧校舎を後にした。
「そういえば、心理、あなたってどこに住んでるの?」
帰り道、唐突に自宅を聞かれた私は「ここから三駅ほど離れた所に住んでる」と答える。
「ふーん、そうだったの。電車通学なんて大変だね」
「もう慣れちゃったけどね。二年も通学してるし」
無難な返事、無難な対応。
心音で話したといえど、会ってまだ一日。そこまで踏み込んだ話は出来ない。
いつか、もっと話し合えたらいいな。
そう思いつつ、私たちはそれぞれの帰路に着く。
私は駅に、智は駅から西の方に。
「じゃ、また明日」
「うん、また明日」
今日一日で多くのことを学んだ。
明日がこんなにも楽しみになるのはいつぶりだろうか。
私は高校三年生にして、ようやく歩みを始めるのだった。
勢いで書いてるから、キャラのブレが多くて申し訳ない。
なんとか綺麗に書こうとは思ってるので、どうか温かく見守っていただければと・・・!
※一度全部消えかけたので、変なとこがあったらすみません。見つけ次第直します。




