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喋るのはこっちのが先輩

「すまないね 色々頼んで」


僕が扉を開けた瞬間ライフさんがお礼をいい袋を奪われる。

ライフさんの人の良さがわかる。

買ってきて貰って運んでもらうまでさせるのはさすがに嫌なのだろう。

……あの人と違って


「いえいえ お風呂にも入れてくれたんですからこれぐらいなんてことないですよ それに僕も食料とか薬欲しかったですし」

「なんていい子 それに比べてこの吸血鬼……」


ライフさんは冷ややかな目でソファーを見る。


「ん? おかえりー 遅かったじゃない 私の注文の品買ってきてくれたー?」


アヤさんはソファーで寛ぎ、本を読みながらクッキーを蝙蝠に口まで運ばせている。

このリラックス具合どっちが家主かわからなくなる。


「そりゃああんな注文 受けてくれるところなんて見つかりませんからね」

「だってレンタルで行くの恥ずかしいじゃん」


別にいいと思うけど、その小さなこだわりでどれほど苦労したことか。


「何を頼んだの?」

「馬」

「黒馬!?」


ライフさんは驚いて袋を落とす。

そりゃあ驚く。

突然黒馬を買ったんだから

ライフさんのおつかいとはレベルが違う。

だって家が買えるレベルなんだから


「だって白馬とか茶色の馬で登場する吸血鬼ってどうよ?カッコ悪くない?」


この妙なこだわりのせいで値段が二倍近く跳ねやがった。

それに……


「ハァ そんな感じで黒馬毛並み良し赤目を売ってくれる人を探せって」

「そんな条件だらけの馬高い、

いくら世間知らずの私でも分かる

お金どうしたの?家で娘なのに」


ため息をつきながら僕も気になっていた事を聞くライフさん。

僕では聞けなかったから助かる。

流石アヤさんの気に入り職人


「お父様の金庫からちょちょいとね

まぁ、今回の注文で大半消し飛んだけど」


親の金庫から!?

どうやら家でもこれらしい

お父さん大変だなぁ


「ハァ……いろんな意味ですごい」

「でしょ? 」


アヤさんはどや顔でそう告げる。

うん


「「褒めてない」」


「それで私のエンジェルちゃんはどこ?」


そう言ってソファーから飛び起きる。

どうやら馬にわくわくしているようだ。



「……家の前に繋いでますよ

でもエンジェルって感じじゃあ」


僕は渋々扉を開ける。


「おぉ、いい瞳! そしていいモフモフ感!そしてこのでかさおまえを今日から黒王」


確かに見た目はいいが……

馬に触ろうとしたアヤさんに馬は蹴りを喰らわす。

飛び蹴りで



「アヤさん!? 」

「いい蹴り 私より身軽」


アヤさんが蹴られている様子を紅茶を飲みながら観戦している。

友達ですよね!?

このままじゃ


「そんなこと言ってる場合ですか! 速くアヤさんを止めないと!」

「とめる?助けるじゃなく?」


そう言って指をアヤさんのほうを指す

そこには後ろ足で何度も蹴られるアヤさんが

どんだけ嫌われてるんですか


「この馬鹿馬!!馬刺しにしてやろうか!?」


そういいながら飛び起きるアヤさん

まずい激怒りだ。

このままじゃ……


「落ち着いてください折角大枚はたいて買った馬なんですから!!」

 「確かに止める方がいいか……アヤステイ この馬も悪気があった訳じゃ」


ライフさんがそういった途端

アヤさんの顔に冷たい液体が……


「こいつ私に唾飛ばしやがった!!」

「悪気あるね」


ライフさんは笑い転げる。

そしてもっとやれと煽る。

本当に友達ですよね!?


