自由研究は.もち.ろん料理
8月3日
「暇だなー」と布団の上で寝転がりながら独り言をもらした。夏休みに入り、なんやかんや予定がギチギチで、急に予定がなくなると少し寂しく感じる。8時くらいに起きて朝ごはんを食べそこから3時間くらいなんもせずに寝転がっている。いつもの4人に連絡したがみんな他の予定があるらしい。マエダさんも旅行中でいない...とても暇である。そんな時に、自由研究の紙が扇風機にあおられて何枚かの紙と一緒にこちらに飛んできた。
「自由研究かぁ...そういえばマエダさん江田神社に行ってるんだっけ。調べてみるか」と独り言を言いながらスマホを手に取り調べ始めた。
江田神社は宮崎県にあり、イザナギとイザナミに関する神社らしい。二柱は夫婦で、縁結びなどのご利益があり、みそぎの池と御神木のクスノキが有名らしい。そのほかも色々調べようとしたが、マエダさんが自由研究にするかもしれないのでやめておいた。代わりに宮崎県の郷土料理について調べ始めた。宮崎には地頭鶏という有名なニワトリがいるので、とりめしや竹で炊いカッポ鶏、炭火焼き鶏などがある。その中で鶏とは関係ないが、目を引いたのは[ねりくり]という料理だった。作り方も難しくなく、食材を少し買えばできそうだったので作ることにした。出かける前に冷凍庫から餅を出してから、家には誰もいなかったので鍵を閉め、出かけた。
行きつけのスーパーまでは自転車で10分くらいのところにあり、品揃えもよく安売りもしてるので重宝している。そのせいで...
スーパーの男性店員「いらっしゃいませ〜、お!ヨシキくんか」
このように顔を覚えられている。
ヨシキ「どうもタナカさん」
タナカさんは、元気で仕事の出来きいつも誰かに頼られている。黒い服をよく着ていて、少しぽっちゃりした体型をしている。その見た目から幼稚園や小学校の子達からは[クロクマ]と呼ばれて親しまれている。
タナカ「今日も暑いねー何買いにきたんだ?」と元気よく話した。
ヨシキ「自由研究で使う食材を買いに来たんです」
タナカ「夏休みもまだあるってのにえらいなぁ」
俺が「暇だったので」そう言うとタナカさんは「羨ましいーオレなんて仕事ばっかだよ〜」と笑いながら話した。
タナカ「んじゃオレ仕事戻るね、今のうちに暇を堪能してろよー、大人になったらなくなるから」と冗談混じりに言いレジの方に向かった。その言葉に対し「堪能しときます」と笑顔で返した。それから必要なものを買いスーパーを出ようとしたところで誰かに肩を軽く叩かれた。振り向くとトモが立っていた。
ヨシキ「ん?ああ、トモか」
トモ「ヨシキも買い物か?」
ヨシキ「自由研究で料理するからその食材のね、そっちは?」
そう聞くとトモは一瞬目をそらして「今からバイトで、飲み物買いにきたんだ」と答えた。
ヨシキ「そうなのか、あんまりバイトしすぎてユリに怒られるなよ」
そう言うとトモは「あはは、さっきユリに電話で怒られたばっかりだよ」と苦笑いしながら答えた。俺は「無茶すんなよ、んじゃ」と言い、トモは「うん、ありがとうじゃあまた」と言ってお互いに自転車に乗りわかれた。飲み物を買うにしては荷物が多かったし、予想だがおそらく明日ぐらいにはユリから連絡来るなと思いながら家に帰ったら。
家に帰ると鍵が空いており、玄関を開けると姉ちゃんのスポーツシューズがあった。おそらくランニングから帰ってきたのだろう。
俺が「ただいまー」と言うと台所の方から微かに「おかえりー」と姉ちゃんの声がした。作業を始めるため台所に向かうと、皿の上に焼いた餅をのせて食べようとしている姉ちゃんの姿がそこにあった。俺がため息混じりに「全部食べてないよね?」と聞くと姉ちゃんは「ほのふあふしははべてはいよ(この二つしかたべてないよ)!」とお餅を食べながら満面の笑みで答えた。相変わらずの食欲である。「ならいいや、[ねりくり]って言うの作るけど一緒に作る?」と聞くと目を子供のように輝かせて「うん!作る!」と言った。
ヨシキ「じゃあ早速作りますか、まずこのさつまいも洗ってくれ」
姉ちゃん「了解!」
姉ちゃんがさつまいもを洗い終わったすみから、俺は1cmくらいの少し厚めに輪切りにし、かわも厚めに剥いていった。
