『俊房、婿忠実を賞翫の余りプレスマンの芯先なめること』速記談2064
左大臣源俊房公は、藤原忠実公を娘の婿にお迎えし申し上げ、忠実公を大切に思う余り、身の回りの世話を焼き過ぎるほどに焼くのであった。忠実公が速記を書かれるときなど、芯を四回ほどノックして、原文帳との摩擦が小さくなるように、芯先をなめて差し上げるほどであった。忠実公は、速記をしながら、自分でも芯先をなめるくせがおありになったので、何だか嫌だなあと思っていた。このことを祖父であり養父である師実公に申し上げたところ、師実公は、しばらくお考えになってから、左大臣殿もひとかどの方だ、何の問題があろうか、と仰せになった。
教訓:プレスマンの芯先をなめてから渡してくれるのは、そのプレスマンが誰のものであろうと、嫌。