聖水
少女の尿道から川が流れ
老人の大地に注がれ
鯉のような口に落ちる
目の湖が満ちる
鼻は三つ子の山になり
眉毛は黄金の麦畑になる
額の上で人々が営み
あごひげで虫や獣が栄える
二つの太陽が昇り
星が饗宴を開く
彗星が尾を引き
新月を生む
大地と空は裂け
舌から火が吹きだし
大鯨が暴れ狂い
海が満ちていった
地層が皺を刻み
棚田の肉が垂れ
土柱が牙を磨き
極光の幕が降りる
こうして老人は安息を得て
夢に少女を見た
しかし彼は彼女を知らず
我々も彼らを知ることがないのだ