「許さねぇ 馬刺しをやめてミンチにしてやる!!」

「やめてくださいよ!! 見てないで押さえてくださいよライフさん!」

「馬肉のミンチ……馬肉ハンバーグ……旨そう」


馬料理を創造してよだれを垂らすライフさん


「駄目だこの人達!」

「今土下座したら馬肉コロッケで許してやるわ!!」

「馬が土下座するわけないでしょ!?落ち着いてください!!」


「そうだ こいつ馬鹿か? こんなのが俺の新しい飼い主とか引くわー 後そこのお嬢ちゃん葉巻持っとらん?吸いたくて吸いたくて」

「私が禁煙者に見える?ん?」


どう見てもみえないだろ ん?


「「「しゃべった!?」」」


「何驚いてまんねん 今の時代魔物でも喋るんでっせ?」

「それはそうだけど 馬が喋るのは別の気が……」

「それ種族差別でっせ!! それに我々馬は神話の時代から喋ってるんでっせ?スライムとかは先輩と敬うべきやのに スライム共ときたら」


どこかをみてぶつぶつ言いだす馬

うん普通に流暢に喋ってるこの馬。


「一体どこに喋ってるんですか?」

「第三の壁でっせ」


わけわかんねぇ


「そんなことどうでもいい どういう原理で喋ってるの?解体させて」

「おめぇ 謝れるじゃねえか!? なら謝れや!! 馬刺しにするぞ!!コラ!!」

「ヒィ ヒヒーンだけに」


二人に恐れて僕の後ろに隠れる馬

こいつ案外余裕あるな!!


「やめてくださいよ!! ライフさん!!鈍器持たないで!!それで解体できませんから!!

アヤさん!!言葉づかい汚い!!吸血鬼らしくないですよ!!」


「少年が言うなら仕方ない 次には手術道具用意しとく」


いやそういう意味じゃ……


「まぁ 馬にガチ怒りするほど大人気なくないですわ」


言葉を丁寧に直すアヤさん

もう手遅れだと思うが何もいうまい



「助かりましたわ ご主人」


僕に感謝する馬

現金な奴だなぁ


「なんでそっちなのよ!! 品格はこっちの方があるのに……」

「フッ」


意図的に鼻を鳴らす

器用だなぁ。


「こいつ!!」

「怒らないでくださいよ!!馬君も謝って」

「どうもすいまひーん」

「こいつ!!」


この馬煽るしかしねぇ!!



 私たちは馬のことを少年に任せ武器を確認する。

うんいつみてもいい出来だ。

彼女に任せてよかった



「実際何で馬買ったの?蝙蝠で飛べるでしょ?」


ばれてたか……流石一流

なんでも気づく


「……あの子には言わないでね……実は」


私はライフにある可能性を教える。

最悪の可能性を


「それって……」

「あくまでも可能性よ」

「そんな可能性!!」


彼女は明らかに動揺する。

ライフらしくない。

冷静沈着……いやちがうな

でも動揺は似合わない


「無いとはいえないでしょ?」

「それはそうだけど……今までのあんたなら」

「昔と今は違うからねぇー」


そう昔とは違う

そう思いながら窓を見る。


「そんなにあの少年が気に入ったの?」

「それは……」

「なにも言わなくていい」


流石私の親友分かってくれてる。

彼女は武器を持たせ家から追い出す。


「代金は?」


「次でいい……必ず帰って払え」


「……うん」


ごめんねライフ

こんな話して


「ほら遊んでないで行くよ 少年 馬」


私は少年の頭を優しくはたく。

本気ではたいたら体と頭バイバイしちゃうし

まったく手加減って難しい


「は、はい!」

「えーこいつも乗せるんでっかー?わいの背中汚れそうで嫌やわー」

「そんな事言わないの ブラット」


まさかこいつの名前?



「ブラット?」

「いい名前やろ? ご主人につけてもろてん」

「そう……」


私は少し考えこんでしまう


「どうしたんだろ?」

「名前自分が付けたかったんちゃいます?」

「ほらとっとといくよ!!」


そういって私は馬の後ろに乗る

どうやらこいつ私に操れたくないみたいだし仕方なく少年を前に乗せる。


「はいはい」

「飛ばしまっせー」


そういいながら馬は走り出す。

そこそこのスピードでいい風だ。

この風を……いやなにもいうまい


「無事に帰れよ……」




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