月はタイルを暗く照らす
太陽
それは生物にとって大事な物
それが無ければあらゆる生物は生きられない
それが魔族であろうと同じこと
だから誰も太陽に逆らおうなどとは考えない
だがどんなものだろうと異端は存在する
太陽に抗う異端を人は吸血鬼と呼ぶ
「いやー太陽君のこと忘れてたわー 望んでないのに照らして太陽君っていつもそうですよね!たまには休んでくださいよ!!」
「まぁ、ヒスっても解決する訳もなし、今日の日暮れまで裏路地でなんとかするかー 若き少女が裏路地暮らしって襲われちゃう~」
そんなことを考えて町を進んでいると前から男の二人組が歩いてくる。
「おいおい嬢ちゃん道に迷ったのか?お兄さん達が案内してやろうか?」
「兄貴やさし~ マジ紳士」
二人組は私をナンパしてくる
美人って罪ね
「だろー?俺はフェミニストだからなぁ
でもただで案内するってのも嬢ちゃんの気がすまないだろぉ?だから有り金全部と交換な!」
「兄貴まじ聖人っすよ!!」
そういいながら兄貴分は私に刃物を向けてくる。
刃物を向けられるのはいつ以来だろう?
ナルラと喧嘩になったとき以来?
10年前?以外と最近で驚く
「やれやれ 100年たっても世界が変わってもこういうやつは存在してるのね でも道に迷ってるのは確かだし案内お願いするわ 」
「随分話がわかるじゃねぇか
ならとっとと金出しな」
「金を出す?あぁ、勘違いしたのね
案内もしてもらうし金はこっちが貰う二つともやらなくちゃならないのは美女の辛いところよね」
どこかで聞いたことがあるような台詞を吐きかっこつけるが二人は当然訳が分からないと言う顔をしている。
「なに言ってんだ?イカれてやがんのか!?
金はこっちが貰うんだよ!!
「そうだそうだ!とっとと金を出した方が身のためだぞ 兄貴はちょー強いんだからな!」
「へぇそう なら少しは楽しめそう」
私が指を鳴らすとどこからともなく蝙蝠がやってくる
その数は一匹二匹ではなく
その蝙蝠が雲にみえてしまうほど
「なんだこの蝙蝠!!どこから沸いてきやがった!?」
そういって男はナイフを振り回し蝙蝠を撃退しようとする。
だが蝙蝠達は飛んでくる石をもよけれる聴覚と超音波を持っている。
避けれない訳もなく攻撃は空を切り、ますます蝙蝠は接近する
「お金が欲しいんだったわね 私男に使うお金は持ってないの だから変わりにお友達をあげる」
「やめ!!離れろ!!兄貴たすけ!!」
弟分は兄貴分の男に助けを求めるが兄貴分の男は蝙蝠の隙間をぬって逃げてしまった。
「はぁ……はぁ……ここまでくれば」
息を切らしてとまる兄貴分の男
ここまで逃げれば安心だとほっと一息をつき息を整える
私が来ていた服は走って移動できるような設計の服ではないからだ
だがそれは普通の人間ならだ。
「弟分を見捨てて逃げるなんてやっぱり私の好みには合わなさそう。蝙蝠ちゃんも嫌だって」
「な、なら助けてくれ!! 俺を殺す価値なんてないだろ!」
命乞いをする兄貴分の男に私はため息と侮蔑の瞳を向ける。
兄貴分は悔しかったのか眉が少し動いたが誇りやプライドより命が大事なのだろう
反論はせず頭を下げる
「えぇそうねぇ、無駄な殺しは趣味じゃないし……あらどうやら貴方が欲しいって友達がいらっしゃったみたい……」
そう言うと私は蝙蝠達が運んできたミイラへと近づき指を噛んで血を流す。
「兄貴……」
干からびていた遺体は目を開ける
その目は紅くまるでルビーのように綺麗だがどこか恐ろしく感じてしまう
「ロ、ロバート 違うんだ!! 助けを呼ぶつもりで!!」
「嘘っすね……兄貴はそんなことしないっす
兄貴はそういうやつですからもういいんすよ。
悪いと思ってるなら供物になってください……」
そういいながら弟分は兄貴に近づく
兄貴は腰を抜かしているのかお尻をつきながら後ろへと下がる
二足歩行と腰を抜かした人間
追い付かれるのは当然の事でありどんどん追い詰められていく
そんな様子を尻目に私は本を開け本を読み始める。
「やめろ!!近づくな!」
「あらあら弟分に近づくななんてひどい兄貴分なのかしら。泣きたくなっちゃうわよね?」
私はは本を読みながら悲しい声でそう呟く
「ひどいっすよーー」
「やめ!ギャァァァ!!」
弟分は兄貴に飛びかかる
そこからはただの肉食獣の食事であった。
血と肉は飛び散り辺りのタイルを黒く染める
松明の日がそれを明るく照らす
まさにホラー映画の一場面
「そういえば道を聞き忘れたわ……彼はお食事中だし……自分で探すか~」
そういって私はその場を後にしようとすると一人のボロボロの少年が前に現れる。
さっきの男の様にカツアゲか?
いやこの光景をみてそれはないだろう
ならば今度こそナンパか?
と私は期待するがこんな小さな子供じゃなぁと呆れる
「あ、あの!!」
「あらどうしたの坊や?
お姉さんの魅力にひかれちゃった?」
まぁ、こんな若い少年がナンパなんてするわけないので冗談半分でからかう私
「は、はい!!僕を貴方の件属にしてください!!」
は?本当にナンパ???と驚き顔を赤らめる私
これがこの世界で100年生きて初めてのナンパだった