姉ちゃん「お芋全部洗い終わったけど次はどうする?」
ヨシキ「ちょっと待ってて...できた、そしたら厚底なべ用意して、水を半分くらい入れといてくれ」
姉ちゃん「了解」
姉ちゃんがなべに水を入れてる間に、シリコン性の蒸し器を取り出してさつまいもを中に入れ、レンジで600wの15分に設定し蒸し始めた。
姉ちゃん「入れ終わったよ」
俺は「そしたらIHの温度少し強めの中火くらいにしといて」と伝えると、姉ちゃんは「了解」と言い水が沸騰する様子を見ながら鼻歌を歌いはじめた。俺はその間に大きめのトレーやマッシャーを用意した。
姉ちゃん「お、ブクブクしてきたからそろそろ大丈夫そうだよ」
ヨシキ「そしたらこの餅を入れて、柔らかくなるまでいれる.....柔らかくなったらこっちのボールに移す」
姉ちゃん「了解!ふん♪ふふんふん♪っとこのくらいかな?」
ヨシキ「うん、そんくらいで大丈夫」
すると、全部の餅ボールに移し終えたくらいでちょうどレンジのさつまいもが蒸し終えた。
ヨシキ「よし、そしたらさつまいもと砂糖を少し入れて...後は一緒に餅と一緒に潰しながら混ぜる。交代でやろうか」そう言って潰しながら混ぜていった。
混ぜている間にマエダさんの話しになった。
姉ちゃん「そういえばマエダちゃんめちゃくちゃいい子だよね」
ヨシキ「確かに、礼儀正しいけどラフで話しやすいよね」
姉ちゃん「ヨシキがすぐに信用する理由がわかるよ。雰囲気がいいよね」
それを聞き俺は「俺ってそんなに警戒心強いって思われてるのか?タケシとサエにも言われたぞ」と姉ちゃんに質問した。すると姉ちゃんは珍しく呆れた顔をし「無意識なんだ...だって一時期は母さんや父さんすら信用してないことあったし、それに相手の本心見抜くまで信用してないし。その証拠にタケシくんと仲直りするのに2ヶ月くらいかかってるんだよ」とため息混じりに話した。
ヨシキ「うーん、確かにあの時から用心深くなってるのかも」
自分では自覚していなかったが気付かぬうちに人との壁を作っているのかもしれない。まぁ、あんな経験したら誰も信用しないだろと今でも思う。そんな事を考えていると姉ちゃんが「そろそろ交代しよ私も潰したい!」とこちらを見ながら行ったので「あいよ」と言い、姉ちゃんに餅と芋を潰して混ぜるのを変わった。それから5分くらいしていい感じに滑らかに混ざた。
ヨシキ「それくらいでいいよ姉ちゃん、そしたら最後の仕上げだ」
そう言ってトレーの上にきな粉をしき、その上に混ぜた餅を置き、その上からさらにきな粉をまぶした。
ヨシキ「後はこれを好きな大きさにちぎって丸めて...完成」そう言って姉ちゃんの方を見るとマッシャーについた餅を手で摘んで「おいひー」と言いながら食べていた。そんな姿を見て「それはよかった」と笑顔言った。それから2人で餅を丸めてはタッパーの中に入れていき、無事に全部まとめ終わった。今日中には無くなりそうなので蓋をして台所に置いてお、片付け始めた。
姉ちゃん「このさつまいもの皮はどうする?」
ヨシキ「ああ、それは明日使うから置いといてくれ」
姉ちゃん「了解」
片付けをしていると俺のスマホから電話が来た。
ヨシキ「すまん姉ちゃん、ちょっと電話出るわ」
姉ちゃん「あいよー」
そう言い俺は台所から出て電話に出た。
ヨシキ「もしもし」
すると、「ユリです、今時間大丈夫でしょうか」と丁寧だが少し高圧的なユリの声が聞こえてきた。どうやらお怒りのようだ。
ヨシキ「うん大丈夫だけど、どうした?」
ユリ「少しご相談があって、近いうちに2人で会いたいのだけどいいかしら?」
ヨシキ「明日なら予定ないからいいよ」
ユリ「ありがとうございます、10時ごろにレナに迎えに行ってもらうわ」
ヨシキ「わかった、じゃあまた明日」
ユリ「ええ、また明日」
そう言って電話を終えた。まあ、おそらくトモの件だろう。そう思いながら台所に戻り片付けを続けた。
あまり長くならなきゃいいけど.....
最後まで読んでいただきありがとうございます。これからも頑張っていきます。ねりくりは美味しかったので皆さんも作ってみてください。